家族
今生の家族は、私を入れて五人家族である。
「ベル~、ただいま。お父さまだよ!」
【ロイド・ロシュフォード 人族 男】
【HP45 MP6】
【状態:健康】
【スキル:両手剣術B- 不屈】
私の父、ロイド父さまは剣が使えるらしい。
金髪に青色の瞳の、なかなか整った顔立ちをした男性で、たぶん二十代半ば頃。
エマ母さまは茶色の髪に深緑の瞳で、おっとりした美人さんなのだけど、二人並ぶと絵になるのだ、これが。
両親ともに美形で、私自身への期待も高まるなあ。
そして、もう一人。
「ただいま、ベル」
父さまとは違ってクールにふるまう茶髪に青色の瞳の少年。
私の兄、リオンだ。
【リオン・ロシュフォード 人族 男】
【HP18 MP10】
【状態:健康】
【スキル:両手剣術D-】
アリサ姉さまより少し年上で、7才くらいかな。
この年でスキルを持っているし、かなり優秀なんだと思う。
いつも落ち着いていて、大人びているしね。
でも私は知っている。
他の人が居ない時は、私を見てニヨニヨしていることを。
どうも我が兄は素直になれないお年頃らしい。
優しいことに変わりはないけどね。
とにかく、父さまと母さま。リオン兄さまとアリサ姉さま。
この四人が今生の家族である。
「父さま、兄さまお帰りなさい!」
「おう、アリサただいま!」
「ただいま、アリサ」
「だうー」
アリサ姉さまが嬉しそうに笑っている。
私は母さまに抱かれて姉さまを心配しつつ見守った。
今は元気そうだけど、病(潜伏中)だからね。
いつ発症するか、気が気じゃない。
「あうあうー」
父さまとじゃれ合ってはしゃぐ姉さまをハラハラ見守るしか出来ないのが辛いなあ。
「ふふ、ベルちゃんご機嫌ね。たくさんおしゃべりしているわ」
「だう。あうあうあー」
「母さま、って言えるかしら? かーさま、よ」
「あーあま」
「まあ!」
私が母さま、と声を出すと、母さまは目を丸くした後もう一度! と促した。
「あーあま」
「まあまあ! あなた聞きました? ベルちゃんがかーさま、って!」
「なんだと!? お、おいベル。父さまって言ってみてくれ! とーさまだ!」
「うーあま」
「おお!? ベルは賢いな! いいこだぞー!」
おおう、いきなり抱き上げられた。
「父さまズルイ! ベル、姉さまよ! ねーさま!」
「ぼ、僕は兄さまだよ」
「えーさま、いーさま」
「わああ」
「賢い! ベルお利口だね!」
なんだか大騒ぎになってしまった。
まだろくに発音も出来ないから、なんとなくそう聞こえるかな? くらいの言葉なのに、皆大喜びだ。
皆に囲まれて、私はじんわりしてしまう。
前世の家族にはもう会えないけど。
今、私にはこんなにもあたたかな家族がいる。
生まれ変わってよかった。
そう、しみじみと思ったのだった。