第18話 自己紹介
気を取り直し俺達はそれぞれ自己紹介をすることにした。女性は15歳と俺達より2つ年下だった。名前はファーナといい、スルガンナという町に住んでいるらしい。はっきり言って聞いたこともない名前だ。俺達も自己紹介を済ますと早速聞いてみたかったことをぶつけてみることにした。
「ファーナさん体は大丈夫ですか?」
「はい、1日休んだのですっかり治りましたよー」
なるほど1日体を休めていたからここには来ていなかったということだったんだ。そこで改めてファーナさんを見てみる。腰に短剣が刺さっているのは使っていたから知っている。後は腰にウエストポーチみたいなもの、背中に弓を背負っている。
「ああこれ?一応弓をメインウエポンにしてるんだけどね、まだダンジョンくるのも初心者だから、囲まれちゃうと慌てちゃって…短剣にきりかえれないの。でもここの1階層なら命の危険だけはないし、最悪逃げ帰ればいいから…ね?」
ふわふわと視線を反らしながらこの間の説明もついでにしてくれた。ダンジョンにくるのが初心者ということは俺達とほとんど変わらないってことじゃないか。
「あ、そうだ。これありがとうございました」
ファーナさんはこの間渡したTシャツをウエストポーチから出して差し出してきた。ちゃんと洗濯がされており綺麗にたたまれている。
それを受け取った俺は再びTシャツをファーナさんに渡した。
「俺達今日はもう帰るからそれ着ていいよ。服濡れて冷たいだろ?」
「あはっまた返さなきゃだね。明日もこのくらいに来るから受け取りに来てね」
手を振りファーナさんと別れ俺と健太は出口から外へと出た。出て直ぐ入り口のほうを見てみるが何故かファーナさんの姿はみえなく…疑問だけが増えていく。
マーケットで健太がまたアイテムを売りさばいているので、そこから魔石と酸を1つずつ貰いしまっておく。
「俺…今度はちゃんとした盾を買おうかな」
「それがいいかもな」
健太のこの意見には賛成だ。あの盾(?)だと酸にはいいが熱には弱かったからな。お互い頷きあい次にお金が溜まったら盾を買うことを決め階段を上がってプレハブへと戻る。
「あちぃ……」
「すごい温度差だ」
プレハブに戻ると丁度昼を過ぎたあたりでもっとも暑くなり始めるころだったこともあり、プレハブは灼熱地獄へと化していた。
慌ててドアを開け外へと飛び出すと、少し風が吹いている分いくらかマシなだけだったが、少しだけ楽になった。
「明日もダンジョンだな。約束したし?」
「あー…約束…になるのか」
行きたいわけじゃのになんでこう俺はダンジョンに行くことになるんだろうか…それに約束とはいえファーナさんにまだまだ聞いてみたいこともある。
誰かが大人しくダンジョンを攻略しろと言っている声さえ聞こえてくる気がした。




