ファースト・リトル・レディ 2
瑠璃99の物語
感情を荒げて部屋を出て行く瑠璃7をあきれ顔で見送ってから、瑠璃1は瑠璃99をみて、改めて挨拶した。
「ご機嫌いかが? 私は瑠璃1。あなた達の設計、製作総責任者よ。もっとも、あなたを造ったのはそこに居る瑠璃11だけどね。瑠璃11。なかなかいいじゃない。データベースの移行も問題なく済んだようね。それじゃ、私は瑠璃9の再構築をさせて貰うわ。じゃ……」
「ちょっと待って。瑠璃99、ここへ……」
瑠璃9の頭部ユニットと維持装置ごと別の部屋へと移送しようとする瑠璃1を制して瑠璃9が瑠璃99を呼んだ。
「なんでしょうか?」
「(コードチェンジ、R8。シャッフル、Z。シフト、N78)」
「えっ! あ……(了解。これでいいでしょうか?)。あれ? それでは平文に戻ってますけど?」
くすりと瑠璃9は笑って瑠璃99に最後の指示を命じた。
「そう。戦場では機転が大事だ。いつでも考えて相手と味方の機先のさらに先を把握してくれ。敵には最少の手順で出来うる限りのダメージを。少なくとも敵の目的を達成させないように先回りして考える。それがオマエの仕事だ」
「はいはい。暗号と行動選択のレクチャーはそこまでにして。瑠璃99。向うで瑠璃13が降下のタイミングの指示と御祓いをしてくれるそうよ。その2脚ユニットのままでいってね。瑠璃9、今度の身体はちょっとばかし頑丈に造ったからね。簡単に壊したら承知しないわよ。何が違うかというとね……」
瑠璃1に別室へと誘われる瑠璃9はいつまでも瑠璃99を見つめていた。やっと動かした腕で幸運を祈るかのように、親指を天に突き立てて。
4.戦闘開始
「(……おい?)」
「(えっ!? あ、なんですか?)」
「(何を考え込んでいる? 情報と違うのか?)」
「(いいえ。合っています。でも、これだと……不合理だと。……いえ、合っている事だけは確かです。でも、こんな布陣が……在るとは思えない)」
「(しっかりしてくれよ。チーフさん。合っているならいいじゃないか)」
「(あ、はい。……では、作戦を説明します)」
眼下に敵陣地を望む崖上でワルキューレ達の静かな会議が数分だけ行われ、そして散っていった。
その頃、敵の陣地……廃村の教会跡に瑠璃達が目指す目標、A.Kasa将軍が居た。傷ついた身体……恐らくは襲撃された時に受けた両脚の傷を数体……4体の褐色の女性型アンドロイドが看護していた。
夜風が傷を疼かせ、A.Kasa将軍は眠るともなく、朽ち果てた屋根から望む夜空の星々を見つめていた。
(……いろんな事があった)
生を受けてからこれまでの事を思い出しては、懐かしんだ。
(惜しむ……ただ、彼の地に平和が訪れる事を見る事ができぬ。それだけが)
シグマ国の英雄となる事を望んでいた訳では無い。
(我が国と共に独立を……。それだけを望んで戦った。それだけだ)
あの戦いの日々を思い出す。
(何故に……何故に彼の地には戦禍が途絶えなかったのだ?)
理由は判っている。
(ほんの少しだけの地下資源……それだけが彼の地と我が地の違い)
だが、その地下資源も……
(たかだか、装飾品の原料となる大理石。それだけで……意地か?)
かつての宗主国、ゼータ国の名産品。その原料。市場支配していたのは……
(バカな。……ただそれだけの為に……。いや、確かに愚鈍な政治家だった)
その政治家の系図を思い出す。
(自らのファミリーへの意地か? それだけの為に?)
