表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/21

第5話:大魔王に育てられています? 3

 魔王候補の男の名をアデルと言い。


 この時、そのアデルは、あせっていた。

 今ここに大魔王が来たら、逃げられるチャンスが無くなってしまうと息を呑んでいた。


『まさか、異変に気付き、戻ってきたのか?・・・《()()()》!・・まずい、まずいぞ。』

 そして、扉の方に視線を向け少女を抱えたまま、臨戦態勢をとった。


 すると先程、大魔王エリザに抱えられ出て行ったはずの、少年アレスが扉を開け顔をのぞかせた。

 この時、流石にここにいる皆も、今の状況を大魔王エリザに見られてはと思い息を呑んでいたが、少年アレスが顔をのぞかせた瞬間、少し安心していた。


 そしてアレスは、玉座の方を見て魔道書がある事を確認して中に入ってきた。

 そうこの時アレスは、ただたんに、先程読んでいた魔導書を取りに戻って来ただけなのだった。


 実際は、大魔王エリザが先程余りにも御立腹で、このまま覇気を放ち続けると周りのみんなだけじゃなく。

 レイカとセリカの少女達だけでなく、マリアそして大魔王の親衛隊ヴァルキーリ部隊の中で特に耐性の弱い者が危険と判断して。

 アレスは、眠たいふりをしてエリザに甘えて、一旦冷静にさせる為に一芝居うっていたのだった。

 そしてアレスは、冷静さを取り戻したエリザに抱えられ。

 この場所を後にして、エリザの私室まで行っていた。

 だが、ふと魔導書を忘れたのを思い出して、目を覚ました様に見せ掛け自分の部屋に戻ると言ってからここに来ていたのであった。


 そして、アレスは扉を開け中を覗きこみ、玉座の方へテクテクと歩き出した。


 その姿を皆は、どうしてここにと見ていた。


 そのアレスは、みんなの様子を気にする事無く。

 魔導書を手に取って、引き返そうと入って来た扉の方に向かっていると。


「アーたん、アーたん。あははっ・・・《バシッ》・・!?」

 セリカは、アレスの事を呼び手を伸ばしていた。


 すると魔王候補のアデルが声をあげ、セリカの伸ばしていた手を叩いた。

「うるせーっ、このメスガキが!」


「ひっ!ひっく、ひっくうっううう、びぇええ、むぐむぐ・・」

 突然怒鳴られたうえに、手を叩かれたセリカは、驚き目を白黒させて泣き出してしまったが、口を押さえられ声を出せない様になってしまった。


「ああーっ!うっ、うるせーぞ。このガキ少し黙ってろ」

 そう言ってセリカの口を押さえて黙らせ、また怒鳴った。


 それで周りにいる者は、このままではあの少女が酷い目にあってしまうと、みんな動けずにいた。


 そうこのとき、ヴァルキリー隊のセシリーとマリーも、この事態にどうしても動けずにいた。


 そして、近くにいたマリアは、レイカに被害が及ばない様に抱き寄せていた。

 しかし、彼女は如何にかしてセリカを助けようと、すきを伺っている。

『どうにかして、せりちゃんを助けないと。でないと・・・・!』


 それで、アデルがセリカの口を覆って最終的には、気絶させてしまっていた。

 この時、皆がこのままでは、この男をみすみす見逃してしまううえに、セリカがさらわれてしまうと、考えていた。


 だが、いつの間にかアデルの前に、先程玉座から扉の方に歩いていた少年アレスが立っていた。

 そして、アレスがアデルに対して。

「セリーを放して」と声をかけた。


 するとアデルは、少年アレスに向けて。

「うるせぇ!この糞ガキが殺してやる」

 そう言ってアレスに向け極炎の炎魔法、ヘルブレスファイアーを唱えた。


 その光景を見たヴァルキリー隊の全員とマリア、そしてレイカ以外の者達は、まだ少年なのに酷いとか、可愛そうになどと、声をだしていた。


「何故こんなところに、人族のオスのガキがいやがる胸糞悪い。まあ俺の極炎で消し炭にしてくれたがな。ふふふっ」

 などとアデルは独り言をいい。


「よし、この混乱と俺の炎による爆炎を利用して、この部屋から抜け出してやる。それにこのメスガキは人質として、このまま最後まで利用してやる。くくくっ」

 しかしこの時すでに、この魔王候補のアデルの運命はい決まっていた。


 そう、この魔王候補の男アデルは、セリカを人質に取らず後ろの扉より逃げていれば、助かっていた可能性が高かったのに余計な事をしてしまっていた。


 このときセリカを人質にして泣かしてしまい、止めにアレスに有無を言わせず攻撃をしてしまった事で逃げられ無い運命になってしまったのだ。


 今までアレスの存在を知らない者は、アレスの隠された能力と大魔王エリザの覇気を受けてもケロッとしている事を、このとき知らされるとは誰も予想だにしなかっただろう。


 そして、この場から後の扉の方に後ずさって、逃げ出そうとしていたアデルは、何故か身体が動かなくなっているのに気が付き混乱していた。

『なぜだ?身体が動かん・・どういうことだ。これは先程の大魔王がいた時のようだ・・!まっまさか!?』


 そう、大魔王エリザが玉座に座って覇気を振るっている時と、同じように身体が動かないのである。


 しかしこの状態に陥っているのは、今逃げ出そうとしているアデルだけであり。

 この魔王候補のアデルは、大魔王エリザが戻ってきたのかと勘違いをしていた。


「まさか、大魔王エリザが戻って来たのか?このままじゃ魂まで壊されて二度と復活できなくなる。このメスガキを利用して・・・。なっ、いっ、いねえ?さっきまで腕の中にいたのに?」


 魔王候補の男アデルはこの後、生きている事さえ後悔する事になるとは思っていなかった様だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