再来 2
今となってはこうして毎日、俺は商店街に出現しているのだからさすがに商店街の顔として少しは売れてもいいはず。
なんて別にどうでもいいことを着ぐるみの中で考えていた。漂うコーヒーのビターな香りがこれからバイトが始まるのだと知らせてくれる。
「最近よう着ぐるみ着るようになったやないねー」
コーヒーカップを拭きながら、にやり顔でこちらを見る母兼マスター代行がまるでいじっているかのように言ってきた。なんか自主的に着ぐるみを着てます!感を出したくないので俺は無言のまま店の扉を開けた。もう一度整理すると、俺が今ウサギの着ぐるみを着ているのは着たいから着ているのではない。とある、いいとこのお嬢さんに一度この姿で会わないといけないからだ。
「やっと見つけました!」
そうそう、こんな感じの長身で見るからに漂う上品さが少し鼻につきそうで、言いたくはないが薔薇がまわりに……
「えっ?!」
まさに素の俺が着ぐるみからはみ出そうな勢いで衝撃を受けた。目覚めの一杯なんてもんじゃない、それ以上の覚醒作用があるものだった。
「どうしてここが?」
恐る恐る聞いてみる。どうしてここがわかったのか、もしやもう俺のことがバレている可能性がなきにしもあらず。
「小学生の子たちが、ここの喫茶兎月あたりで待っていれば会えると教えてくれたので」
くそっ
イタズラキッズの入れ知恵か。
「それで、この前のお礼か何かをしに来たってことか? ちなみに、ここから出てきたのは手伝いをしていたからだ。俺は別にここの人間じゃないぞ」
ここの人間なのだが、もうこうなってはしょうがないのでまさに今仕事をしてきたことにする。そして俺はあえてめんどくさい風に振る舞い、早めのご帰宅をうながす。
「そうなんですか」
月志摩は口を少し口をとんがらせながら答えた。 正体暴いたりと、思っていたんだろう。まあ、実は正解なのだがそんなことは口が裂けても言わない。
さあ、どうしたものか。
読んでくださりありがとうございます。
今回も内容が少なめです。
それでも面白いと感じましたら何かしらのリアクションをしてもらえると助かります。




