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第173話 5人と3人

 健太が受け止めた…と言っても一時的に足を止めることができたが正解なのだが、その魔物に『ウォーターフォール』を使用してみると罠の火と同じように火が消えた。相手は魔物なので一時的なものなのか完全に消えたのかの判断はまだできないが、火が消えた状態だと動きが鈍っているように見える。これなら俺でも仕留められるかもと剣を振り下ろした。


「見~つけた…」


 俺が剣を振り下ろすのと同時に見知らぬ声が入り口のほうから聞こえてきた。そこには男が3人。以前3階層で見かけたことがある人達だった。


「おい、お前らそこのやつおいていけば見逃してやるぞ?」

「ばっかだな~ ついでに装備ももらってやるよ? こうだろう??」

「いやいや女はみんなおいてけ…じゃないのか?」


 男たちがニヤニヤと笑いながらこっちへとじりじりと近づいてくる。このそこやつっていうのはファーナさんのことだろうか…ちらりとファーナさんを見ると本人はわかっていないのか首を傾げている。どうやら知り合いではなさそうだ。


「ファーナさん知らない人で合ってる?」

「え? うん。知らないわね…」


 ということは父親が何かしてきているわけではなさそうだが、それとは関係なくこいつらはファーナさんを狙っているってことだ。男たちの態度にイラついたのかリノとミネが睨みつけている。健太もどこまで理解しているかわからないがファーナさんをかばうようにファーナさんを後ろへと下げた。


「ミネ…」

「うん、わかってるよ…『フローズン』!!」

「なっ!!」


 ミネが魔法を唱えると男たちの足元が凍り出した。動こうともがいているがどうやら動けないみたいだ。


「ほら今よ! ここは私達が足止めするからファーナを連れて奥へっ ファーナがいれば先へ進めるでしょう?」

「それじゃあ2人はどうするんだっ」

「私達は、足止め、すんだら、入り口から、帰る、よ?」

「ここ暑くてあまりもたないから早く!!」


 たしかに俺と健太で残っても足止めは出来ない。それよりも先へと進み早く外へと出たほうがいいだろう。リノとミネには悪いがここは先に行かせてもらうしかない。


「わかった、またあとでな! 行こう健太、ファーナさん」

「よくわからないけど進めばいいのね?? じゃあその前に…『罠設置』」


 ファーナさんが俺たちの進む方向へしばらく足止めが出来るように罠を置いた。どんな罠なのかはわからないが、これでさらに時間が稼げるだろう。俺と健太とファーナさんはうなずきあい、ミネとリノに任せてそこから走り出した。後はお互い無事に会えることを祈ることしかできない。

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