その政治家の演説を思い出す。
(いや、やはり国としての意地だろう。……そうであって欲しい)
だが、その影響下で自分自身がこれまでの境遇を味わっている。
(……ふ。仕方在るまい。望まれ、望んで行った我が行動の結果だ)
口端が歪む。
(受入れよう。総てを……)
目を閉じて、時を数えるのを止め、静かに息を吐く。夜空の漆黒が淡く溶け、濃紺に朱を差していく。
「御目覚めかな?」
不意に足を踏み入れて来たのは……ここのゲリラの首領らしき男。
「一睡もしておらぬ。ダーク・ルビー殿」
名を呼ばれ、首領はニヤリと不敵に笑う。顔は笑ってはいるのだが、眼光は鋭く、凍てつく様。首領は数歩進むと世界の全てを睥睨するかのような視線を英雄に投げた。
「それは良く無い事ですよ。将軍。……まぁ、こちらに御到着なされた時は数日間、夢郷を楽しんで居られたようですからな。その警護のモノ達はその間もちゃんと守っていましたよ。立派なモノですな?」
「それで……交渉は巧くいっているのかね?」
心にもない賛辞に将軍は話を変えて応えた。それが……今できるただ一つの抵抗だった。
老いた将軍が起きかけるのを傍のアンドロイドが助け、また別のアンドロイドが首領との間に入る。将軍の身を守る為に。
「ふん。出来損ないの木偶人形、アルファT2のOEM品とはいえ、巧く教え込んで居られますね? 流石は英雄と崇められるA.Kasa将軍。部下の教育も確かなものですな」
さらに数歩進もうとするのを別のアンドロイドが阻止しようと間に入る。が、首領は無下に足で蹴り飛ばした。
「守ろうにも将軍の命は我等の手の中にある。無駄な事をするなっ! ……ですよね? 将軍サマ?」
踵を返し、近くの椅子にドカリと腰かけて首領は葉巻を取出して、煙を薫らせ、将軍の問いにやっと応えた。
「交渉は……巧くいってますよ。こちらの筋書通りに。ええ、御心配なく。……ところで、何故に我々が『交渉している』と?」
将軍は口端を引きつらせ、ゆっくりと応えた。
「我が身を……生かしている以上、利用するつもりだろう? 何らかの目的を達成するがために。誰か……恐らくは万平連と。違うのか?」
将軍の問いに首領は暫く沈黙で応えた。……が、葉巻の灰を土埃だらけの床に落し、もう一度、深く吸ってから、今度は言葉で応えた。
「気になさることはありません。交渉は近々、まとまるでしょうから。我々の望み通りにね」
余りにも自信に満ちた首領の言葉に将軍は戸惑った。
(……ゲリラ相手の交渉なぞ、万平連はもとより我が国も、彼の地の国も応じる訳がない。何故だ? この自信は?)
将軍の心の中の動きを見透かしたかのように首領はニヤリと無気味に笑うと席を立った。
「ま、もう数日はそこで我慢して下さいな。その間はこれまで通り、食事だけは上等なモノを差上げます。冷遇していると思わないで下さいよ? 少なくとも私と同じメニューなんですから。治療については我慢して下さい。我々も薬には苦労しているんですからね。それでは……」
丁寧な言葉面にも不遜さを滲ませて、首領は廃墟の教会を出、荒々しくドアを閉めた。その時!
