第2話:大魔王に育てられるかもしれない。
大魔王であるエリザベートの元には、魔獣に襲われているところを助けた時の赤ん坊の男の子と女の子それと、小さな女の子は城に連れて帰った。
男の子をアレス、赤ん坊だった女の子をセリカと名付けた。
それで当時小さな女の子の方は、自分の名前をレイカと名乗っていた。
エリザは、アレス達を救ったあの後、セシリーの待つ馬車へ戻って行くと、エリザの抱いている赤ん坊だったアレスを見て、ものすごく驚いていた。
何せエリザに抱かれている赤ん坊は、すやすやと寝てるうえに、エリザから離れない様に必死にしがみついていた。
その光景をみたセシリーは、この子はなぜ平気なのと不思議がっていると、そのエリザのすこし離れた後ろからマリーが赤ん坊のセリカと少女のレイカを抱いて戻ってきた。
マリーに近づき、先程のエリザが向かった先の事、そして現在、特にエリザの抱いている赤ん坊とマリーの抱いている子達の事を聞いてみた。
するとマリーから信じられない事を、聞かされて驚いて冗談でしょうと思ったが、今目の前にエリザに抱かれている赤ん坊を見たら信じるしかなかった。
それから、赤ん坊と少女の3人を馬車の中に連れて行き、椅子を倒したベットの上に下ろした。
しかし相変わらずエリザの抱いている赤ん坊は、離れようとしない。
仕方無いのでエリザは抱いたままベットに腰を下ろしてから、セシリーとマリーにこの子達をどうしようと聞いてみた。
すると、とりあえずこの近くに、人族の村があったはずなので、そちらに向かい。
そこで、この子達をどうするか考えようと、移動を開始した。
目的の村に近くまできて異変に気がついた。
その村は、先程まで燃えていたのであろう。
何故ならまだ燻り煙が上がっていた。
その光景をみたエリザは、何故こんな状況にと困惑しながら、まだ燻っている火をこれ以上燃え広がらない様に、自身の持っている水魔法と風魔法を操り消し去った。
村全体にエリア探索をおこない生命反応がないか確認してみた。
すると若干1名、しかし反応が弱いが焼け残った家の中にいたので、助け出すようにセシリーとマリーに指示を出した。
そして、助け出したのは神光教会のシスターであった。
そのシスターは、何故かあの焼け残った家、恐らくこの村の簡易的な教会だったのだろう。
シスターは、この教会にあった小さい御神体ヴァルファス神像守る様に、身体に抱えていた。
その御神体には、聖なる守りの加護が付与されていたので、シスターはそのお陰で一命をとりとめていた。
そして、御神体の加護のおかげなのか、それともシスター自身の行ないで助かったのは不明である。
そして、そのシスターを馬車まで連れて行きセシリーが介抱していると、お腹の部分に刺し傷のあとがあるのに気が付き、エリザに声をかけた。
「エリザ様、シスターのお腹に刺し傷のあとが、しかも最近のものです」
その言葉で、何か納得したように二人に声をかけた。
「ねぇ、二人とも恐らくここの村は、襲われたんじゃないかしら」
そう言って、続けて。
「ちょっと前に、人族の赤ん坊と子供が何者かに誘拐されているって噂が、広間っていたから」
「えっ!でも、今まで襲われたなんて話、聞いた事はないですよ」
「だから、今回は例外なんじゃない。だってさっき襲われていた馬車、子供と赤ん坊はいたけど大人の女性の姿が無かったじゃない。それにいかつい男性の亡骸しかなかったじゃない」
その言葉を聞き確かにと、マリーは考えて。
「なら、あの子達は、ここの、この村の子という事でしょうか?」
こくりと首を縦に振り答えた。
そうあの子達の故郷である村は、焼き払われなくなってしまっていた。
エリザは、仕方無いと思いせっかく助けたのだから、最後までこの子達の面倒をみようと考え。
城に連れて帰る事にした。
そして、シスターの方は介抱のかいがあって移動中に目を覚ました。
だが、記憶がなくなっており、自分が何者か何処の出身かを完全に忘れていた。
しょうがないので、シスターも城に連れて行く事にした。
この時、当たり前の様にエリザと話している、シスターに驚いていた。
何故なら魔族でもないのに、しかも平然とエリザと話しているからである。
城に着き、それから数年後、3人はすくすくと、育っていた。
後あの時のシスターは、マリアと名づけられ、今では3人のお世話係と大魔王の付き人みたいな事をやっている。