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赦し
春川の、触れたら崩れてしまいそうな笑顔が頭からこびりついて離れない。
彼女の葬儀は、遺族の要望で家族葬となったそうだ。私は随分とぼんやりしてしまって、事実を事実としてしか飲み込めない日々が続いていた。警察からも事情聴取があったが、何を言ったかも覚えていない。
高円寺も非常に優しいもので、何処から知ったのかは知らないものの、春川が自殺したことは知っていたし、もちろん私がその前日に彼女の家に居たことも知っていながら、何も聞いてはこなかった。
私が彼女を殺したのだ。彼女は私を愛していた。それに気付いていながら、なあなあな態度で全てを誤魔化してしまった。全ての責任は私にある。彼女の未来を奪った。彼女のくつくつと笑う声も、その顔も、全てあの悲しい笑顔で上書きされていく。
その呪いに殺されてしまうと思った。
私は高円寺にどうして欲しかったのだろうか。許して欲しかったのかもしれない。彼女を忘れさせて欲しかったのかもしれない。殺して欲しかったのかもしれない。