【プロットタイプ・執筆】火花と分枝系
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
彼岸花を知れば知るほど、鏡花に近付いていきます。
季節外れにも、彼岸花が咲き誇っている。火花の様な触手を何本も上に向けて、勝ち誇った様に咲いている。その様が余りにも美しく、言葉にならなかった。言葉にする事が烏滸がましい程。
そうしてその日、私は一人の赤子を産み落とした。
狂い咲きに、煌々と咲き誇る彼岸花。そんな日に生まれに子は、きっと普通ではないのだろう。私と同じ様に、何処かイカれているのだろう。
あぁでも其れが……何より楽しみだった。
大元の私は無色彩だった。全ての色の基盤となる白さを持って産まれた。そうしてその白さを自分自身で誇っていたのかも知れない。だから話し掛け方も、触れ方も、全く分からなかった。
丁度、『白痴』という言葉の通りに、何も知らなかった。けれども、彼女は私を白いままで居させる様な真似はしなかった。
自分と全く同じ色。目の覚める様な赤。鮮血を模した様な赤。それで私を染め上げて行った。話す言葉も、纏う服も、気配までも全て、全て、全て。赤く、赤く染め上げた。
何時しか私は元来の白さを忘れ、人目を引いて止まない様な人物へと変貌した。何処へ居ても、隠れていても、その存在感が滲み出る程に。
「私……彼岸花が好きなんだ。あれ程までに美しい花を見た事がない」
細い花弁を上に向け、雌雄の蔓を火花の様に飛ばすあの花を、其れこそ火花の様に容易く散ってしまうあの花を、如何にして嫌う事が出来ようか。
「でも、皆嫌うでしょう? 気味が悪いって。愛したのは私と母だけ。それでも私は其れを誇りに思う」
それでも私は、母が愛したあの花を、皆が嫌ったあの花を、愛してしまうのだ。この花のように。熱く、熱く、燃え上がる様に。
「私の身の上話を聞いたのもあるけれど、やっぱり瑠衣たんは文章が綺麗だねぇ」
前に座る同居人は、自分と良く似た、愛してしまった花の生態を、知っているのだろうか。
深く知る訳ではないが、彼岸花は三倍体で種が出来ない。だからクローン個体で数を増やしたのだと。
お前が愛した火花は、お前のような存在なのだと。
まぁ結果をお話すると、
彼岸花がクローンで増殖するのと同じ様に、母親のコピーが鏡花なんだな。
という話。
偶に横切るんですよ。鏡花のこの言葉。
『コピー(子)がオリジナル(母)に勝てる訳がない』
母より性格がマイルドで、母より覚悟決まってない、鏡花らしい言葉だと思って聞いてました。
母の人格を写し取ったのが鏡花の人格の一つなので。
演技(偽物)は本気。でも本心(本物)でさえないから、この言葉。
『それでも価値があると言ってよ!!』という叫びがきっと本心なんだろうな。
今回は鏡花の身の上に興味を持った瑠衣が、鏡花の身の上話を書いてみた話。
話している最中は少し気落ちしてそう。
でもほら、ガチ勢総じて自然主義文学(平たく言うと、夢見てんじゃねぇ。現実を可愛くデコるな。という作風)なタイプなので、これぐらいが心地よい。