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第4話 姉さん付きデート開始

ここから一話が少し長くなります。




 ───いないはずの姉さんがそこにはいた。



「貴司、どういうことか説明してもらえる?」



 いつもの優しい姉さんの顔はそこには無かった。



「ね、姉さん………何で………」


「“何で”はこっちの台詞だよ?」


「姉さん、今日は学校があるはずじゃ…」


「貴司?」「貴司くん?」「貴司さん?」「………」


「えっと……ごめん皆。」


「え?」「それは…」「どういう…」「………」



 4人が口を開く前に姉さんが話し出した。



「ねぇ、貴司。今日は男友達と約束があったんだよね?」


「それは……」


「男の子はどこにいるの?」


「ごめん。」


「………ごめん?」


「嘘…ついてた。この4人は俺の彼女で、今日はデートしに来たんだ。」


「っっっ!!!」



 さっきまでの冷たい目から一変、姉さんの目が見開き血走る。



「彼女って、どういうことっ?!」


「どういうって…付き合ってるってことだよ。」


「なっっ!!!」



 絶句する姉さん。



「嘘ついて本当にごめん。本当はもう少し経ってから紹介するつもりだったんだけど…」



 ばれてしまったのでは仕方がない。言い訳して変なぼろが出るよりも、正直に話した方がいいだろう。距離を取っていた4人に手招きをすると、おずおずと姉さんの前に出てくる。



「皆に紹介するよ。俺の姉さん。」


「あ、あのっ!私、琉卯って言いますっ!よ、よろしくお願いしますぅ!!」


「わ、私は唯っす。よ、よろしくで~す。」


「お初にお目にかかります。華と申します。よろしくお願い致します。」


「わ、わた…私…は………紫…苑……とい、言…いま…す。」



 4人がそれぞれ自己紹介する。

 紫苑はいくらなんでも緊張しすぎだろう。



「ふ~ん…」



 目を細めて4人を品定めするように見る姉さん。



「今日はこの4人との初めてのデートなんだ。」


「お姉ちゃんに嘘ついてね…。」


「う………」


「貴司はいつから嘘つく悪い子になっちゃったの?」


「ご、ごめん。別に騙すつもりじゃなかったんだけど、姉さんは認めてくれないんじゃないかと思って…」


「当然でしょっっ!!!」


「「「「ヒッ!!!」」」」



 姉さんの怒りで4人が震えあがる。



「貴司はまだ高校に入学したばかりなのに、女と遊ぶなんて心配しないとでも思ってるの?襲われたらどうするの?」


「いやでも、唯も琉卯も華も紫苑もいい子だよ?」


「貴司は女の怖さを知らないから言ってるの!表面ではいい顔してても裏では何を考えているかわかったものじゃないわ!!」



 ギロリと4人を睨みつける。

 蛇に睨まれた蛙のように微動だにしない唯、琉卯、華。紫苑に至っては、ガクガクブルブル震えている。



「あんまり4人を責めないでほしいな。俺にとっては大事な人たちなんだからさ。」



 俺は姉さんから庇うように4人の前に立つ。



「貴司っ!?」


「じゃないと、俺……姉さんのこと少しだけ嫌いになってしまうかもしれない……」


「そ、そんなっ!!!貴司に嫌われたらお姉ちゃん…お姉ちゃん生きていけないぃっっ!!」



 ブラコンの姉さんに対してこの台詞は卑怯だと思うが、この4人を守るためには仕方ない。



「わかった。わかったから…お姉ちゃんを嫌いにならないで?ね?ね?」


「ほっ…。認めてくれて良かった…。」


「え?認めるとは言ってないわよ?」


「えぇっ!?今、わかったって…」


「デートするのはいいけど、付き合うのは認めない!」


「そんなっ!?」


「認めてほしかったら、私を納得させてみなさい!男の背中に隠れているような女なんか認めないわよっ!!」



 4人はその言葉に反応して、姉の前に一列に並んだ。



「ふ~ん…。まあいいわ。それじゃ…」




 姉さんは唯、琉卯、華、紫苑を一人づつデートさせて、俺に相応しいかどうかをテストするらしい。デートの様子を見て、俺に相応しいと姉さんが判断したら認めるということだ。


 何それ?無茶苦茶だろ、認める気ないよ絶対…こんな不利な条件断る方向で…



「やりますっ!」「私もっ!」「認めてほしいですっ!!」「わ、私も…」


「ふふん、いい度胸じゃない。そういうのは嫌いじゃないわ。」



 おいおい。何でだよ!?

