神聖で廃退的な小さな世界での話
「神を、信じますか?」
まるで宗教勧誘のような問い掛け。
それを投げ掛けたのは、大きく波打つ黒髪に夜のような黒い瞳の少女だった。
教会の礼拝堂にある、長椅子に深く腰掛けた少女は、顎を上向きに俺を見上げる。
長い睫毛が同じく上向きになり、長い前髪と重なり合う。
「……聞いてますか。神父様」
膝に行儀良く置かれた白い手の平は、交差するように重ねられている。
咎めるような声音に、ハッとして少女の顔を見たが、そこに表情らしい表情は浮かんでいない。
俺は胸元で揺れる十字架に触れながら「神父様だからね」と笑って見せる。
が、それは少女の求めた答えではなかったようだ。
詰まらなさそうに、見定めるような色を含んだ黒目が細くなり、そう、と小さく短く吐息のように吐き出される。
「大抵の人が考える神様は、こう、神話に出てくるような具体的かつ明確な存在ではなく、何か……こう凄い力を持っているものだと思うんですけれど」
少女の手が持ち上げられ、宙で指先が複雑に動く。
それは確かに、と頷いてしまうほどに、少女の言っていることは真理だった。
誰しもが、明確な神を提示して祈りを捧げることは少ない。
「まぁ、曖昧なものだと言われるからね」
「……それが何なのかは大して重要でもないとは思いますけれど。結局、人はそれを神と呼び、御仏と呼んだりするのです」
少女は浮かしていた指先を下ろし、膝の上で組み合わせる。
長い前髪が細かく揺れ、瞬きを繰り返し、言葉を続けた。
「名前さえ付ければ、存在するんです。存在することに、なるんです。固有名詞、とでも言うのでしょうか……。例え、そこに何もなくても、何者もなくても。だから、人は空に向かって祈ることが出来るんです」
はぁ、と浅い息が、薄い唇から漏れ出た。
まるで久方振りに声を出したような、語り疲れたような様子の少女は、気だるそうな雰囲気を出し、長椅子の背もたれに寄りかかる。
少女とは一般的に、成人手前までの女の子を指す、幅広い年齢幅で使われる総称だが、目の前の少女は、少女であって少女ではなかった。
垂れる横髪を耳にかけるその姿を見て、既に成人を迎えた女性の面影を見付けてしまう。
その容姿よりも長い時間を過ごしているような、噛み合わない、噛み合わせの悪い部分。
「……それにしても、神父様」
ゆらりと黒目がこちらに向けられる。
無感情でガラス玉のようなそれに、瞬きをしながらも、ぎこちなく首を傾けた。
それを見た少女が、また、浅い息を吐く。
「神父様は、何と言いますか。そう、ですね。えぇ、神、神様という言葉が似合わない方ですね」
一人納得したように頷く少女。
神父が神、神様が似合わないというのは、それは、とても良くないことに思える。
完結して、言い切った少女に問いかけようと、一つ、深呼吸と瞬きをした。
「――あれ?」
長椅子には、誰もいなかった。
それこそ、最初からそこには、何も、何者もなかったように。
***
「おや。こんにちは」
数日後、少女はまるで何事もなかったかのように、教会の花壇に水を撒いている。
いつの間にか花壇には、オレンジと黄色の単色のみのマリーゴールドが植えられており、少女はそれらに水を掛けて回っていた。
葉が青々として、水の粒を残した花弁が、太陽に当てられて光る。
それを見る少女は、満足そうに目を細めると、うん、と一つ頷いて見せた。
「……えっと、何してるのかな」
「見て分かりませんか。花に水を撒いているんです。今終わったところですが」
緑色のジョウロを地面に置いた少女が、訝しげに眉を寄せてそう言った。