周囲から風を切裂く飛行音。何者かのロケット弾の音だった。草臥れた倉庫の向こうに着弾し、衝撃波を無造作に撒き散らかす。続けて別方向からの銃撃音。明らかな……明らかに何者かの襲撃。
(へっ……やっと交渉団が来やがった)
素早く地面に伏した首領はちらりと背後の教会を見やってから、ニヤリと笑い、素早くその場を離れた。
「ヒルデ、左に回り込めッ」
超音波と赤外線と無線で同時に指示を出す。部下、今は小隊のリーダーとなった瑠璃90が瑠璃92と瑠璃97を連れて敵陣深く攻入ったのである。
「スケッキョルド、突撃っ!」
「ぃやぁぁぁぁぁぁっ!」
3対6本在る腕に60口径12.5mmガトリング砲を2丁持ち、弾丸を撒き散らす。同時に手榴弾を投げ、催涙煙幕弾をランチャーで射出する。左から瑠璃92が突撃した瑠璃97を狙う敵達を同じくガトリング砲で薙ぎ倒す。その瑠璃92を狙う敵達を瑠璃90のガトリング砲の弾幕で蹴散らした。
「ミッションリーダー、スケグル。こちらヒルデ、弾切れだ」
「同じく。接近戦に装備変更」
瑠璃92が4本の腕に短剣……といっても刃渡り40cm程もある鉈のような短剣を装備し、瑠璃97が両刃の斧を装備する。
「装備変更、了解。熱チャフ、煙幕弾の残りは総て射出しろ」
残る2本の腕で煙幕弾、熱チャフ弾をランチャーで器用にも全方位に向けて射出する。
敵達は煙に咽せ、転げ回る。素早くマスクをつけて対戦車ミサイルで狙おうとした敵も熱チャフの熱せられたアルミ箔に妨害されて狙えない。短距離レーダー方式の携帯用対空ミサイルも使えない。いや、その前に熱チャフが発生させる火災が彼等の行動を一際に混乱させた。
だが、その熱チャフによって瑠璃9達の通信手段も超音波に限られてしまう。
「方位1−0−97に退避。手段を剣に限定。退避ッ!」
「……ヤー」
一瞬、遅れた返信を確認しながら、自身も刃渡り2m程の長剣を装備して、近づく敵を蹴散らしつつ、退却する。
こうして3体のワルキューレ達が敵陣を破壊し、煙と共に姿を消した。が、敵達は催涙煙幕と火焔と火災の煙に包まれてその事に気づかず、逃惑い、剰えには同士討ちを始めた。遠方からの砲撃に徒に戦力を消耗しながら。
5.救出
最初の爆発音から程なくして教会の中にも催涙煙幕が流れ込んできた。
「う……げほっ。げほっ……。襲撃か? ……げほ……」
続けて聞える銃撃音が将軍の推測を裏付ける。しかし、今は動く事ができない。更には流れ込んで来た煙が将軍の喉を襲う。
「げほっ……げむっ……んぐむ」
警護していたアンドロイドの1体が将軍にくちづけすると途端に将軍の咳は止まった。鼻孔に仕組まれたフィルターを通じて、清澄な空気を将軍に送る警護アンドロイドは必死の様相だった。また別のアンドロイド達は将軍を取囲み、流れ弾からの負傷を防ぐ。
完全なる警護。まるで、前回の失敗を取り戻すかのように。
祭壇横の破れた壁から何者かが侵入したのに気づいたのは将軍の背後を護っていたアンドロイドだった。
振返った時には既に黒き異形のアンドロイドは教会の中に入り込んでいた。
6本もある腕に剣や銃器を携え、戦いの権化の如き姿。
それでも警護アンドロイドはひるむ事なく、即座に立ちはだかり、突撃した。防護専用として造られたアンドロイドに在るまじき行動。それを選択させたのは失敗から学んだ事。防弾シリコンで全身を被った自分自身が攻撃者へ接近する事で将軍への攻撃、少なくとも被弾の可能性を最小化する。そう判断しての行動だった。
が、黒き異形の侵入者は攻撃して来なかった。接近する警護アンドロイドを軽く飛越えて、将軍へと一気に近づき、そして、声を発した。
「A.Kasa将軍ですね。私は瑠璃99と申します。救出に来ました」
アンドロイド達は将軍と黒きアンドロイドの間に立ちはだかり、そして、将軍を見た。指示を待つ為に。
「げほっ……救出? 誰からの指示だ?」