 君たちは本当にAクラスの成績優秀者なのか?こんな不利な条件を呑むなんて考えたらわかるだろうに…。



 という訳で“姉さん付き”デートが始まってしまった。






◆◆◆◆◆






 俺たちは、とりあえず休憩スペースへとやってきた。


 遊園地案内所から持ってきたパンフレットを広げて食い入るように見続ける4人。理由は俺を連れていく場所を吟味しているからだ。

 姉さんが「女は男を楽しませることができないと駄目よ。男に選んでもらうなんて論外ね!女なら男をエスコートしなさい!」と言ったせいである。



「いつまで待たせるつもり?貴司が飽きてしまうわよ!!」



 (あお)る姉さん。

 いやいやいや、姉さんのせいで決まらないんだよ。皆、一生懸命考えてるのにそんなこと言ったら…



「私、決めた!ここにするっ!」



 唯が声を上げる。



「へぇ、あなた…名前何だっけ?」



 さっき自己紹介したのに覚えてないのか…。



「唯…です。」


「…唯ちゃんね。で、どこに貴司を連れて行ってくれるの?」


「観覧車。」


「観覧車ねぇ…別にいいけど。」


「……はぃ。」


「それにしても唯ちゃんて、何かチャラチャラしてるのね?髪とか金色に染めたり飾り多かったり、何かあんまり印象良くないなぁ。」


「えっ!?」


「別に。唯ちゃんがそれでいいならいいけどさ。ギャルっていうのかな…私あんまり好きじゃないんだよね。なんか軽そうで…」


「う………。」


「貴司はどう思う?チャラチャラした軽い女は嫌いだよね?」


「俺はあんまり気にしたことないなぁ。」


「そうなの?でも軽い女って、(いや)じゃない?」


「姉さん。俺、怒るよ!唯はそんな軽い女の子じゃないからねっ!!そりゃ俺だってゴテゴテのヤマンバみたいなギャルは苦手だけどさ、唯みたいな姫ギャルは好きだよ。オシャレの一種だと思うし可愛いと思う。」