何を当たり前のことを聞いているのだ、とでもいうような反応に、そうだよねぇ、と聞いておきながら酷くどうでも良さそうな相槌が漏れる。
「神父様は、やはり神父様らしくないですね。自分で花壇の手入れが出来ないなら、通いのシスターにでもやらせればいいのに」
ジョウロの隣にしゃがみ込んだ少女は、つまらなさそうにそう言うが、その言葉には疑問が生まれる。
瞬きをしていると、こちらに顔を向けた少女が「知ってますから」と目を細めた。
心中を読み取ったような台詞だ。
白い指先が花弁を撫でるように動く。
俺の顔ではなく、花を見ながら少女は簡単に、花壇を弄っていることを詫びたが、まあ、あまり気にしていなかった。
むしろ、有難い。
教会に住み込むような神父になって早三年が経ったが、こう、教会の中は綺麗でも、教会の外、特に花壇の手入れは手を付けていなかった。
正直、雑草の処理で手一杯だ。
自然は好きだが、土いじりに関して専門的な知識を持っているわけでもない。
少女に言われた通り、決まった日に決まった時間やって来る通いのシスターに頼めばいいのは分かるが、こう、仕事を増やすのも申し訳なかった。
心中でぐるぐると言い訳まがいの言葉を羅列していると、少女が何かを思い出したように立ち上がる。
黒い髪が空気を含み、大きく揺れた。
「一つ、そうですね。お願い、しても良いですか?」
何かを考え込むように、下唇を撫でる少女がそう言った。
頼み事、にしては、随分と口調が軽く、あまり興味のなさそうな口振りだ。
それ故か、ほぼ反射的に頷いてしまい、うっすらとした笑みを浮かべた少女に、やってしまった感が出る。
「ただ一つ、簡単なことなんですよ。ただ、あの子に有難いお説教を一つ、与えてくれれば良いんです」
あの子?
瞬きをした俺に、少女は更に続ける。
「えぇ。もう、何と言いますか。そんなに考えても答えが出るようなタイプではないのに、酷く考え込んでいるようで」
頬に手を当てて、芝居めいた溜息を吐いた少女。
瞳が細くなり、俺を通り越して、教会の敷地出入口を見据えている。
「取り敢えず、死にたがりは死んでも生きてるとでも、伝えて頂ければと思います」
胸に手を当てる少女は、黒い瞳を細めて、うっそりと微笑んで見せた。
一体、誰にその不可思議な言葉を渡せばいいのか分からない。
問いかければ、はて、と首を傾けた少女が、まるで物語を語るように、燃える赤の女の子ですよ、と告げる。
燃える赤、繰り返す言葉に、少女が満足そうに頷き、やはり、また、瞬きの間に姿を消した。
ジョウロは、少女が立っていた直ぐ横に置きっ放しだ。
取り敢えず、ジョウロをしまうために持ち上げたところで、少女が見つめていた、教会の敷地出入口に、燃えるような赤を見た。
見間違いかと思い、二度見して確認してしまったが、見間違いではない。
どうしようもなく目立つ、長い、赤い、髪。
戸惑うように教会を見上げる瞳は、薄い茶色だった。
近隣高校の制服を着ている。
白いシャツに濃紺のブレザーを着込み、スカート丈は膝が見え隠れする校則スレスレだ。
「……こんにちは」
マジかぁ、という呟きを喉の奥へと飲み下し、何とか彼女に声を掛けた。
揺れる薄茶の瞳が、ゆっくりと地面に落とされ、小さな会釈がされる。
「こんにちは」と消え入りそうな声は、どうにもその容姿からは、想像出来なかった。
もっと、こう、通りの良いハツラツとした声を想像していたのだ。
「入らないのかな?」
赤い髪が風に遊ばれて揺れる。
教会に入ることを促せば、垂れ気味の眉が眉間へと寄った。
力なく首を横に振る彼女は「祈りとか、ないので」と告げる。
迷うように動く瞳が、ぎゅうっと閉じられた。
