B級バックラー悪役令嬢 エレオノーラ
エレオノーラ・ファン・フリートはブチギレていた。それはもう烈火のごとく怒っている。前世で牛丼チェーンの社員をしていた時に、人手不足でまるひと月もワンオペをさせられたあげく、残業代をすべてカットされた給与明細を渡された瞬間と同じくらい、髪の毛を逆立てている。
額には極太の青筋が浮き上がり、ブルブルと拳を震わせる。その怒りは、扉の影で主人のすさまじい形相を目の当たりにして震えていた侍女を目眩で倒れさせるには充分だった。
「ふ・ざ・け・る・なぁぁああああ!!!!」
そして、エレオノーラの怒りが王都中に響き渡ったんじゃないかと疑うほどの大音声で屋敷を駆け巡り、綺麗に整えられた爪が、王子からの手紙をビリビリに引き裂いた。
エレオノーラは16歳。花も羨む公爵令嬢である。
聖王国の公爵家のひとつ、フリート公爵家の長女として生まれた。きょうだいは弟がひとりだけいるけれど、あまり仲は良くない。
一つだけ他の令嬢と違うところを挙げれば、前世の記憶を持ってこの世界に生まれ落ちたこと。
4歳とか5歳くらいのとき、二回目の物心がついて間もなく彼女が思い浮かべた言葉は「ここ、乙女ゲームの世界だ……」であった。
しかもこれ、悪役令嬢になっちゃったパターンだ。どうしよう。
いやいやいや、確かにわたしはエレオノーラ・フリートって名前みたいだけど。それが乙女ゲームの悪役とまるきり同じ名前で貴族だからって、わがまま娘で悪役令嬢のエレオノーラとは限らないじゃない。
とりあえずは真っ当に生活してれば、たいていのトラブルは避けられるんじゃないかしらん。そのあとは適当なお見合い相手のお婿さんと結婚して、お家を存続させれば(この時のわたしはまだ一人娘だった)、お貴族様のスローライフが送れそう。前世、過労死しちゃったし。わたしもお金に恵まれた人生でのんびり暮らしてみたい。
……なんて人生設計を考えつつ、両親からこれでもかというほど甘やかされながら、7年くらいの日々を漫然と過ごしていたエレオノーラ、当時12歳。
あー、一回目の人生でこんな風に育つと聞かん坊のわがまま娘になるんだろーなー、なんて思いつつ侍女に淹れてもらった紅茶を一口。
確か、ゲームの私はお父様に王子との婚約をねだって、しかもそれが権力でねじ込めちゃうポジションなわけだから、あんなストーリーになったんだよなー、社交界デビューしたらさっさと適当なお見合い相手見つけて、シナリオからトンズラしよーかなー、なんて考えていたらさあ大変。
お父様、つまりフリート公爵は、実はものすごーく野心の高い人物で、しかも前々国王様の妹の孫(ややこしいな)を娶っていたものだからもう面倒。わたしのおねだりなんか無くても、わたしを、王太子たる第二王子さまの婚約者にするつもりだったらしい(なぜ第二王子が王太子なのか疑問に思う人もいるかもしれないけれど、理由はごくごく単純。第一王子さまが体の弱さを理由に継承権を放棄したのだ。女好きな第一王子さまにお会いしたことのあるわたしには、ただ政務をしたくないだけに見えた……)。
しかもフリート公爵家じたい、臣籍降下した家でもともとは王族だし(創設は二百年くらい前だけど)。わたし、薄っすーーくても王家の血が入ってるから、王太子妃になる資格は一応あるわけで。
国王様も王子たちの度を過ぎたお遊びで財政が逼迫する中、財力のあるフリート公爵家に目をつけていたから、win-winだ! ってことで、フリート公爵と手を組んだ。
……どういうことかというと、社交界デビューでツテを作ってお見合い、なんてするまでもなく。のんきに紅茶なんて飲んでる間に、わたしの結婚相手はシナリオと同じように第二王子さまに決まっていたのであった。まる。
それでもわたしは頑張った。
ゲームの私は、能力もなく美人でもなく、努力したわけでもなく、ただ親の権力と血統だけで婚約者の座にあぐらをかいてたわけだから、妬まれっぷりは半端じゃなかったんだよね。
だから現実のわたしは、悠々自適の生活をぜーんぶ諦めて、歴史も算術もダンスもお作法も、外交術も帝王学も、そしてスタイルやお化粧でも、第二王子さまの隣に立てるだけの人物になるためにずっと頑張ってきた。
そりゃたまには怠けて侍女に怒られたり、ストレスのせいでバラ園のバラをむしゃむしゃしたりしたけど……。
そんな涙ぐましい努力のかいあって、第二王子のアンドレさまとは親密な関係を築けていたとは思ってたし、散々ちょっかいをかけてきた他の十公爵家のご令嬢たちを黙らせることにも成功していたのに!