「す、好きって…うぅ。」



 真っ赤になりモジモジする唯。可愛い。



「………そうなの?」


「うん。それに、唯は化粧も濃くないから大好き。」


「ふ、ふん。良かったわね唯ちゃん、貴司は好きだって?」


「は、はい~…。」


「だけど、私は好きじゃない。これ以上の派手は許さないからね?」


「わ、わかりました~…。」



 納得いかない顔をした姉さん。しぶしぶ容認したものの、これ以上は絶対に許さないつもりのようだ。可愛いのに。



「さてと、唯ちゃん。観覧車の場所は?」


「は、はぃ…ここ、です。」



 案内パンフレットを取り出して姉さんに見せる。



「じゃあ、貴司をエスコートしてみなさい?」


「た、貴司…か、観覧車一緒に行こう。」



 姉さんのプレッシャーがきついせいで、唯がビクビクしながら俺へと聞いてくる。



「うん。行こう。」



 唯が俺たちを案内する。姉さんの視線を気にしているようで、手を繋げないようだ。



「はぐれたら困るし、手繋いで行こう?」



 強引に俺から手を繋ぐ。



「あ…うん。ありがとね。」



 姉さんの視線が少しだけキツくなった気がするが、これはデート。問題は無いはずだ。






◆◆◆◆◆






 観覧車の乗り場に来た俺たち。


 乗るのは俺と唯だ。これで二人きりに…



「ちょっと待ちなさい。」



 姉さんも一緒に乗ってきた。



「ちょ…ね、姉さん?」


「当然でしょ!これはテストなんだから、私が乗らないとどうだったのかわからないじゃない。」



 三人が乗ると、係員のお姉さんが扉を閉めた。

 しょうがないので、俺が席に座る。すると隣に姉さんが座った。

 4人乗りで座席が2人づつしか座れないため唯は対面に座る。何だか姉さんの悪意を感じて仕方ないんだが…



「唯…こんなことになってごめんね。」


「い、いいよ…謝らなくても。私、デートしてもらえるだけ幸せだしぃ。」


「そう言ってもらえると助かるよ。」



 少しずつ観覧車は高い場所へ向かう。

 まだ観覧車に乗らなかった3人が見えるので、手を振ってみる。琉卯は両手を大きく、華は上品に小さく、紫苑は顔を逸らしながら恥ずかしそうに手を振り返してくれた。



「だんだん小さく見えなくなっていく~。」


「本当だね。」


「貴司見て~、だんだん奥が見えてきたよ!」



 高くなるにつれて遊園地の全体が見渡せるようになってくる。



「あっち見て!なんか船が動いてる!」


「バイキングじゃない?うわぁ…回転してる恐そ~。」


「唯って、ああいうの苦手?」


「うん。ちょっと、苦手~…。」


「あはは…そっかぁ。振り回されるのが駄目なの?」


「そう。高いところは好きだけど~、ああいう動き激しいのはねぇ。」


「ふ~ん。」



 少しして、頂点の半分に差し掛かる。



「ほら!唯、見て。すごい景色だよ?」


「ほ、本当だ~!人が小さ~い!」


(あり)みたいだね。」


「えぇ!?虫に表現されると、何かヤダ~。」


「ごめんごめん。でも、下ばっかり見ないで横の風景も見てごらんよ?山とか綺麗だよ?」


「本当だぁ!周り山ばっかり~。藤久って山の中にあるんだね~。」


「電車で来たからわからなかったけど、本当に囲まれてるんだなぁ。」



 しばらくして頂点に来る。



「高ぁい!空綺麗~!」


「ここまで来ると、もう空メインだね?」


「だね~。もう人が見えないし。」



 そういえば、さっきからずっと姉さんがしゃべってないな。

 チラッと横を見てみると目をつぶった姉さんがいた。



「………。」


「………。」



 俺の視線を見て唯も気づいたようだ。



「ん?会話が止まったけど、どうしたのよ?」



 目をつぶった姉さんが聞いてくる。



「べ、別に…何でも無いよ。」


「ふ~ん。ならいいわ、続けて?」


「う、うん。」



 姉さん…もしかして高いところ駄目なのか?

 さっきから俺の裾を掴んでいる手が震えていたのも怒ってるからだと思ってたけど、恐いから?無理なら一緒に乗らなくてもよかったんじゃ…


 俺と唯は互いに頷いて恐がっていることには触れずに、また話を再開するのだった。




 ゆっくり動く観覧車も話しながらだとあっという間だ。

 係員が扉を開けると同時に姉さんはパチッと目を開き、俺たちより早く降りていった。その素早さに一瞬ビックリしたが、唯が俺の手と背中を支えながら優しくエスコートされた方に驚いてしまった。

 何だろうか、この世界の女の子ってすごく紳士的だと思う。

 …本来なら淑女的って言うんだろうけど、前の世界の記憶が色濃く残る俺には紳士的がしっくりくるのだ。



「ただいま~。」


「「「おかえりなさい。」」」



 3人が迎えてくれる。



「どうだった?」「眺めは?」「た、楽しかった?」


「うん。面白かったよ。眺めも綺麗だったよね唯?」


「うん!空とかちょ~綺麗だった~!」


「へぇ~、私も貴司くんと乗りたかったなぁ。」「私もです。」「わ、わ、私…も。」



 5人で話していると、姉さんが前に出てくる。



「「「「………。」」」」



 一瞬にして静まり返る4人。



「唯ちゃん?」


「は、はぃ…」


「楽しく話せてたようだし、貴司が降りるときにエスコートしてくれたのは良かったわ…」


「ほ、本当ですかぁ?」


「でもね!」


「え………?!」


「観覧車の中であっちもこっちも向いてたら駄目じゃない!あれが綺麗、これが綺麗って暴れるからカゴが揺れていたわよ?

 貴司が乗ってるんだから、もっと気を遣わないと危ないじゃない!もしもそのせいでカゴが外れて落っこちたらどう責任を取るつもりなの?」



 え?そんなに揺れてたっけ?



「そんな人に貴司は任せられないと思うけど。どう思う?唯ちゃん?」


「え?そ、そんな…」


「姉さん。それはちょっと厳しいんじゃないの?」


「そうかしら?」


「そうだよ!」



 明らかに個人的な意見が強いと思う。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 姉さんの厳しい言葉に、唯は酷く落ち込んでいた。