「死んだ人は、祈ったって生き返らないじゃないですか」
語尾を強く、吐き捨てるように言った彼女に、あぁ、と内心頷いた。
少女が指し示したのは彼女だ。
そして、少女が音もなく、瞬きの間に姿を消すのは、少女が人の形を取りながらも、人ではないからだ。
「……ごめんなさい。帰ります」
下げられる頭。
スカートの裾が翻るのを見て、何を考えるよりも先に、渡された言葉を、吐き出した。
「死にたがりは、死んでも生きている、そうだよ」
彼女の足が止まり、ローファーが地面を削りながら振り返る。
見開かれた薄茶の瞳には、驚愕と奇妙なものを見る色が加わっていた。
「なん、で」
はくはくと開閉する唇から、困惑の声が出された。
反射的に俺に掴みかかってくる彼女。
首からぶら下げた十字架が揺れる。
「ほら、俺、神父様だから」
「理由になってませんよ」
肩を掴んだ彼女の指が食い込む。
有難いお説教を、とは言われたものの、そんなことをしたことはない。
少なくとも、自分自身の言葉を有難いものだと思ったことはないのだ。
別に、神託でもあるまいし。
「人っていうのは、俺が思うに、死を恐れるものだけれど、乗り越えられるものだと思うんだ」
彼女の手を離して、下ろす。
目を合わせれば、薄茶の瞳の奥で、確かな強い光が宿っていることが確認出来た。
「俺には何を伝えたかったのかは分からないけれど、君になら分かるのかな」
「……」
むっ、とした顔になった彼女は、俺が下ろした手を持ち上げ、長い髪を肩からすくい上げて揺らす。
瞳が強い光を放つ。
「作ちゃんは、誰よりも死に近い生でした。神様に愛されてる、そう信じてました。それでも、その言葉はただの皮肉です」
少なくとも、私はそう考えます、と唇を尖らせた彼女が付け加えた。
「つまり、死んでも生きてるんですね。後悔は、ないと思います。だって、作ちゃんはいつだって自分で決めたことを、振り返って嘆いたりしなかった」
背後で笑い声が聞こえた気がしたが、彼女は何の反応も示さなかった。
長い横髪を耳に引っ掛けながら、その鮮やか過ぎる髪色に良く似合った、強気な笑みを浮かべている。
「あぁ、きっとつまりはそういうことです。作ちゃんは、迎えに来てくれるんですね。良かった。私はまた、ちゃんと作ちゃんに逢えるんだ」
最後の方の台詞には悦が混ざっていた。
勿論、それを指摘出来るような関係でもないので、唾を飲み込んで頷く。
少女も変だが、彼女も変だ。
赤い髪を揺らす彼女は酷く楽しげで、無邪気な子供のようなそれだった。
「ありがとうございます。また、来ますね」なんて言って、今度こそスカートを翻して去って行く彼女。
一時的な大嵐に遭った気分だ。
「うはっ、うははっ。美緒ちゃん、最高っ」
背後では両手を叩いて笑う少女がいる。
首だけで振り返って見れば、ケラケラとした笑い声の割に、笑顔は薄い。
黒い髪を大きく揺らしながら笑った少女は、一通り満足したのか、ふぅ、と息を吐く。
すると、俺に視線を向けて、黒い瞳を細くして見せた。
彼女は色彩豊かに見えたが、少女はモノクロ、彩度が低く見える。
「神父様は神に仕える存在ですから、神が見える見えないはあまり重要なことではないでしょう」
「いるかいないか、は問題だけどねぇ」
「えぇ、えぇ、そうでしょうとも。ですが、彼女――美緒ちゃんにとっては、自分の目で見えないものはいない、存在しないになるんですよ」
つまり、美緒ちゃんの中では、神父様の仕える神様は存在しないのです、と少女は薄い笑みを浮かべたまま言った。
教会にいると、当然神様を信じる人ばかりで、ここまでの話はなかなか聞けない。
