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第3話 遊園地デートへ出発




 ───月曜日。


 今日は待ちに待った4人との遊園地デートだ。



「おはよう、姉さん。」


「おはよう、貴司。早いわね。」


「うん。今日は約束があるからね。姉さんも早いね?」


「うん。目覚ましのセット時間間違ったのよ。」


「そうなんだ。大丈夫?もう少し寝たら?」


「ううん。目が冴えたからいいわ。」



 早朝6時。まだ母さんも寝ているようだった。


 姉さんが朝食を作り始めたので手伝う。

 俺はパンとヨーグルトに野菜ジュースを準備する。姉さんはその間に目玉焼きを調理して完成だ。



「手伝ってくれてありがとう♪」



 朝から上機嫌な姉さんと一緒にご飯を食べると、そのうち母さんが起きてきたので同じものを出してあげる。母さんは「二人で作ってくれたのね?とても美味しいわ。」と嬉しそうに食べてくれた。


 朝食を食べ終わると、すぐにシャワーを浴びて歯を磨き、髪をセットする。服を着替えて出発の準備が整うと時間は7時半を過ぎていた。


 待ち合わせは8時。駅までは5分くらいだが、少し早めに出発しよう。飲み物とか買いたいし。



「いってきまーす。」


「いってらっしゃい。気を付けてね!」

「いってらっしゃい。あんまり遅くならないようにね…」



 笑顔で送り出してくれる姉さん。母さんには、さすがに行き先を言わないことはできなので、姉さんに内緒で晴也と遊園地に行くと伝えている。そのせいか対照的に少し心配そうな表情をしていた。


 …二人とも嘘ついてごめん!でも、そのうち時期を見て紹介するから今は許してくれ!






◆◆◆◆◆






 駅近くのコンビニでお茶を買い待ち合わせ場所に向かう。


 すると待ち合わせの30分前なのに、すでに4人とも揃っていた。遠目からでもソワソワして落ち着かない感じだ。これはいかんと走って4人のもとへと合流する。



「ごめ~ん!」


「「「「あっ!」」」」


「お待たせ!4人とも早いね!」


「いえ、そんなこと…」「私たちが早かったっていうか…」「えへへ…待ちきれなくて」「貴司を待たせたくなかっただけよ…」


「そっか。なんか気を使わせちゃったなぁ…」


「気にしないで貴司は男なんだから…」

「そうそう。」

「来てくれるだけで嬉しいから…」

「ええ、本当に。」



 相変わらず、男尊女卑が身に染みている女の子たち。遅れてきても許してもらえる雰囲気である。



「ありがとう。俺も嬉しいよ。」


「えへへ…」

「…うん。」

「…はふぅ。」

「…その言葉だけで2時間以上待った甲斐があったわね。」



 ん?何だって??



「2時間………以上?!」


「あ……その、待ちきれなくて5時に来ちゃったの。引いた……かな?」


「い、いや引きはしないけど…」



 早すぎだろ…何時に起きたんだよ紫苑?



「実は、私も~。」「えへへ…私もなんだ。」「恥ずかしながら…」



 唯、琉卯、華も同じらしい。



「いや、無理しないでね?他の男は知らないけど、少なくても俺は4人とも大事だと思ってるんだからさ!」



 4人は顔を真っ赤にして俯く。



「こ、これは…」「すごい、威力…」「言葉の力って…」「本当にすごい…」



 もう付き合って1ヵ月は経つのに、まだまだ貴司の優しさに慣れない4人はノックダウン寸前だった。



「ほらっ!4人ともしっかりして!電車が来ちゃうよ?」


「「「「うん(はい)っ!!」」」」






◆◆◆◆◆






 ───快速電車に乗って約2時間。


 遊園地まで徒歩5分の専用駅。藤久ベリーランド前駅に到着した。



「2時間は皆と一緒だとあっという間だったね。」


「だねぇ。ほんと早かったしぃ。」


「でも、こんなに長く一緒にいたのは初めてだったから夢みたいだね?」



 唯も俺と同じ気持ちだったようだ。確かに琉卯の言う通り学校では昼休み以外5人だけで過ごすことは無かったし、昼休みの1時間を超える程一緒したのは本当に初めてのことである。