 俺は唯の肩を抱いて気にしないよう慰める。青ざめる3人。



「次は誰かしら?」



 しかし、お構い無しに姉さんは次を煽る。



「わ、私がやりますっ!」



 琉卯が元気よく答えた。



「元気いいわね。名前は?」



 唯と同じく姉さんは自己紹介を覚えていなかった。



「はいっ!私、琉卯と言いますっ!よろしくお願いしますっ!」


「ふ~ん…。琉卯ちゃんね~…それで?貴司をどこに案内してくれるの?」



 姉さんが琉卯をジロジロ見る。



「私はジェットコースターですっ!」


「はっ?どこに行くって?」


「ジェットコースターですっ!」


「え~?!ちょっと待って、琉卯ちゃん乗れるの?」


「の、乗れますっ!」


「失礼だけど、ジェットコースターっていうのは身長制限があるんだよ?わかってる?」


「わ、わかってます。ここに身長は120㎝以上なら大丈夫と書いてあります。私は140㎝以上ありますっ!私はそんなに小さくありません!」



 案内パンフレットのジェットコースターの注意書を指差して反論する流卯。

 今日の姉さんは本当に意地悪だな。琉卯に対して身長を指摘するなんて酷いじゃないか。小学生か特別な事情でもないと120㎝以下はないだろうに。


 でも、140㎝以上あったんだ…130㎝後半くらいだと思ってた。ごめんと心の中で琉卯に謝る。



「ならいいけど、はたして貴司が喜ぶかしら?嫌いな人は嫌いなのよ?」


「た、貴司くん。ジェットコースターは嫌い?」



 姉さんの言葉に不安を感じたのか、俺に聞いてくる。



「大丈夫。俺、ジェットコースター好きだよ。楽しみ。」


「そうなんだ!良かったぁ。」


「あれれ?貴司はジェットコースター嫌いじゃなかった?小学生の頃に来たときは嫌いって言ってなかった?」


「え?そんな小さいときのことは覚えてないなぁ。俺、ジェットコースター大好きだよ?」


「そ、そうなのね。お姉ちゃんの記憶違いかしら??」



 姉さんが疑問に思うのも仕方ない。おそらく、それは俺が鹿倉貴司に宿る以前の本来の貴司だからな。

 俺は前の貴司と違ってジェットコースターもフリーフォールも大好きだ。



「まぁいいわ。それじゃ、行きましょ?」






◆◆◆◆◆






 ジェットコースター前。


 ほぅほぅ、なかなかの絶景じゃないか!

 いいねぇ、藤久のジェットコースター。遊園地のウリにしている遊具の1つだけはあるな。すごく楽しみ!!


 平日が幸いしたのか、俺たちの番が来るのは早かった。



「次の方どうぞ~。」



 俺と琉卯が隣同士で座りすぐ後ろに姉さんが座る。列に並んだ順番が席の順番なのでこうなった。

 姉さんは俺の隣に座りたかったのか、口を尖らせている。けど、観覧車が駄目だったのにジェットコースターは大丈夫なのか?



「た、貴司くん。大丈夫?」



 琉卯が声を掛けてくる。



「もちろん。早く始まんないかなぁ?」


「よ、余裕だね?」


「そりゃ大好きだからね。」


「そ、そっか…。」



 琉卯は少し震えているようだ。

 あれ?なんか恐がってる?自分で誘ったんだから好きなんじゃ…



「琉卯?」


「え、えへへ。実は私、ジェットコースター初めて乗るんだ。小さい頃は身長足りなくて乗れなかったから…」


「そっか。」


「ちょっと恐いけど、少しは強いところを貴司くんに見せたかったの。私、身長小さいでしょ?頼りないと思われたくないの。だから…」


「うん。わかった。」



 誰にも見えないよう、席の影で手を繋ぐ。フルフルと震えているようだ。

 ギュッと握る。



「た、貴司くん!?」


「大丈夫。そんなことしなくたって頼りになるよ琉卯は。」


「~~~~っ!」



 俺が痴姦にあったとき、真っ先に駅員に知らせに行ってくれたのは琉卯だ。 機転の働く頼りがいのある女の子だと思うよ。


 しばらくすると琉卯の震えは止まっていた。



「発射しまーーす。5、4、3、2、1、ゼロォ!」



 カタカタカタカタ…


 始まりの音。やっぱり、この音が無いと始まらないな!

 苦手な人はこの音だけで恐怖を感じるらしいが、俺は期待感が高まりワクワクする。


 カタカタカタカタ…


 最初の山を登ると…


 シュゴォォーーーーーーーッ!


 お尻がフワッと少し浮いて、前にGがかかる。



「ひゃあああぁぁぁああぁぁぁっ!?」


「ひゃほおおぉぉぉおおぉぉっ!」



 楽しいぃぃ!


