私のステータス
アリサはしばらく私に構うとどこかに行ってしまった。
私はアリサが居なくなった後もいろいろ考えていた。
病(潜伏中)ってことは、今すぐに危ないわけじゃないよね?
潜伏期間が終わって症状が現れる前にどうにか出来れば良いんだけど……。
とりあえず、自分に何が出来るのかを考えるために、自分自身を鑑定してみる。
【ベル・ロシュフォード 人族 女】
【HP8 MP21】
【状態:健康】
【スキル:鑑定 言語理解 アイテムボックス】
今のところ、これだけしか表示されない。
この情報の中で私が注目しているのは、MPだ。
MP。たぶん、魔力のことだと思う。
この世界にはおそらく魔法、もしくはそれに近い何かがあるのではないだろうか。
なら、私は魔法を使えるのかもしれない。
そう考えるとどきどきしてくる。
額に傷のある男の子のように、格好よく魔法を使えるようになるのかも。
もしかしたら、治癒魔法もあるかもしれないし。
そうしたら、治してあげられるかな?
いや、でもそんなに時間はないかもしれない。
どんな病気なのかわからないのが不安だな。
本人含め、誰も気付いていないみたいだし。
「あうー」
しゃべれたらなあ。
すぐにお医者さんに診てもらうように言うんだけどなあ。
私はもどかしい思いにとらわれて、だんだん悲しくなってきた。
赤ん坊になったせいなのか、感情をうまくコントロール出来ないのだ。
「うう……ふぇええん」
悲しくて悲しくて、大声で泣いてしまう。
すると、一人の女性が急ぎ足で部屋にやってきた。
私の今生の母親である、エマだ。
【エマ・ロシュフォード 人族 女】
【HP32 MP28】
【状態:健康】
【スキル:無し】
「あらあら、ベルちゃん起きてたのね。ほーら、よしよし。母さまはここですよー」
「ふぇええん、びぇええん」
エマ母さまが私を抱き上げて優しく背中を叩く。
ぽん、ぽん。
ゆっくりと揺さぶられて、なんだか眠たくなってきてしまう。
……エマ母さまに、アリサ姉さまのことを知らせることが出来たらいいのに。
そう考えながら、私の意識はまどろみにとけていった。