なぁ〜にが「もはや君を愛することはできない。君はこのままいけば正室になることはできるが、お飾りだ。子供を作ることはできないだろう。私が真に愛しているのは別の女性ただ一人なのだから」じゃボケ王子コラ! こっちゃてめーの身勝手で傷物にされてんだぞ! わたしの処女返せや!
だいたいからして、そんな想いは心ん中にしまっとけ! わざわざ手紙で寄越してくるんじゃねえ!
そして、悲しくて辛くてボロボロ涙を流し、この期に及んで気づいたのは第二王子アンドレへの恋心。政略結婚だから、と自分に言い聞かせて頑張っていたはずだったのに、わたしはいつの間にかアンドレ王子のことを懸想していた。いつも余裕たっぷりで、でも気取ってなくて優しくて、日々にさり気なくユーモアを交えてきて、細かいところまで気配ってくれて……。
でもそれは、都合のいい駒を手元に置いておくための戦術だったわけだ。チクショウ。
人が頑張って頑張って頑張ってる間に、手前は浮ついた女に国庫の金で貢ぎまくりキャッキャウフフしてたんだからな。くそっ。悔しくて、今ならおへそで茶が沸かせそうだ。
わざわざこんな手紙を送ってくるなんて、アンドレ王子はほんとにお人好しだと思う。その優しさが、余計にわたしを傷つけるんだけど。彼を嫌いになれない自分に腹が立つ。
これから、どうしよう。破り散らした手紙を握りしめ、どうしよう、どうしようとばかり考える。ゲームの私も、こんな気持ちだったのかな。だからヒロインのユリアに嫌がらせしたり、当たったりしたのかな。ひっく。悲しくて、嗚咽が止まらない。頭に血が上って、なんでもいいから当たり散らしたくなる。足元にぽたぽた涙が垂れる。わたしはしばらくの間、立ち尽くすことしかできなかった。
あの日のわたしが何を思って絶叫したのか、侍女たちは触れないし、お父様にも報告しなかった。
ビリビリの手紙を掃除して、無言で大粒の涙を溢すわたしの頬にハンカチーフを当ててくれて、いつも通り温かい紅茶を淹れてくれて、お風呂にはたくさんのバラを浮かべて、ジャスミンの石鹸で優しく髪を洗ってくれた(余計な気を遣ったのか、バラは食用のやつだったけど……)。
たぶんみんな、手紙の内容は知っているのだと思う。忘れようとしてお父様や王子の仕事をがむしゃらに手伝うわたしを、黙って支えてくれる彼女たちが、もしいなかったら、と思うと……。ぞっとしない。
そう、わたしは今まで以上に政務に精を出すようになった。朝早く起きて夜遅くに帰ってくるのは当たり前。ときには夜を徹して仕事を片付ける。正真正銘「第二王子の妃として相応の人物」になるためだけに働いていた。
アンドレ王子と通っていた学園も行かなくなった。学園はもともと、貴族の子女が、その地位にふさわしい振る舞いを身に着けたり、将来の婚約者を見つけるために設置された部分が大きい。婚約者の身で国外を飛び回るわたしには必要のない施設だったのだ。
それに……、アンドレ王子が学園に通っていたのは、見初めたユリア嬢を将来の側室として教育する、あるいはただ二人の時間を作るのが目的だと判ったこともあって。わたしがそんな場所にいて、ユリア嬢にちょっかいを出さない自信が持てなかったから。
そうして政務に打ち込んでいたら、あのクソみたいな手紙が送られてきた日――わたしは心の中で、「手紙の日」と呼んでいる――から、いつの間にか2年とちょっとが経ってしまっていた。