 カーブに差し掛かったところで、唯と華と紫苑が見えた。手を振ってあげる。一瞬顔がキョトンとしたように見えた。


 次は縦二回転。

 頂点で下に落ちそうになるが、固定ベルトがあるので落ちる心配は無い。肩が固定ベルトに当たり少し痛いのはご愛嬌だ。

 逆転した世界が一瞬見える。



「きゃあああぁぁぁぁっ…えええぇぇぇええぇぇっ?!?」


「楽しいぃぃぃぃぃぃっ!!」



 琉卯は余程恐いのか繋いだ手を強く握る。

 痛たた…そんな小さな身体なのに、結構力を持ってるなぁ。やっぱり、この世界の女の子は力強い。



「ひゃあああぁぁぁぁっ!」「きゃあああぁぁぁぁっ!」



 横で驚いている琉卯を見てると女の子はそういう女々しい感じが可愛いんだから、このままでいてほしいと思う。成長して達観した琉卯は見たくないなぁ。






 ジェットコースターは終わってしまった。やっぱり絶叫系の遊戯は終わるのが早いね。



「終了でーす。お疲れ様でしたぁ!」



 係員のお姉さんの声で固定ベルトが上がる。腰のベルトを外し、立ち上がる。琉卯も同様に立ち上がると先に降りて、俺に手をかしてくれる。



「ありがとう。」



 琉卯の手に引かれて、ジェットコースターを降りる。しかし、浮かない顔だ。



「はぁ…」


「琉卯?」


「情けないなぁ…あんなに大見得切っておいて叫び声あげちゃったよ。本当に頼りないよね私…」



 隣で琉卯が落ち込んでいた。



「まったくね!」



 落ち込む琉卯にさらに追い討ちの言葉をかけた姉さん。



「………すみません。」


「始まってみれば、恐がってばかり。そんな人が貴司を守れるの?」


「うぅ…」


「そんなこと言わないでよ。姉さんは知らないかもしれないけど、琉卯は頼りになるよ!」


「どうかしらね。」



 姉さんがジェットコースターを降りてくる。

 あれ?まだ乗ってたのか?



「まったく、この程度の乗り物くらいで情けない。私は一回も叫ばなかったわよ。」



 膝をガクガクさせながら歩く姉さん。



「「「「「……………」」」」」



 姉さん?何か膝がガクガク揺れてるんだけど…

 めちゃめちゃ恐がってるじゃん。一回も叫ばなかったんじゃなくて声も出なかったの間違いなんじゃないの?すごく説得力ないよ。


 4人も姉さんの変な歩き方がおかしいことに気づいているようだ。



「何?」


「「「「い、いえ、別に」」」」



 俺たちはそのことに一切触れなかった。



「そう。じゃあ、次に行きましょう。」






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「残りは2人?」


「はい。」「は、は、はい。」



 華と紫苑が返事をする。



「次はどっちが行くの?」


「私が貴司さんを案内させてください。」


「ふ~ん。あなた名前は?」



 予想通り姉さんは名前を覚えていなかった。



「華と申します。何卒、お願い致します。」


「華ちゃんね。へ~、礼儀正しいじゃない。」


「恐縮です。」


「華ちゃんは貴司をどこに案内してくれるの?」


「オバケ屋敷はいかがでしょう?」


「お、おばっ?!」


「?」


「オバケ屋敷~?」



 動揺する姉さん。まさか恐いのか?



「はい。オバケ屋敷なら、ちょっとビックリするだけで、落ちる心配も無いですし安全です。」


「で、でも…そ、その…た、貴司がビックリして心臓がと、止まったら…」


「いやいや姉さん、そんな漫画みたいなことあるわけが…」


「わ、わからないじゃないっ!!」


「「「「…………」」」」


「いいんじゃないかな?オバケ屋敷。」


「なっ?!」



 俺は賛成する。恐がってる姉さんには悪いけど、華と二人きりになるチャンスだ。最初からあの恐がりよう、さすがに付いてこれないだろう。



「オバケ屋敷に行きたいな。華、案内してくれる?」


「もちろんです!」






◆◆◆◆◆






 オバケ屋敷の前にやってきた。


 オバケ〝屋敷〟なんていうから、館をイメージしていたのに実際はコンクリートの3階建てだった。テーマは廃病院らしい。

 作り物ながら、リアルに作られた老朽部分が禍禍しく暗い雰囲気を出している。


 横にはガクブルしている姉さん。



「へ~、結構本格的だなぁ。」


「そうなんです。案内パンフレット見たときから気になってて、貴司さんと一緒に入りたいと思ってたんです。」


「うん。何か怖そうだし、面白そう!」


「良かった。それじゃ入りましょう。」



 俺と華はオバケ屋敷へ…ところが俺の目論見は外れた。



「ま、待ちなさいっ!!」


「「?」」


「私も行くわ!」


「え?姉さん、怖いんじゃないの?」



 そんなにガクブル震える状態じゃ無理だろう。



「べ、べ、別に恐くないわっ!」



 そんなにどもって言われても説得力無いんだけど…。



「一緒に行かなきゃどんなデートか判断できないし…

 た、貴司がオバケ怖いと思って。一緒に行ってあげる。」


「いや、別に恐くな……」


「お姉ちゃんが、ま、守ってあげるからねっ!」


「う、うん。」


「そ、それじゃ、行くわよっ!ほらっ!危ないから貴司はお姉ちゃんに掴まって!」



 そう言って姉さんは俺の左腕を掴む。

 掴まってるのは姉さんなんだが。



「うふっ。確かに危ないですものね。なら反対側は私が守ります。」



 華は右腕を掴む。


 俺は両手に花の状態でオバケ屋敷へ入っていった。






◆◆◆◆◆






『フフフ…いらっしゃい…』



 入った瞬間、どこからか音声が流れた。

 姉さんは余程怖かったのか、俺の腕に組み付く。



「大丈夫だよ。ただの音声だよ?」


「わ、わ、わかってる。」



 ビクビクしてる姉さん。ちょっと可愛い。






 中の雰囲気はなかなかだ。

 外の光を全て遮断し、闇の中に薄暗い灯りとたまに点滅する蛍光灯が寂れた感じを演出している。

 狭い通路や少し涼しい温度調整、汚れたような通路も嫌な感じだ。


 進んでいくと、様々なところから音がなる。


 コツコツコツ、歩く音。コンコン、ノックの音。キュルキュル、おそらく車椅子が走る音。ギイィバタン、扉の開閉の音。ゴトッ、何かが落ちた音。ギコギコ…鋸を引く音。プルルルルッ、電話の音。立体音響だろうか臨場感があり、とてもリアルだ。


