第12話 人がいた
項垂れていた健太が復帰するのを待って再びスライムを相手にしながら奥へと進む。スライムの倒し方は健太はライターで溶かしてからナイフでとどめを刺す方法を続けることにしたようだ。まあ普通に考えていちいち蓋するとかないわな?
俺は別にスライムを倒したいとかあるわけじゃないからその様子を見ながら後ろをついていくだけだ。たまに飛び掛ってくるスライムを打ち返すこともあるが、まあそれほど頻繁に出番はない。
そんなことを繰り返しながら歩いているとその先のほうからなにやら音…いや声が聞こえてきた。
「%*&$#***&#---!!」
薄暗い通路を進むとその声の人物だと思われる女性を見つけた。でもそれはおかしな話で、この人はいったいいつ俺のプレハブから入って来たのだろうか…
女性はスライムに囲まれて座り込んでおり、所々火傷を負い酸を受けたせいで衣服も穴が開いた箇所もありぼろぼろだ。涙目になりながらこちらに気が付き声を上げた。
「%$**#%*!!」
何を言っているのかわからない。でもなんとなくだが今の状況から助けたほうがいいことだけは理解できた。
「健太あの人多分助けたほうがいいよね」
「よっすーもそう思うか?」
顔を見合わせた俺たちは頷きあい、健太の持つライターでスライム達を次々と溶かし、その隙に俺が女性の手を引き入り口へ向かって走り出した。がんばって倒してもいいのだが、その間女性の安全が保障出来ないためにこういった行動を起こすことにした。
スライムを溶かしきった健太も後からついてきて3人は入り口のところまで戻ることに成功。安心したのか女性はまた座り込みぽろぽろと涙を流し泣き出した。
女性が落ち着き泣き止むとまたよくわからない言葉で声を上げた。俺と健太は首をかしげ視線を交わす。
その様子に痺れを切らしたのは女性のほうで、近くにいた俺の手を引っ張ると入り口の壁のところにあるタッチパネルの前へと案内される。タッチパネルに女性が触れると『ステータスチェック』の項目に触れこちらを伺う。
操作を続ける女性の手元を眺めていると画面をスクロールするようにして文字を送り、『言語理解』と書かれた場所をタップする。すると再び俺の手を引きさらにタッチパネルへ近づけようとしてきた。
「言語理解…つまり俺も同じように押せってことか?」
俺がそう言うと女性が嬉しそうに大きく頷いた。どうやら女性のほうは俺の言葉が理解できているようだ。
ステータスチェックは初めて触る項目だが…まあこの人もやってたから問題ないものなんだろう。俺は同じように操作をし、あわられた項目を読みながら画面をスクロールした。
名前:神崎由緒
性別:男
年齢:17
レベル:1
体力:18/20
魔力:10/10
筋力:15
知力:10
速さ:8
物防:2
魔防:0
スキル:言語理解(off)
魔法:なし
……なんだこれ?
表示された文字を見て俺は驚く。ゲームとかのステータス画面みたいなものが目の前に現れていた。