信じるも信じないも、その人次第とはよく言ったものだ。
内心、深く頷いている俺に、少女は爪先で地面を叩きながら「だから、例え普通の人間であったとしても、彼女の中では神になる。神になれるのですよ」納得のいく答えをくれた。
つまりはこういうことだ、彼女――美緒ちゃんの中では、少女――作ちゃんは神化している。
「さて、理解してもらえたところで、改めまして、作ちゃんと呼ばれてた元人間です」
とん、と少女が地面を蹴る。
重力を無視した少女が宙に浮くのを、俺は確かに見ていた。
「今は死神もどきをやってます」
顎を押し出して笑う少女は、どこまでも不敵だった。
***
数ヶ月経っても、少女はそこにいた。
ステンドグラスの前を陣取るようにして、宙に浮いたまま座り込んでいる少女。
白いシャツに黒いパンツと黒い薄手のコートを着込んでいるが、何故か毎日ループ帯のモチーフだけが変わる。
こだわりなのかとも思うが、聞いたことはないので真偽は不明。
特別何をするわけでもなく、そこにいる。
ただ、生きたいと願う者と死にたいと願う者を見た時だけ、嘲笑を浮かべていた。
後は、花壇の手入れをしている。
「神父様は毎日毎日飽きもせずに、神様に祈りを捧げていますけれど」
「うん。それが仕事だからねぇ」
「……返ってくるんですか?それ」
黒い目なのに、白い目を向けてくる少女。
ふよふよと宙に浮きながら、どうでも良さそうに問いかけられて、瞬きをする。
「そういうのを考えたことはないなぁ。そもそも、死神だって神様でしょう?」
「……ボクが神かどうかなんて問題じゃないんですよ。それに、ボクは無神論者です」
珍しく嫌そうに顔を歪めた少女は、唾を吐き捨てる勢いでそう言った。
胸元に指先を当てて「良いですか」と前置きする少女に、組んでいた指先を解いて頷く。
「美緒ちゃんはボクのことを神に愛されたとか言ってましたけれど、ボク自身はそんなことないと思ってます。ただ、少し他人よりも頑丈だっただけ」
頑丈、と呼べるような容姿では到底ない。
白い肌は不健康な青みを見せ、細い指先では椅子の一つも持ち上げることが不可能に見え、細い手首は掴めば折れそうで、腹部に触れれば骨を感じそうな体だ。
不健康で薄っぺらくて不安になる。
いや、既に死んだ人間で死神なら、不安も何もあったものじゃないのだろうけれど。
「ずーっと死にたかったんですよ?それを願っていたのに叶えずに生かす神ならば、そんなものボクは認めません」
少女はコートの裾を翻しながら、俺の周りをぐるぐると回り始める。
生きていれば、三半規管が機能して具合も悪くなるが、如何せん、少女は死んでいた。
「繰り返し自殺をして早数千回。死んだと思ったら、生きているように死んでいて、義務を熟さなければ死ぬ権利さえ与えられない。世の中は理不尽に満ち溢れています。生きてるから死ぬ権利があったんじゃないですか」
「……え、義務?権利?」
半分聞き流すように、うんうんと頷いて聞いていたが、耳を疑うような、聞き間違えたのかと思うような単語が混じっていた。
少女の顔を見れば、一瞬だけ、はて?と首を傾げて見せたが、次の瞬間には面倒臭いとでも言いたげな顔になる。
数ヶ月一緒にいただけで、随分と少女の表情の変化に敏感になった。
「ボク、死神もどきですから。魂を迷子にせずに運ぶのが仕事です」
ふわりと祭壇の上に座り込んだ少女は、溜息混じりにそう言った。
確かに、死神は別段、魄を斬る刀なんかを振り回したり、鎌を振り回して無理やり殺すのが仕事ではないだろう。
神父になるよりも前、学生だった頃に色々な神話などを読み漁った頃が懐かしい。