「うふふ。これからが本番のデートなんですよね?私、気持ちが抑えられません!」


「そうね。もう開園してるみたいだし、早く行きましょ!」



 華も紫苑も待ちきれないといった感じだ。



「ふふっ。じゃあ行こう!」






◆◆◆◆◆






 藤久ベリーランド遊園地到着。


 俺たちは入場してすぐにフリーパスを購入した。これがあれば、一部を除きほとんどのアトラクションが乗り放題入り放題で、チケットの購入の手間も省けるからだ。



「それじゃ、最初はどうする?」


「えっとね。貴司くんの行きたいところでいいよ?」


「「「賛成。」」」


「そう?それじゃあねぇ…」


「あっ!貴司いたっ!!」


「え………何?!」


「ねぇ、貴司。これは一体どういうこと?」


「あ………………」



 そんな馬鹿な、ここにはいるはずがないだって………今日は学校だろ姉さん?!






━━━SIDE加奈━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






 ピピピピピッピピピピピッピピピピピッ


 6:00 目覚ましの音がなる。


 ね、眠い…いつも起きない時間に起きるのはすっごく苦痛ね。

 しかし、今日は早く起きる必要がある。大事な弟の貴司が男友達と遊びに行くと聞いたのだから。


 貴司は男でありながら、ある日を境に百年に一度しか生まれないのではないかという程の優しくて可愛い可愛い弟になった。そんな目に入れても痛くない弟の友達というのはどんな男だろう?

 私の知る限り、男というのはプライドが高く女性を見下し例え親姉妹であろうとまるで道具のような扱いをする生き物。そんな男友達が出来たとしたら、貴司はどうなってしまうのか?悪い影響を受けて帰ってきたら?

 以前のように無視されるかもしれない。下手をすれば姉の私を汚物のごとく嫌いになってしまう未来すらありうる。もしそうなったら私はもう生きてはいけない!貴司は今の優しい弟のままでいてほしい。


 だから、今日は弟の友達とやらを調べる必要がある!

 学校など知るものか!単位もお母さんも怖くない。私には貴司以上に大事な用事は存在しないからね!!



 6:05 リビングで貴司に会う。


 ん~~~っ!今日も貴司は可愛いなぁ。


 6:10 貴司と一緒に料理。


 むふふ。料理を手伝ってくれる弟がいるなんて、私はなんて幸せな姉なんだろう。また、みくりんにでも自慢してやろう。

 手伝ってくれたからお礼を言ったら、また手伝ってくれると言ってくれた。いいの?そんなこと言って?お姉ちゃん言質(げんち)取っちゃったからね!


 6:30 貴司と一緒にご飯。


 いやぁ、今日もご飯がおいしいなぁ。やっぱり弟と一緒だからかな?


 7:00 貴司がお風呂に入った。


 昨日も入ったのに貴司は綺麗好き?でも、いつもはこんなに長く朝風呂なんてしないのに。


 7:30 貴司が出かける。


 待って貴司。お姉ちゃんも今出かけるから。時間差で家を出発する。


 8:05 貴司が電車に乗る。


 貴司を追いかけたけど、気づかれない距離って難しいわね。駅付近で見失っちゃった。駅の近くを探したら、貴司が改札に入っていくのが見えた。どの電車に乗るのかな?快速??どこに向かうつもり?


 8:20 電車の中の貴司の様子がおかしい


 ねぇ貴司。おかしいよ…お姉ちゃんの目が悪くなったのかな?

 何で女しかいないの?随分仲がいいみたいだけど、男の子はどうしたの?

 その子たちは痴姦に遭わないために連れてきてるんだよね?


 10:05 駅を降りる貴司。


 ねぇ、貴司。随分遠くに来たけど、お姉ちゃんは信じてるよ?

 この後に男友達と合流するんだよね?そうなんだよね?


 10:10 遊園地に入る貴司。


 嘘だよ…。貴司は…優しい弟…な…のに。

 本当にお姉ちゃんを騙していたの?

 その一緒にいる4人に騙されたんだよね?そうだよね?


 もう黙って見守る訳にはいかない!






━━━SIDE加奈 終━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

(続く)


これは付きまとい行為では?

加奈「違うわ!弟を見守るために必要な家族の特権よっ!!」

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