 その度に姉さんがビクンビクンと反応する。その姉さんの反応が俺を伝って華へと伝わる。

 そうなれば、まるで俺が驚いていると誤解されてもおかしくない。案の定、華は俺の頭を撫でて「大丈夫です。私がいますよ。」と耳元で囁いてくる。

 恐がってるのは、オレジャナイ。


 でも、華に撫でられるのも満更ではないので黙っておく。


 少し進むと、どこからか変な声が聞こえた。



『返せぇ…返せぇ…』



 何だ?奥で何か俯いている人がいるぞ?



『返せぇ…返せぇ…』



 を繰り返す。よく見れば人形だな。

 通りすぎようとした瞬間



『俺の目玉を返せえぇぇっ!!』


「ひぃっ?!」「うわっ!」「きゃっ!」



 グワッと顔を上げた人形の顔に目玉が無かった。不意打ち系はやめてほしい、さすがの俺もビックリしてしまう。

 姉さんは恐ろしすぎたのか俺の懐に抱きついていた。



「ちょっとビックリしましたね。大丈夫ですか?」


「うん。今のは驚いた。」


「大丈夫、大丈夫だからね。貴司……(ガクガクブルブル)」



 姉さんは大丈夫じゃなさそうだな。

 背中をさすってあげたら、姉さんがハッとして俺の左側に戻る。



「た、貴司を守ろうとしたのよっ!」



 わかってるよ姉さん。


 なんか今日一日でまた新たな姉さんを知った。ウチの姉さんはどうやらヘタレらしい。女の子って感じで可愛いけど。


 一階は人形以外音がなる仕掛けしか無かった。まだ本番じゃないのかな?二階へ上がる俺たち。


 一階はクネクネとした通路だったが、二階は真っ直ぐ通路が続いていた。

 しかし、一階の磨硝子とは違って通路から部屋の中が見える透明なガラスだ。明らかに部屋の中に仕掛けがあるとしか思えない。



『あ゛あ゛~~』



 案の定、ゾンビのような患者人形が下から飛び出し脅かしてくる。



「ひゃっ!」



 姉さんがビクンと身体を震わせて変な声を上げる。すると反対側の部屋の窓からも同じ人形が顔を出す。



「わわっ!!」


 面白いように引っ掛かる姉さんが逆に面白くなってきて、俺も油断していたんだ。目の前にあるはずのロッカーを見落としていた。



 ガコンッ!



『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…』


「きゃあああぁぁぁぁっ!」

「うわああぁぁぁっ!!」

「ひゃあああああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」



 ロッカーの扉が開くと同時に貞子のような髪で顔が見えない人形が飛び出してきた。


 やられた…

 部屋が見えていたのはこういうことだったのか、部屋に意識を集中させておいて何気ないところからの一撃。灯台もと暗しとは言ったもんだ。

 畜生、情けない声を出してしまった。



「ビックリしましたね~~。」


「うん。本当にビックリした。」


「考えもつかない場所から来たので、本当に驚きました。ほら、心臓がドクンドクンって言ってます。」



 そう言って、華は俺の手を自分の胸に当てる。


 ドクンドクンドクンドクンドクン…


 確かに心臓がドクンドクン鳴ってるな。それより、華の胸に手が当たってるんだけど。ムニュっと柔らかい感触に俺の方がドキドキしてくる。



「…………。」


「どうしました?」



 この世界の女の子からすれば、胸自体をあまり意識することが無い。裸には羞恥心があるようだが、胸に触られる程度は気にしていない。だから、俺のドキドキ感が理解できないのである。

