表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神殺しの少年は世界の終焉を望む  作者: 桐生桜嘉
アシュレイの過去
78/109

守りたかった存在

大変お待たせしました!

今後の更新予定はまだ決まっていないため、不定期更新という形にさせていただきます。

2週間に1話で更新するのが理想です((震

でき次第あげるような感じかなぁと思っています。


勝手な作者ですが、今後とも神殺しをよろしくお願いします……!



「ああぁぁぁぁあぁぁああああああ――――!!!」



リヒトの絶叫が処刑場に響き渡る。

その悲痛な叫びにアレシアは顔を歪めた。


「リヒト……!」


彼のもとに駆け寄ろうとするも、騎士達に遮られる。

焦る気持ちを必死に抑えながら、目の前の敵を次々と斬り倒し道をあけていった。


リヒトの周囲に電気が走っているのが遠目にもわかる。

彼が何をしようとしているのかが表れていた。


(早くしなきゃ……、リヒトが死んじゃう……!)


武器である扇を握る手に力が入る。


アレシアは左手にもつ扇を炎へと変え、それを向かってくる敵に投げながらリヒトの元に駆けた。

人間が悲鳴をあげながら炎で黒く焼けていくのを横目に、彼女は走り抜ける。

そして空いたその手で、首から下げていた鍵を、紐を引きちぎるようにして取った。


その鍵は牢屋の鍵。そして罪人たちを解放する唯一の鍵だ。


(早く……)


リヒトの感情が痛いほどに伝わる。

漠然としたものではなく、感じている本人と同じ痛み。

なぜそこまではっきりと感じるのか、このときのアレシアにはわからなかった。

ただ、流れ込むようにして伝わるそれに、アレシアの目に涙が浮かんだ。


「リヒトっ……!!」


リヒトが今、しようとしていること。

罪人に魔法を使わせないため、一切の魔法を封じ込める――犯罪者を示す腕輪。

例外なく彼の手首にもはめられているそれを、リヒトは壊そうとしていた。


しかしそれは死を招く行為。


それをせずとも、リヒトを解放することができるものをアレシアは持っている。


「お願い……! やめて――!!」


そう叫ぶものの、彼には届かない。


やがてリヒトの元に集まってきた騎士たちに、刑の執行人が告げた。


「今“闇”のやつに逃げられたらたまったもんじゃない! どうせ死ぬ運命のやつだ、殺せ!!」


それは何の慈悲もなかった。

“闇”の者たちへ対する感情は、人に対するそれではない。

まるで虫を殺すかのように、“闇”である彼らを殺すことに何の躊躇もなかった。


「させない――」


アレシアは呟き、右手に持つ扇を振るう。


瞬間、突如現れた炎。

それはリヒトを守るように、彼が繋がれた十字架を囲うようにして燃え上がった。


騎士達が怯んだ丁度その時、アレシアは漸く、リヒトに手が届くほど近くにきていた。


緩んだ緊張、訪れた安心。


そして、――生まれた隙。




彼女の背後に、影が迫った――。




「許さない」


そんな声が聞こえた瞬間。

アレシアの体は優しい温もりに包まれていた。


彼女の良く知る、“彼”の温もり。

そして背後で聞こえた、聞き慣れてしまった鈍い残酷な音。


振り向こうとしたアレシアを彼の手が止め、そのまま彼はアレシアを自身の胸に抱き寄せた。


上を見上げれば、よく知る者の、見知らぬ顔――。


「リヒト――……?」


アレシアの声は、言葉は。


彼にはもう、届かないのかも知れない――……







彼女は忘れたのではない。





“消された”のだ。








【次回】記憶ノ断片







「黙れぇぇぇええええええ……!!!!!」





今の彼女が抱くものとは――――。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