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黎明のクレアシオン  作者: 光聖
森で出会った少女
1/4

プロローグ

澄んだ森には汚れがない。

そのためか、凶暴な動物たちも少なく、いつも静かだ。

滅多に騒がない動物たちが騒ぐとき。

その目に映ったものは・・・。


パンッ!


一つの銃声がその森に木霊する。

そこには少女と大人と思われる影が数人。


「・・・・っ!!」


その銃弾が、彼女の腕を掠る。

腕から滴る赤いそれ。

それもあるが、既に彼女の身体は傷だらけだった。

彼女は痛みを堪え、咄嗟に木の陰に隠れる。


「・・・くそっ!!どこ行った!?」

「銃弾は当たった!まだ遠くには行ってないはずだっ」

「探せ探せぇ!!」


慌ててるのか、彼らは彼女の隠れてる場所には気づかず、森の奥に去ってしまった。


「・・・はぁ・・。行ったみたいね・・・」

「キュゥ・・・」


彼女の言葉に彼女の肩に乗っていた妙な生き物が心なしか、消え入りそうな声を出す。

心配された事に気付いたのか、彼女は肩の上の生き物の頭に手を置き、


「大丈夫・・・。とにかく、休める場所を・・・」


見渡す限りの、木。

そんな場所などそうそうないかと思い、諦めかけた時。


“ポチャ・・”


水の音がした。

近くに湖でもあるのだろうか。

音のした方に重い足を動かした。





「いらっしゃーい!」


いつも賑わうある街角に、元気よく働く青年の姿があった。


「ルシア、すまねぇがあそこまで行って、湖の水を取りに行ってきてくれねぇか?」

「・・・え?」


ちょうど外に出ていた青年・・・ルシアは店の頭に用事を頼まれた。 頭は街の外れにある森を指さす。

あそこの湖の水はとても透き通っていて、此処の店でも大人気らしい。


「分かりました」


ルシアは桶と念のための愛用の細身の剣を持ち、森へ出かける。


思ったより、森の空気がざわめいているのを感じた。

いつも散歩で通っている“慣れ”というものか。

彼は急いで湖に向かう。



「・・・・あ」


そこで、思いもよらない光景を目にする。

そこには傷だらけの女の子の姿。何やら、湖の水を腕にかけている様子。

幸い、ルシアの姿には気づいていないようだった。


「なんなんだ・・・?」


森が騒がしい原因は彼女のせいだと悟る。

よく分からないが、彼は咄嗟に彼女の前に出ていた。


「・・・・!!」

「あの・・・は?」


訊ねようとした彼の目の前には短剣が映る。

震えながら自身の短剣を手にする少女。

そして・・・


「来ないで!!貴方もあの人達の仲間なんでしょ!?」

「キュウ!!」


何やら訳の分からない生き物が一つ。

しかしこれに怖気づくわけがない。


「・・・。なんか勘違いしてるんじゃないのか?俺はここの湖の水を汲みに来ただけだ。」

「来ないで!!」


水を汲みに来ただけなのに、何だ、この仕打ちは。

さすがに呆れてきたルシア。


「お前・・・妖精か?」

「・・・え?」


しかし、彼女の耳を見て思う。

普通の人とは明らかに違う耳の形。

その言葉と同時に彼女は構えていた短剣を下す。


よく見ると、とても綺麗な容姿をしていた。

薄黄緑色をした髪、澄んだ色の青色の眼。

その瞳は彼に向く。


水を汲みながら、彼は横にいる小さな身体に目を向ける。

よく見れば見るほど、その傷たちは酷いものだった。

そして、ある事を思いつく。


「大方、どっかの誰かにやられたんだろ?」

「・・・これを狙われてて・・」


髪に飾られている髪飾りを指しながら小さくつぶやく。

なるほどな、と軽く息をつきながら彼は桶を持っていない方の手を少女に差し出す。


「手当してやる。どっちにしろ、ずっとここにいるのも危ないだろ?それに、この森は俺の方がよく知ってる。・・・俺の言う事を信じるか信じないかはお前の勝手だ。それと、俺の名前はルシアだ。」


少し考え込む。

しかし、下手に出てくれる彼の事を信用したのか。


「ありがとう。それと・・・さっきはゴメン。私はアーミアって言うの。この子はルナ。」


肩に乗る生物を指さすアーミアという少女。


そして彼女は彼の手を取り、森を抜けようとする。

これから起こる事も知らずに・・・。








連載始まりました!

これもかなりの長編になりそうな予感です。

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