転生!
私が転生して、数ヶ月が過ぎた。
とにかく最初は目もよく見えないし、すぐ眠たくなるし、すぐに泣いてしまった。
ようやく最近になって、長めに起きていられるようになり、少しずつ考えることが出来るようになったのだ。
鑑定も試してみた。
私が寝かされているベットを鑑定してみると、字が浮かんでくる。
【ベビーベッド 木製】
面白くて、暇になるといろんなものを鑑定している。
もしかしたら、スキルアップとかあるかもしれないしね。
しばらく鑑定したりぼんやりしていると、部屋のドアが開いた。
「ベル~、ほら見てみて、綺麗でしょー!」
駆け寄って私を覗き込んだのは、くすんだ金髪に明るい青色の瞳の可愛い女の子。
私の姉のアリサだ。
「だーう」
アリサは手に赤い花を持っている。コスモスに似ているけど、綺麗な赤色だ。
思わず手を伸ばしたけど、アリサは花を遠ざけた。
「ダメ。食べたら大変だから見るだけね」
「あうー」
食べないよ。
でも、赤ちゃんはなんでも口に入れちゃうからね。アリサは間違っていない。
私をにこにこと見つめるアリサは、たぶん5才くらいだと思う。
よく私を構ってくれる良いお姉ちゃんだ。
「ベル、いいこいいこ」
「きゃうー」
そして私の名前はベル。
可愛い名前でよかった。
家族も皆優しいし、それなりに暮らしていけてるようだし、一安心である。
ただ……懸念はある。
私はアリサに向けてこっそりと鑑定を使ってみた。
【アリサ・ロシュフォード 人族、女】
【HP15 MP0】
【状態:病(潜伏中)】
【スキル:なし】
……どうも私のお姉ちゃんは、何かの病気を患っているようなのだ。
何とかしてあげたいけど、私はまだ話も出来ないし、動けないし。
本当、どうしたらいいんだろう……。
私は嬉しそうに笑うアリサを見ながら途方に暮れるだった。