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ある日のルリニ

 瑠璃2の日常

 ある日のルリニ


「コッチだよ〜」

「駄目だよ。ルリニちゃん。隠れんぼなんだから〜」

「隠れんぼ? 鬼ごっこと何が違うの?」

「鬼ごっこは隠れないの。隠れんぼは見つかったら終り。鬼ごっこは捕まった

ら終りだよ」

「見つかったらって、鏡に映ったのとかでもいいの?」

「えーと」

「でも、鏡ってないよ」

「ココには無くても駅とかにはあるよ」

「デパートとかにもあるよ」

「水族館も時々、鏡になってお魚さん達を見ている人が写っちゃうよ」

「水族館行ったの?」

「私は動物園にいった」

「動物園には鏡があるの?」

「鏡は無いけどキリンさんがいたよ」

「ゾウさんも居る」

「水族館にもゾウさんの友達が居たよ」

「どんなの?」

「こんなの」

「わかぁんない」

「それで隠れんぼはどうするの?」

「水族館で砂の中に隠れんぼしてた魚が居た」

「動物園にも隠れんぼしてたゾウさんが居た」

「嘘だぁ〜」

「嘘じゃないよ。隠れてたよ。何処にも居なかったもん」

「それは何処か別の場所に引っ越ししてたんだよ〜」

「でも居なかったモン」

「居ないだけじゃ隠れんぼじゃないよぉ〜」

「違うよ。隠れてたんだよ〜」

「泣かないの。コジちゃん泣かしたからユジちゃんが鬼〜」

「ルリニちゃんがまた決める〜」

「でも決まり〜」

「隠れろ〜」

「きゃあ〜」

「……ふん。すぐに見つけてやるから」

「100数えてね〜。きゃはははは……」


 子供達が散り、公園の中物陰に隠れていった。


「どこ〜」

「教えない〜」

「ルリニちゃん〜 声出したら駄目だよ〜」

「……ユウちゃん。見っけたっ!」

「あれ? ルリニちゃんは?」

「ルリニちゃんは……声のする方には居ないよ。いつも」

「でもさっきまで居たよ〜」

「こっち〜」

 子供達は顔を見合わせ、声のする方とは逆の方を目で捜した。

 その目に映ったのは……母親の姿。

「そろそろ御飯よ〜 帰ってらっしゃい」

「はぁい。またね〜」

「ボクも帰る〜」

「ワタシも〜」


 誰もいなくなった公園。

 茂みの中から瑠璃2が姿を現した。


「コジちゃん、帰った。ユジちゃん、帰った。ユウちゃん……も帰った」


 見上げれば夕暮。

 茜の空に雲がゆっくりと流れていく。


「御主人様と瑠璃姉ぇが帰ってくるのは……まだ……だな」


 瑠璃2は一人、砂場で小枝を筆に何かの絵を描き始めた。


「こうやって……こうして……」

「駄目よ。その先を書いちゃ」

「え?」


 視線をあげると……人形のような女の子が一人。


「その魔法陣を完成させちゃ駄目。……少なくとも20年は早いわ」

「どうして? アナタ、誰?」


 問いには答えずに少女はポシェットからマジックを取り出して、瑠璃2に差し出した。


「コレをあげる。魔法陣以外は何でも描けるわ。好きな場所に。好きなように」

「……魔法陣は?」

「このインクが無くなってから……そうね。でも、その時には魔法陣は必要なくなっているかもね」

「? 変なの」

「……約束して」

「何を?」

「決して……んん。いいわ。好きなように描いて。好きなときに。好きなモノを……必要な場所に」

「? 変なの」

「……そう? でも、必要なこと。とても……あ」

「どしたの?」

「帰って来たみたいよ。ほら」

 少女が指さす方を見ると……見慣れた二人の姿があった。

「あ、わーい。御主人様〜 瑠璃姉ぇ〜」

 走り去る瑠璃2の姿を楽しげに……悲しげに見つめてから……少女の姿は陽炎のように消えた。


 夕闇のように……


 この続きは……本編の未発表箇所に続く予定です。

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