(音声……サンプリング終了。正面映像確認。……音紋および骨格確認。本人と断定)
訝る将軍に確認作業を密かに終えた瑠璃99が笑って応えた。
「総ては後で説明致します。信用して頂けますか?」
将軍にしてみれば、眼前の黒きアンドロイドが別勢力のモノだとしても、自身の境遇に差があるとも思えない。それに……その姿は既に戦闘用アンドロイドとしてPKF(平和維持軍)で名の知れた瑠璃9シリーズに間違い無い。
(万平連の依頼か? ……国境を越えての作戦を? 在り得ん事だ)
瑠璃9を派遣した相手の名を知りたかったが、今は時を争う。
「是も非もない。了解した」
「では、私の背の箱の中に。人間達の使う小銃程度でしたら確実に防げます」
「うむ。わかった」
警護アンドロイド達の手を借りて長身の黒き4脚アンドロイドの背の箱の中に身を隠す。
「(あなた達は別々に逃げなさい。それともここに留まる?)」
瑠璃99の共通赤外線信号での問いに警護アンドロイドのチーフらしき機体が一歩、前に進み出て、瑠璃に懇願した。
「(すみませんができましたら連れていってください。私達は将軍を警護する為に造られたアンドロイド。将軍の御側に居る事ができないのでしたら……もし、連れていってもらえないのでしたら、この場でその銃で、刀で破壊して下さい)」
瑠璃99の6本の腕に握られているのは大口径の散弾銃と鉈のような短剣。どちらも軽装甲車程度の装甲ならば簡単に破壊できそうな威力を感じさせる。
無抵抗のアンドロイドならば、紙を切裂くよりも簡単に破壊できるだろう。
「(わかった。着いて来れるのでしたら着いて来て下さい。待ったりはしません。それで宜しいですか?)」
「(喜んで!)」
そして、黒き異形のアンドロイドと褐色の防弾シリコンに被われた4体の美形のアンドロイドは燃え始めた教会を抜け出し催涙煙幕が煙る密林へと姿を消した。
先程の3体のアンドロイドとは別方向へと。
6.合流
幾つかの尾根と谷を越えて、瑠璃99が辿り着いたのは滝近くの川岸だった。
何とかついて来た警護アンドロイド達は、即座に川の中に身を投じて上昇しすぎた機内温度を下げる。濡れて張りつく薄衣の民族衣装は朝日を浴びて得も言われぬ色香を放つ。もし……此処に不遜な男達が居たら、即座に抱きついていただろう。
が、此処に居るのは戦闘アンドロイドの瑠璃99だけ。その瑠璃99は背の箱をあけて将軍の様子を窺った。
「大丈夫ですか?」
「う……うむ。流石にリムジンとまでは言わぬがなかなかに心地よき振動であった」
将軍は片腕だけで箱から身を乗出し、辺りを見回した。
「ここは……凄い」
「ええ。密林の中にこの様な景色が在るとは……戦闘以外の目的で再び訪れたいものです」
将軍が驚いたのは景色では無い。辿り着く直前の振動から平野だとばかり思って居た場所が、急峻な崖に囲まれた川岸だったからだ。そして改めて驚愕したのは……戦闘専用アンドロイドとして名の知れた瑠璃9シリーズに景色を評価し、楽しむ能力が在る事だった。
「願わくば……」
「はい?」
「……其方達と同型機を我が軍隊に迎えたいものだ」
その言葉に瑠璃99は驚き、そして応えた。
「勿体ないお言葉。そのまま、我が主人にお伝えしてもよろしいでしょうか?」
将軍はその対応にもう一度驚き、そして笑った。
「はははは。構わぬ。いや、できるならば其方の主人にこう伝えてくれ。『我が国の軍事参謀として御迎えしたい』と」
「勿体ないお言葉。確かに承りました。ですが……」
瑠璃99は背の箱を自身から取り外し、片腕だけで地面にそっと下ろした。
「我が主人は固持すると思います。それに私達のコピーは総て我が主人の所有となりますので、お渡しすることはあり得ません。それでも宜しいでしょうか?」
A.Kasa将軍は笑った。戦闘用アンドロイドに在るまじきほどの対応に心から笑った。それはゲリラ達に囚われてから、いや、ここ暫く無いほどの哄笑だった。