俺の意識が別の方へと向いているのに気付いた少女は、前髪の奥で眉を寄せる。
揺らされる足は、完全に暇を持て余しているそれだ。
「何か、質問は?」
「その魂を運ぶところは見たことないなぁって」
「してませんからね」
少女はけろりとした様子でそう言う。
言葉を失った俺に対して、子首を傾げるようにして斜に構える。
「何で死ねないボクが死ねる人間を甘やかさなきゃいけないんですか」
少女は見事なまでに無表情だ。
肖像画や彫刻のように整った顔が、何の表情も見せないと、それこそ生きた心地がしない。
――まぁ、死んでるけど。
「死ぬ権利すら奪われたボクが何故……」
「いや、そもそも何で死にたいの?俺、神父だからそういうのどうかと思う」
祭壇の上に乗っていた、白く曲線の目立つ花瓶に生けられたマリーゴールド。
日毎に変わるそれは、やはり少女が用意しているもので、それを抜き取った少女は不満そうに両足を揺らす。
「面白味のない答えですね」と言う少女の目は、温度を感じさせない。
ぶち、ぶち、花弁が一つ一つ毟られていく。
「生きてるから生き続けたいし、死にたいんですよ。死にたいだけに、理由を求めるだけ無駄ですよ」
毟った花弁を手の平で握ったまま、それを口に放り込む少女。
止める間もなく、それを咀嚼する。
マリーゴールドって、食べられたっけ。
「ただ、大切な魂の一つ二つくらいは、責任を持って運びますよ。それまでは、生死に振り回される普通の人間を嘲笑うようにそこにいます」
「嘲笑ってる自覚あったんだぁ……」
教会に来る人の顔を見下ろす少女の顔を思い出して、遠い目になり、遠い声を漏らせば、そりゃあもう、と頷く少女。
生きたい願いに関しては、どうするべきかは分からないものの、死にたい願いに関しては、ただ死ねば良いと言う少女は花弁を飲み下していく。
「……死神を辞めることは?出来ないの?」
「無理じゃないですか?もう死んでますし。本来の体は、既に灰になって骨しか残ってませんよ」
ぶちぶち、もしゃもしゃ、花弁を毟っては咀嚼を続けながら、答える少女。
酷く真面目な話だが、まるで別世界の話にも聞こえる。
少女は確かに目の前のそこにいて、言葉を交わすことが出来るのに、本来の人間としての肉体を持たないのだ。
そんな不思議な話、生きている間に一度経験出来るかどうかだろう。
「俺が一緒に膝をついて懺悔しても?」
口の中に放り込んでいた花弁が落ちる。
足元に広がる黄色を見ながら、ねぇ、と少女に詰め寄れば、クシャリと音を立ててマリーゴールドの花の部分を握った。
握り潰されたそれが、床に落ちるのを見れば、少女は額を押さえる。
「やはり、神父らしくないですね」
責めるような響きはない。
ただ、呆れの色を含んだ声音だった。
「君にもっと早く会いたかった」
「それは光栄ですね」
「もしかしたら、もっと、違う未来があったかもしれないのに」
少女が適当に相槌を打つのを見て、手を伸ばす。
白くふっくらとした曲線を描いている頬に、指先が触れるか触れないか。
「神父様、何してるんですか?」
ギィィ、と扉が軋む音がして、それよりも大きな声がした。
手を宙に浮かしたまま、振り返れば、そこには赤い髪の彼女――美緒ちゃんがいる。
今日は、制服じゃなくて私服。
ベージュのゆったりとした上着に、ピッタリとしたサイズのあったパンツだ。
俺は瞬きを一つして、祭壇を振り返る。
足元には、確かにマリーゴールドの花が落ちているのに、祭壇に座り込んだ少女はいない。
「ううん。何でもないよ」
俺が笑えば、彼女は実に不思議そうに首を傾け、マリーゴールドに目を瞬いた。