今日は、学園の卒業式の日。忙しく外国を飛び回っていたわたしの働きは、国王陛下や宰相たち、国の重鎮にも評価されて、特別に授業単位や出席免除での卒業を許された。彼らが、王子がわたしに出した手紙の内容を知っているのかそうでないのかは分からないけれど、少なくとも婚約者の令嬢としては認めてくれているようだった。
アンドレ王子とユリア嬢は相変わらず仲良しこよしみたいで、無謀にもわたしに忠告してくれるお人好しな令嬢が何人かいた。わたしとアンドレ王子が仲違いしているのは、学園では公然の秘密になっているらしい。わざわざどうもありがとう。わたしがゲームの私だったら、今すぐ飛び出て行ってアンドレのくそ野郎をボコボコにしてるとこだぞ。しないけど。
誹謗中傷を遠ざけるために付いてきてくれた護衛のヴィルジールくんは、「もし王子とかユリア嬢がこっちに来ようとしても、お嬢様には絶対に触れさせません。殴ってでも止めます」なんて言ってたけど、その必要もなさそうでホッとしている。王子を殴ったヴィルジールくんが打ち首になるところなんて見たくないし。
ヴィルジールくんは私より2、3コ年上で、隣国の子爵家の生まれ。たしか五男だったはず。
わたしが海外を飛び回ってる時に出会って、偶然夜会でダンスのお相手をしてもらって、一目惚れしてしまった。
でもそれは彼には内緒で、高い実力と実直な性格から、祖国でその武威を認められている、っていうのを理由に、わたしが個人的に雇ったのだ。さっきも嫌みを言いに来た公爵家の女をさり気なく遠ざけてくれたし、こっちの文化にも慣れてきたみたいで、こういうときとっても頼りになる。
彼がなぜ聖王国に来てまで私の護衛をしてくれているのかは謎だけど、理由は絶対に喋ってくれないから、とりあえず私の魅力のなせる業なんだなーアハハー、なんて気楽に考えてる。
そんなことをぼんやり思い返してるうちに、卒業式が始まった。学園主席――つまり王子の挨拶の段になり、彼が「卒業式の最後に、大切な話がある」と言葉を発し、遠目に見えるユリア嬢が頬を明るく染めた瞬間、わたしはヴィルジールくんに目線を送った。彼も微かに頷き、今後の予定を理解していることを示してくれる。
恋は盲目というでしょう。そしてそれは、今のアンドレ王子やユリア嬢にぴったりの言葉。
しばらく仕事が楽しくてすっかり忘れていたけれど、ここはもともと乙女ゲームの世界。転生者の私が何よりも恐れていたのは「断罪イベント」だったし、学園にこっそり送り込んでいた密偵からも、シナリオ通りに彼らの恋が進んでいるのはハッキリしていた。違いがあるとすれば、わたしが学園に通わなくなったことくらい。だけどこのままいけば断罪を回避できるかも――なんて甘いことは言わなかったし、事実こうしてイベントは進んでいる。
校長の話や褒章の授与もそこそこ聞いたところで、わたしは気分が優れなくて耐えきれなくなったふりをし、お付きの者を呼んでくれるよう周りに囁く。そして駆けつけたヴィルジールくんが、手筈通りにわたしを運び出してくれる。アンドレ王子たちが気づいた様子はない。さっき声を掛けてくれたお人好しの令嬢たちが壁を作ってくれたのだ。あとでお礼を送らなきゃ。
「ふふ、うふふ」
学園を出て、どこぞの侯爵家のものに見えるように紋章を偽装した馬車に乗り込んだとき、わたしは抑えきれない笑いをこぼしてしまった。嬉しくて、思わずヴィルくんにキスしてしまう。