「はははははは。戯れ言、戯れ言。気にせずそのまま伝えてくれ。そうそう、『それが適わぬならば我が国にお出で下され。国賓として御迎えする』と付け加えておこう。はははは。あっ……痛っ」
「大丈夫ですか? 将軍様」
将軍の普段見られぬ態度に戸惑い、遠巻きに見つめていた警護アンドロイド達は将軍の痛みの声に慌てて近づき、取巻いた。
「あ、ここに薬が……あっ」
瑠璃99が胴体の装備庫から小さな救急箱を取出すと、警護アンドロイドの1体が引ったくるように受取り、看護し始めた。
「……すみません。お渡しするのが遅れました」
素直に謝る瑠璃99に目もくれずに手早く手当てする警護アンドロイドをやれやれと見て、将軍は瑠璃99に謝った。
「すまぬ。これらは一つの命令を実行している時はなかなか他の事を同時に実行できぬ。御主達とは根本からの性能が違うのだ。赦してくれ」
「いいえ。こちらが到らぬ事ですから。ところで、そちらのアンドロイドの御名前は?」
将軍はゆったりと微笑んでから、正面のアンドロイドの頭をポンポンと叩き、看護を中止させて、全員に瑠璃99を見るように指図した。
「この正面のがスーヌ、私の右がサーリ、左がオーテ、背がウーイ。我が国の古き言葉で『春』、『夏』、『秋』、『冬』という意味だ。スーヌ、挨拶を」
将軍に指示されて、サーリと呼ばれたアンドロイドは深々と頭を下げた。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。私達は将軍を警護する為につくられたアンドロイド。私がこの者達のチーフ。スーヌと申します」
続けて、他のアンドロイドが一列に並んで挨拶をした。将軍と瑠璃99の間に立ちはだかる様に位置を取るのは警護アンドロイドとしての本能だろうか?
「すまぬが、これからもこの者達を頼む。……できるかな?」
将軍に懇願され、瑠璃99は戸惑いながらも応えた。
「あ……はい。予定にはありませんでしたが……なんとかします」
「それで……これからはどうするのでしょうか」
何故か、即座にスーヌが尋ねた。
「それはですね……」
「……全員がそろうのを待つのさ」
ざざざっと崖を駆降り、会話に割って入って来たのは……瑠璃93と瑠璃98。
遠方砲撃を終えて、追付いて来たのである。
「あ……瑠璃……」
「レギン。他のメンバーは?」
「え?」
自分のアドレスネームを省略した名で呼ばれ、瑠璃99は瑠璃93を見ると……瑠璃93はパルス信号で暗号コードを伝えて来た。すぐに瑠璃99は意味を理解し、音声とは別に赤外線で暗号をやりとりした。
「まだです。(予定では後、数分で合流するはずです)」
「そうか。(了解。油断するな。そいつらが『味方』とは限らない)」
「敵を撒くのに手間取っているのかな。(気にしすぎでは?)」
瑠璃98も会話に加わる。が、瑠璃93は将軍達に気取られぬように怒った。
「そういう事はあるまい。(用心に越したことはないっ!)」
「ならば、もう直でしょう。(でしたら、信号弾で合流しないよう連絡しますか?)」
瑠璃93はゆっくりと瑠璃99の肩を叩き……激昂した。
「そうか。ならばよい。(今はオマエがチーフだッっ! 自分で判断しろッ!)」
「わかりました。(判りましたッ!)」
二人のやり取りに瑠璃98は思わず笑った。
「何がおかしいんだ? (何がッおかしいっッ!?)」
「いや別に。気にしてもしょうがない事を言い合っているからさ(暗号と音声が同じ内容だぞ?)」
「あ。(あ)」
思わず顔を見合わせる二人を見て、もう一度、瑠璃98は大きく笑った。
その様子を4体のアンドロイドは注視し、そして顔を見合わせ、小首を傾げていた。
「何をしている?」
瑠璃93の意に反し、崖上から残る3体の瑠璃90、瑠璃92、瑠璃97が事もなく合流してしまい、救出作戦は一段落を迎えた。
ニフティのFSFにUPしていたモノです。
感想など戴けると有り難いです