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パクリマスオンライン 六つの企業が協力して完成された、最先端のTRMMORPG  作者: 紫電のチュウニー
第2章 大陸への航路を求めて

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第95話 高低差で躍動のすね当てを使うとどうなる?

う……ついつい書き過ぎると見直しの時間がビヨンドザビヨンドです。

「これ、普通のカベだよね? お兄ちゃんの魔法でしゃべらせてるの?」

「そんな効果は無いはずだぞ」


 しかしミーコが指さす方のカベは確かにしゃべった。

 よく見るとそのカベに三つの斑点が見える気がする。

 

「せっかく修理してるのに、カベに変なことしないで欲しいカベ」

「……やっぱりカベがしゃべってるよぉー! ももも、もう魔法で燃やしちゃう? 燃やしちゃっていいよね? 内なる炎よ、我が血脈を糧とし我が手に炎を。万物ありて……」

「落ち着け! こんなとこで魔法ぶっ放したら雷帝に何言われるか分かったもんじゃないぞ」

「でもでも、お化けだったら魔法が効くって本に書いてあったもん!」

「お化けじゃないカベ。ウォーラスというカベ」

「ほら。名乗ってるじゃないか。だから魔法は……名乗った?」

「それにしても不思議な人カベ。ベルベディシアさんの知り合いカベ?」


 今度ははっきりとカベから顔が飛び出してきたが、胴体が見えないので怖いです。

 ミーコが今にも失神しそうだ。


「うわぁーーーん! 内なる炎よ、我が血脈を糧とし我が手に炎を。万物ありて沸き立つ炎の渦とならむぐぐっ」

「ダメだミーコ。どうやら雷帝の関係者らしい」

「そんなに驚くと傷付くカベ……」


 こいつはお化けじゃなくてカベに憑依ひょういする魔族かなにかだろう。


「悪い……でもあんた何者なんだ? その感じ、魔族だろ? どうしてここに?」

「信用ならない人にはあまり話したくないカベ」

「それもそうか。俺はジャッジ。一応いちおう雷帝の国に仕えてることになるのかな。まだよく分かってないんだけどさ。こっちはミーコ。俺の妹みたいなもんだ」

「そうだったカベ。君、雰囲気が妖魔みたいだけど少し違う気もするカベ」

「半分くらいは妖魔だよ。リルってやつに助けられてこうなった」

「リル君の友達カベ? それなら信用するカベ。ウォーラスは壁の身魔族という古代の魔族カベ」

「壁の身魔族? 変わった魔族名だな」

「カベの中を自由に動けるカベ。カベを造るのも得意カベ。昔はカベの中じゃないと生きられなかったカベ」

「へー。そうか、市場の人が話してたのはお前だったんだな。このカベを直すために呼ばれたのか?」

「ここだけじゃないカベ。あちこち直してるカベ。この穴だけ魔法障壁まほうしょうへきが邪魔をしていててこずってるカベ」

「魔法障壁?」

「お兄ちゃん、この穴のとこね。見えない何かがあるみたい。中から外には筒抜けなのに、外から中には何も通せないみたいだよ」


 ほう。そんな魔法もあるのか。なんか防御の参考になった気がしたけど構造がよく分からないな。

 

「魔法障壁見たいカベ? 見せて上げるカベ」

「ミーコは嫌ぁ……」

「俺は見てみたいな。頼むよ」

「分かったカベ」


 カベに近づくと、モロに魔族の腕がにゅっと出て俺をつかみ、ぐいっとカベに引っ張られた。

 ぶつかると思ったが、そのままカベを透過しやがった! 