彼は驚いて目を瞠ったけれど、何も言わずにわたしの唇を受け入れてくれた。ヴィルくんの舌はミントの香りがして、すこし塩のしょっぱさがした。わたしにキスしようと思って準備していたのかもしれないし、改まった場での護衛だったからエチケットを大切にしたのかもしれない。わたしはそれが心地よくて、目をつむったまま、ヴィルくんの腕の中で少しだけ甘えさせてもらった。
彼はしばらくわたしの唇を堪能すると、すこし名残惜しそうにしつつ、手綱をとった。わたし達が向かう先は、聖王国の領内でも彼の故郷の国でもない。この国からはちょっと離れたところにある、ご飯がとっても美味しい国の、自然豊かな辺境だ。わたし達夫婦はその土地に根付いた一貴族として、ラブラブの生活を送るのだ。
ことの始まりは、外交で外国を飛び回っているうちに出会った、沿海王国の女公爵・シャーリーさん。愛称はシャル。
シャルの領地は交通の便が悪く(悪口じゃないの! ごめんなさい!)、あいにくの天候もあって……何日もお世話になっているうちにとっても仲良くなって、わたしが自分の身の上を話したことが転機になった。
そのときちょうど、シャルの身内にヘマをやらかして流刑にされた(!)伯爵がいたらしく、その後継をどうするか、沿海王国の国王陛下(何度か謁見させて頂いたから、お顔はわたしも覚えている)と一緒に随分と心を砕いていたらしい。
そこにぽっと現れたのがわたし。地理的にも政治的にもちょっと離れた国の出身でバレにくく、身分も確かで、能力も申し分なしの、しかも薄いながらに王族の血をひいているのだからこんなにいい物件はないと、だいぶ熱心に引き抜きのお話を持ちかけられた。
わたしとしても渡りに船だったわけで、アンドレ王子への恋もすっかり冷めて、愛するヴィルくんとも何度か体を重ねてしまっていたし、さあ乙女ゲームの後始末をどうしようと策をこねくり回していたから、一も二もなく飛びついた。
わたしはお取り潰しになった伯爵家&女公爵と同じ血を引く令嬢だけど、やんごとない事情で今まで身を隠していました! という設定でのお披露目パーティからの、王子の取り巻きだの祖国の他公爵家だのと言葉の殴り合いで培ったコミュニケーションスキルを発揮して、沿海王国の重鎮たちにあれよあれよという間に気に入られ、評判も上々。
聖王国がわには「ちょっと他の国を視察してきます」との名目で、沿海王国のパーティだの会談だのに出席しまくり、ここ2年で地盤がためもバッチリ。女公爵と沿海王国の陛下の手助けでヴィルくんの出自をでっち上げ、サクッと結婚式も済ませ(後で聞いたら、この時のヴィルくんは書類上の結婚だと思っていたらしい)、旧伯爵領を賜り、わたし達は名実ともに沿海王国の伯爵家となったのであった。うふ。
今頃は王子とユリア嬢、あとお父様が血眼になってわたしを探しているだろうなあ。ご苦労様。
ちなみに、立つ鳥跡を濁さずじゃないけど、王子には公爵令嬢の処女と同じ重さのぶんだけ、こっそりと嫌がらせを仕掛けてきておいた。
そもそもの話が、王子が恋愛にかまけたとき誰にしわ寄せが来るかって言ったら、当然婚約者のわたしに来るわけで。
恋愛に夢中な王子がなぜ問題にならなかったかというと、あとはハンコを押すだけで、王様から回されてきた政務が終わりますよ〜って状態にしておいてあげただけの話。お国としても、仕事キチンとやれてるなら、そんくらいは目を瞑りますよという配慮があったのだ。
王子は卒業式を抜け出したわたしを追って、大リストラしまくり&夫人が帰省してがらんがらんになったフリート公爵家に突入するだろう。そしてわたしの執務室にたどり着いたあたりで、わたしがどういう仕事をしていたのか、たぶん気付くんじゃないかな。彼も地頭は悪くないはずだから。
