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放課後 3

 俺は月志摩を連れて最初いた体育館の玄関に来ていた、月志摩の顔を見れば疑問符が飛び交っている。

 

「私まだ聞きたいことを聞けてないんですが?」

 

 月志摩は少しだけ語気を強くしたような口調だった。それも仕方がないとは思う、月志摩に関しては何も問題が解決しておらず俺が半ば強制的に終わらせたからだ。


「それなんだが、わけを聞いてほしい」


「わけ?」


 そう、俺の正体がバレることを防ぐのともう一つ、あの場から退散した理由があった。いぶかし気な顔の月志摩に俺は口を開いた。


「俺らがボクシング部の部屋に入った時、部員全員が睨みつけてきただろ?」


「はい、確かに鋭い目線をちらほらと感じましたが、それは血気盛んなボクシング部だから当たり前なのかと。でも部長さんはいい感じの人でしたが……」


 月志摩は俺の質問に答えていく。


「別に鋭い目がってことでもないんだが、ほかに何か気づいたことは無いか?」


 月志摩は難しい顔になり、しばらく黙った。俺は早めに終わらせたかったが、なぜかその思案顔を見るとつい開けようとする口を閉じてしまう。絵になるお嬢様なこって。そんなことが頭によぎっていると、どうやら月志摩もギブアップのようだった。


「すみません。私まったく周りを見ていなかったです。正直全然わかりません」


「まあ、ほんの些細なことだからな」


「一体何なのでしょうか?」


「あの、ボクシングルームに水分補給の水筒やら置いてあったか?」


「そういえば、なかったような気もします。けれど一体それがどういった関係があるんですか?」


「ボクシングで一番つらいことって何だと思う?」


「それは、日々の練習でしょう。この日々の練習を乗り越えて試合で報われるのでは?」


 ごく当たり前な回答だな、もちろんこれも正解だ。でもボクシングや格闘系のスポーツには人によってはもっとつらいことが待っている。


「まあ、それも正解なんだが、もう一つあってな。それは……減量だ」


「減量、ですか」


「さすがに減量の意味は分かるよな?」


「はい、その言葉であなたが言いたいことが全部わかった気がします。大会が近いということですね」


「さすが、その通りだと思うぞ」


「だから、部員の皆さんの視線が鋭くなっていたのですか」


「多分な、だから早めに切り上げたほうがいいと思ってわけだ。まあ、さすがにずっと水抜きをやっていることはないとは思うが、たまたま今日がそういう日だったのかもしれんしな」


「なるほどですね。また日を改めないといけませんね」


「それなんだが、助けてもらった商店街にもう一回行って、着ぐるみを探した方が早いんじゃないか?」


 月志摩は、はっと驚いた顔をした。どうやらそこには頭が回っていなかったらしい。


「あ、そうですね! そうだ、その手があったんですよね」


 しかし、これで俺も近々着ぐるみを着ないといけないことが確定してしまった。このお嬢様は意外にも天然っ子なのか?普通ならもう一回ぐらいは現地に行って探すだろうに。わざわざ、地元の高校のボクシング部に行くなんて、こういう人を行動力お化けというのだろうか。

感想やリアクションなどがあればよろしくお願いします。

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