 まじかよ、建物透過できんの? バグレベルじゃねーかこの能力。スケベ主人公共が喉から手が出るほど欲しいアレか。

 しかし暗くてなんも見えないんだけど……っと更に引っ張られて深くまでもぐらされると何かが見え始める。

 これは……まるで3次元地図みたいな視点だ。

 こいつはこんな視点で世界を見てるのか。

 これじゃスケベ主人公共はやっぱりイラネって言うだろうな。

 その3次元地図のような視点だと、確かにカベとカベの間には隙間があるのだが、薄緑色の膜のようなものが張られているのが分かる。こいつが目視できないとなると厄介だな。

 だが、見えないものを確認できるってのは良い経験値になる。


「……この魔法障壁ってどうやって破壊するんだ?」

「魔法障壁は大抵が魔法系による効果、『衝撃』に弱いカベ。覚えておくといいカベ」

「……? あ、ああ。参考になったよ。外に出してもらえるか?」

「分かったカベ。ここの作業はもう少しで終わるカベ。誰かに聞かれたならそう伝えて欲しいカベ」


 カベの外に出してもらうと、視点に強烈な違和感を覚える。無理もねー、全然違う世界だ。

 仕事の邪魔しちゃ悪いから、ウォーラスとはそこで別れた。

 しかし、魔法による効果、衝撃か。どうやらまだまだ戦闘については考えないといけないことが多そうだ。 


「お兄ちゃん、場所変える?」

「そうだな……」

「ミーコね。海を見に行きたい!」

「悪く無い提案だが……ここは島なんだろ? そこら中海辺じゃないのか?」

「港に行ってみたいの」

「港……他プレイヤーと接触することになっちまうな」

「いや?」

「いやじゃねーんだけどさ。仮面被ればいいか。躍動のすね当てで試したいこともあるし、いっちょ行ってみっか。この城の最上階って高いか?」

「すごく高いよ。落ちたら死んじゃうくらい」

「そうかそうか、それはいい……よし、最上階へゴーだ!」


■廃城、最上階■


 ミーコに案内されて城のてっぺんまで来た。

 確かに高い。そしてボロボロ。どんな攻撃受けたらここまで破壊されるんだろう。

 上空から爆撃? にしちゃ、薙ぎ払ったような焦げ跡があるな。

 

「高いでしょ?」

「ああ。ギリ届くと思いたいが、届かなきゃ発動しないだろう。ミーコ、肩車してやる」

「いいよぉ。怖いもん」

「大丈夫、何も無かったらすぐ降ろすから」

「うん……分かった。何かの修行なんだよね?」

「そういうことだ。人を乗せたまま移動できるかどうかを含めて、高低差での移動チェックをしたい」


新しく覚えた指弾きだけじゃなく、『操』術も引き続き修行と考察が必要だ。

 どんな書物から得た知識や人から聞いた話なんかもそうだが、多角的視点による分析ってのができるかできないかが、人間の知能の高さレベルに直結するって親父が言っていた。

 些細ささいな出来事でも鵜呑み(うのみ)にせず、分析して複数の答えを出せる奴こそ頭脳明晰ずのうめいせきと呼ぶに相応ふさわしく、学校の勉強ができました、というだけでは、努力、運の良さ、そして一時いちじ記憶、メモリの容量とハードディスク容量に過ぎないんだとか。

 興味を持って学ぶ力に長けるならば、そこから更に飛躍し分析する力を身に着けるべきだと。

 これまでは何のこっちゃ分からんし、きっと出来てるだろう? と思っていたわけだが……今は違う。

 さっき聞いたウォーラスの話でも感じたが、聞いた話の先にあるものを考えていこうと思う。


 さて、俺が今からやるのは操術の発展型(俺流)だ。

 まずは糸の玉を二つ用意して、それぞれに操術を付与する。

 この程度の質量なら自由自在に扱える。

 これだけじゃ軽すぎるので、枝をそいつに結びつける。

 この時点で操術を付与していても枝が重いので自由には動かせなくなる。

 つまり操術というのは、物体の質量に大きく依存するってことだ。

 こいつは修練の書のどこにも書いていないだろう。

 まずはこのうちの片方を最上階から地面へ落とした。


「お兄ちゃん、落としちゃったけどいいの?」

「ああ。地面にあるが、この位置から地面には降りられない。ミーコ、いったん降りてくれ」

「うん」

「……ミーコが降りても降りられない。つまり高低差による限界点を越えているってことだな」

「もう一回いっかい乗る?」

「頼む。今度はまじで降りるかもしれないが、いいか?」

「うん。信じてるもん」

「いい子だ」


 再びミーコを肩車する。もうひとつの糸玉を地面に向けて落とし……落下中の糸玉に向けて躍動のすね当てを信じ移動した。


「きゃああーーーーーー!」

「成功だ。やはり空中で接地はできないな……もういちど躍動しろ!」


 空中落下物へ移動。そしてさらに地面へ落ちた操術付与済みの糸玉へも移動に成功。着地と同時に落下してきた糸玉を手で拾い上げた。


「え? え? ミーコ、地面にいるよ? 落ちたと思ったのに」

「ふう……やっぱ躍動の連続使用は俺自身の消耗も激しいわ」


 高低差無視が可能。このアドバンテージは大きい。さらに俺が持てるくらいなら人も運べる。

 ただしいくつか気付いたことがある。

 こいつは移動中も空力抵抗を受ける。

 突風の中で使用するのは危険だろうし、水中での使用は極端に速度が落ちると思う。

 だが、欠点らしい欠点が今のところ使用回数によるチャージと疲労以外は見当たらない。

 指弾きにおける能力とも上手く組み合わせる方法を考えねーとだな……職業、ブルールミナスか。すげー力だ。

 これでまだ初歩の初歩。将来が楽しみだぜ。

 そーいや自分の体に『操』術を付与するとどうなるのか試さないといけないんだったな。

 ……港でやるか。 


「さて、んじゃ港に行こーぜ」

「うん。お城、こんなとこから出ちゃってもよかったのかなぁ?」

「構わねーだろ。毎回みょんみょん言われながら出るのもダリーし」

「可愛いのに。うさぎさん」

「……あれ、可愛いか?」

新しい能力を検証するジャッジさん。

こういう時間って楽しいですよね。

新しい魔法を覚えた! 戦って使用。いまいちを実感する。

次に進む。

……面倒だからもう全部イオラでよくね? 


しかしMPが足りない。

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