 黙ったのは少し罪悪感が生じたせい。



「確かにドクンドクンしてた。でも俺もだよ?」



 理解が出来ないなら、同じことをしてやればいいと思った。

 華の手を俺の胸に当てて心音を聞かせてやることにする。



「え…………」


「どう?聞こえる?」


「は、は、はい。き、聞こえます。」



 目に見えて焦っていた。



「あ、あの………む、胸に……当たって…」



 当ててるんだよ。

 俺の気持ちがわかるだろう。理解はされなくてもね。


 俺には男の胸なんか平で何も面白いものでは無いと思うが、この世界の女の子には一般的な性欲の対象になる。華が狼狽えるのはそういうことだ。



「何が?」


「いえ!何でも…」



 意地悪く聞くと、ササッと手を引っ込めて知らない振りをする華。



ゴニョ(これ以上)ゴニョ(は我慢が)ゴニョ(出来なく)ゴニョ(なりますから)……」


「え?」


「な、何でもありません!」



 姉さんはというと、恐怖にやられて俺の足にしがみついていた。



「姉さん、大丈夫立てる?」


ぶつ(恐い)ぶつ(恐い)ぶつ(恐い)ぶつ(恐い)…」


「姉さんしっかりして!」



 グイグイ姉さんの肩を揺さぶる。



「ハッ!私は一体何を?!」



 我に帰ったようだ。



「姉さん大丈夫?」


「え?あ、うん………何か恐いものを見たような………」



 記憶を失うほど怖かったらしい。


 これ以上は姉さんにはキツいな。とても見てはいられない。

 もう、ドロップアウトした方がいいかもしれない。こういうオバケ屋敷には、確か途中で脱出できる出口があるはず。それを探してみよう。



「姉さんは少し目を閉じて。」


「?」



 そう言って俺は姉さんの目蓋をなぞり、強制的に閉じさせる。



「華、ごめん。姉さん限界みたいだから、ギブアップしよう?」


「わかりました。私の選んだものが悪かったんです。気にしないでください。」


「そんなことないよ。いつかリベンジしよう?今度は二人で、ね?」


「は、はいっ!」



 ほんのり顔を赤くして、嬉しそうに笑ってくれた。



「出口はどこだろう?」


「この辺にはありませんね。」



 辺りを見回してもそれらしきものは無い。

 そのとき、ふと前を走って「ひゃ~」と逃げる女の子がいた。



「あれ?一人?」


「本当ですね。何だか恐がって逃げてるようですね。」



 よく見ればキョロキョロとあたりを見回しているようだ。



「もしかしてあの人、出口を探しているのでは?」


「ちょっと声掛けてみる?」


「そうですね。でも声は私が掛けますよ。」



 そういって華が近づいていくと、女の子はまるで気づいていないように奥のほうへ消えていく。



「お待ちください!」


「あ!華待って!!」



 華が奥へ走り出したので、俺も姉さんを連れながらなんとか追いかけた。



「はぁはぁ…いなくなってしまいました。」


「いったいどこに行ったんだろうね?」


「「あ………」」



 目の前に途中退出用の緊急出口があった。



「きっとここから出て行ったんじゃない?」


「そうですね。」



 扉を開けると眩しいほどの光が目を刺さる。



「うわっ!眩しい!!」


「すごく明るいですね!」


「そ、外?」


「そうだよ。姉さん目を開けてもいいよ。」


「ま、眩しっ!!」



 目が慣れてくると、広めの屋外階段で下りられるようになっているようだ。



『クスス……出れて良かったね……』


「「えっ!?」」



 扉が閉まる寸前そんな声が聞こえた。



「今の誰?」


「私じゃありません。」


「姉さん?」


「わ、私じゃないよ…」


「「「…………」」」



 きっと音声だ。そういう演出に違いない。そう思ってオバケ屋敷の係員に聞いてみたところ、そんな仕掛けは無いそうだ。それもそうだ客は怖くて脱出したのに、また驚かせるなど嫌がらせが過ぎるし、そんなことをすればトラブルのもとになる。


 じゃあ、あの声は一体…


 係員は小声で「また出たんだ」と呟いていた。

 おいおい、怖いこと言うなよ!聞こえてるんですけど…


 不気味すぎるので、係員が途中脱出した俺たちをからかったんだろうということになった。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 オバケ屋敷を出た俺たちは外で待っていた3人と合流した。

 姉さんは日の光を浴びたお陰か、また先ほどの元気を取り戻したようだ。



「さて、残ったのは誰?」


「は、は、はいっ!」


「あなたは?」



 だと思った。案の定名前を覚えてない。



「は、はい………し、し、しお、紫苑と…い、言います!」


「……紫苑ちゃん?」


「はひ…」


「なんか随分と緊張してるみたいだけど、大丈夫なの?」


「はっ…はい!が、が、頑張り…ます!」


「きちんと喋れないのかしら?」


「す、す、す、すみませんっ!!」



 紫苑はあがり症な方だ。俺と話していても、緊張して喋り方がおかしくなるのはいつものことで仕方ないと思っていた。だが、今日はちょっとおかしい。いくらなんでも今日は緊張しすぎではないだろうか?