前世の睡眠は店舗のバックルームで毎日一時間が当たり前、シフト作りやら報告書やらシフトの穴埋めで過労死したわたしのスケジュール管理力は伊達ではない(もちろん、ダメなほうの意味で)。
……そして、育てたバイトが突然バックレたときのダメージも、よぉぉおおお〜〜〜〜く知っている。
そのために、この2年で宰相からどんどん仕事をぶんどってきて、王子が5人くらいいないと仕事が回らないように増やしておいてあげたのだ。
ユリア嬢とイチャコラするばかりで社交界にもロクに顔を出さず、たいしたツテも持ってない第二王子さまが、現代社会で培ったわたしと同等の処理能力をもつ人材を引っ張ってこれるか、って言ってもたぶん無理。そして王子が自分でやるのはもっと無理。ふはは、ザマーミロっ。
あぁ、真っ青になるアンドレ王子、見たかったなぁ。たぶん、バックレたバイト君たちも、こんな爽快感を味わっていたに違いない。今なら彼らの気持ちがよくわかる。
ま、いざとなれば仮病を理由に継承権放棄して遊んでた第一王子さまもいるし、大丈夫なんじゃないかなあ。わたし、知ーらない。
ちなみに、執務室を隅々まで探されても大丈夫なように、公文書から馬車の領収書に至るまで、沿海王国との交流の書類はキッチリ工作しておいたし、移動で使った商会とか御者から情報が漏れないよう細心の注意を払った。
浮気して(女を雇って籠絡したのはわたしなんだけど)家にいないフリート公爵の執務室に忍び込んで、わたしに心から仕えていてくれた侍女をクビにするよう書類工作もして、彼女たちは沿海王国の伯爵家で雇い直しておいたので、事後処理は完璧。足りない人手はてきとうに娼婦上がりの侍女を見繕って高給で雇い入れておいたので万事オッケー。お母様は浮気親父に愛想尽かして、幼い弟と実家に帰ってるので、その辺も問題なし(今のところは)。そもそもの話、今のままでも充分に地位もお金もある暮らしができていたんだから、お父様が変な権力欲を出さなければ普通の人生を幸せに暮らせていたのだ。ちょっぴりキツい仕打ちかもしれないけど、娘の机に積まれた書類の山を見たら、そこに残ってるわたしの無言のメッセージくらいは受け取ってくれると信じてる。書類を山積みにしたのは、すこーしだけ当てつけも入ってるけど。
それから、お父様にけしかける女を準備してるときに、ついでなのでユリア嬢にもイケメンのヤリチンを何人か見繕っておいた。ひとの大切なものに手を出すとどーゆー報いを受けるのかを思い知ってほしい。単調アンドレの短小じゃ満足できなくされてしまえ。
窓から顔を出すと、ゴトゴトとのどかに流れる緑が目に眩しい。
幸せに暮らすために、もうわたしに必要ないものはぜんぶ聖王国に置いてきた。公爵家の身分も、家族も、友達も……そういえばこれがあったなと、わたしは一つだけ持ってきてしまった物に気づいた。
わたしは思い出の中のアンドレの笑顔と一緒に、薬指に嵌めていた指輪を眺める。そして、少しだけ優しく撫でてから、馬車の外に見えた葦の沼地に向かって、思い切りぶん投げた。
B級バックラー
仕事を覚えて、職場の主力に近い立場を取得した後、消える。
そのバックレ効果は絶大であり、職場に致命的なダメージを与えることもある。
忍耐力のあるバックラー、という資質が必要となり、労働時間が長くなる為、C級バックラーと比較すると少数である。
出典:2ちゃんねる