「何だか、期待できないわね。それで、どこに案内してくれるのかしら?」


「は、はい。あの……め、メリーゴーランド…に…」


「メリーゴーランド~?」


「は、はいっ!」


「え~…それって子供が乗るものじゃない?」


「う………は、はぃ…………」


「わかってて貴司を案内するんだ?」


「うぅ………」



 泣きそうになる紫苑。



「別にいいけど、貴司はどう思うかしらね?」



 姉さんの言葉で顔を青くする紫苑。



「別にいいんじゃない?」


「あ…あり……がとう…」



 メリーゴーランドは確かに子供っぽいけど、女の子と一緒なら良いと思うよ。






◆◆◆◆◆






 メリーゴーランドへと向かった俺たち。


 しかし、俺の想像を超えたメリーゴーランドがそこにはあった。

 大きいジャックランタン、四つん這いになったフランケンシュタイン、角のあるユニコーン、棺を背負った吸血鬼、箒の長い魔女、大きい黒猫、大きい犬、顔のついた椅子…

 えぇ?!ハロウィンみたいになってるんだけど。


 もちろん、全て座れるよう加工してありジャックランタンの口や手が椅子になっていたり、吸血鬼の棺から椅子が飛び出ていたり、魔女の箒の部分が広がっていたりする。一応、縦に棒がついているのでそれっぽい。



「メリーゴーランド…なのこれ?」



 これが?しかも季節感が全然ないし。



「う、うん。……そ、それに…実は、こ、ここのメリーゴーランド…には…う、噂が…」


「噂?」


「の、乗ると、幸せに…なるって……。」


「へぇ~、そうなんだ。」



 このメリーゴーランドに乗ると幸せになれるという噂があるらしい。



「だ、だから…一緒に……一緒に、乗れば……あの…その……ふ、ふ、二人で…幸せになれると………思って………」



 そう言って紫苑は顔を真っ赤にし俯く。


 確かに子供ばかりでなく、他にも大人っぽい人がたくさん並んでいる。噂になっているというのは本当のようだ。



「そうだね。一緒に乗ろう!」



 顔を赤くしてる紫苑の手を掴んで列に並ぶ。






 思ったより早めに乗ることができた俺たちは、ユニコーンに跨った。



「あ、危ないから…つかまってて…」


「うん。」



 棒は一つしかない。前に紫苑、後ろに俺なので紫苑が棒を使うと後ろの俺は振り落とされることになるということだ。

 俺は紫苑の腰に手を回し、身体を密着させるように抱き着いた。


 紫苑の匂い。なんかいい香りがする。



「えへ……う、噂は本当だね…」


「?」


「もう…し、幸せになって…る…。」


「これからだよ。」



 メリーゴーランドはまだ回っていない。回り始めてからが、二人の時間だ。



「お邪魔しま~す。」



 ギュッっと無理やり姉さんが俺の後ろに乗ってきた。



「ね、姉さん?」


「ちょっと紫苑ちゃん!もう少し前に詰めてくれない?」


「……は、はぃぃ。」



 ちょっと待って、これって二人乗りじゃ…


 紫苑が前に詰めると、3人乗ることができた。



「え?三人乗り?」


「そうだよ。係員に聞いてきたら大丈夫だって!」



 係員の方を見ると、親指を立ててグーのサインを出していた。



「そ、そうなんだ…。」


「始まるみたい、むふふ。」



 姉さんは俺の腰に腕を巻き付けて背中に抱き着いてきた。


 ムニュウ


 うぉっ!

 いつも以上に姉さんの巨乳を背中に感じる。柔らかくて気持ちいい感触。こんなに密着したのは初めてかもしれない。

 や、やばい…ちょっとドキドキしてきたかも。



『始まりま~す!』



 チープでメルヘンな音楽が流れてゆっくりと回りだした。



「うわぁ…♪」



 うっとりとした顔になる紫苑。嬉しそうだ。


 ゆっくりと上下に揺れながら回る。

 他の乗り物に比べてゆっくり動いているはずなのに、意外にも少しGがかかるので手は緩められない。さらに密着する身体と身体と身体。



「紫苑…俺も幸せだよ。」



 二人に挟まれて、俺も幸せだ。






◆◆◆◆◆






 メリーゴーランドが終わり、降りてきた俺たち3人はほわぁと惚けていた。

 本当に夢のような時間だったなぁ。



「な、なかなか良かったわね!」



 姉さんが言った。



「「え?」」



 俺と紫苑が驚く。


 乗る前までは、子供の乗り物だと馬鹿にしていたのに…



「何?褒めてるのよ?」


「っ!…あ、ありがとうございます!」



 高所、絶叫、恐怖の3つが続いていたからか、紫苑の選んだメリーゴーランドは姉さんも安心して乗れたようだ。






「これで全員終わったわね。」



 ゴクリと唾を飲み込む4人。姉さんの言葉を待つ。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

(続く)


 弟が大事過ぎて行き過ぎた加奈お姉ちゃんをお許しください。弟を取られないために必死なだけなんです。嫌いにならないで………。

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