第64話 クエスト、【廻る天輪】の概要
職業クエストの概要。目玉な部分なので凝ってる内容です。
職業獲得用案内Z(限定、極秘)にあった依頼書。その中身をミンニャと二人で読み始めた。
本来クエストってのは依頼者がいて、その依頼を受注し成功すれば対価を得られるものだ。
この依頼書は全然それとは違うな。
【廻る天輪】
人は他が死すことに、知己の深さにより嘆く度合いが大きく変わる。
見知らぬ者の死に憂いを感じれど、その深さはたかが知れている。
死す者が己の慕うものと知れば、その嘆きはいかようにも表現し難いものとなるのだ。
汝、死を尊ふものならば、廻る天輪に触れ、繰り返される与奪の儚さを知るがいい。
そのさきにある証を持ち帰ったならば、汝※※※の資質を得ん。
……以上がこの依頼書に浮かび上がってきた内容だ。
難しく書かれていて、これだけじゃ意味が分からない。
「こちらの内容を見る限りでは、何かの探索クエストでしょうか?」
「それだけじゃないと思う。こっちの資料を見てくれ。俺も資料の続きを確認してみるから」
「これは……クエストのヒントですか? 単純なクエストではなさそうですね」
二枚目を見る前に、最初の資料を思い返し、少し整理してみようか。
死せぬ王、ザッハークとフェリドゥーン、天使ソルーシュの関係性と秘密を探り、真に悟った者こそが、新たなる力を得るだろう……だったかな。
これをクエストの概要と照らし合わせて考えよう。
死せぬ王、ザッハークっていうのとフェリドゥーン、天使ソルーシュって言う奴ら、そして死に関しての嘆き? が結びつくのだろうか。
二枚目はパッと見た感じ、絵が描いてある。
恐ろしい蛇を巻き付ける男。その左右に女性の絵。晴れ渡る空の中、長い槍を持つ男と民衆がいる絵だ。
三つ目の資料は暗号のような短文か。どれどれ……。
【その道はどこにでもある猛毒である。情を飲めばその心を押し開くこと叶うだろうが、気を付けるがいい。それは悪魔の心でもあるのだから】
資料は以上。テーブル上に並べてミンニャと考えるが、いまいちよく分からない。
「……うう。私、レンズの職員失格だにゃあ……」
「猫語尾になってるぞ」
「はっ!? 仕事中に失礼しました」
「……別に仕事モードにならなくてもいいよ」
紙とにらめっこしていたら、けたたましく俺の腹が鳴りだした。果物もミーコに上げちまったからなんも食ってないんだった。
でも、腹が鳴るたびに生きてることを実感できる。
「すごい音ですね……って、そうだわ! ジャッジさんの食事を提供するように言われてたんです!」
「……それって語尾を気にするより大事じゃないの? でもありがたいわ。なにせ今、カネがまったく無いもんで」
「昨日、もらってましたよね?」
「全部使った」
「全部ですか!? 信じられない……」
「カネってのは必要な時に必要なだけ使うものだろ?」
「け・い・か・くて・き・に! です。甲斐性のない男性は嫌われますよ」
「うっ。昨日のは仕方なかったんだって」
……って言い訳するのがやばく感じてきた。考えてみりゃ確かにそうだわ。
カプセルトイに所持金全ブッパして飯を食うカネがないなんて、クレカ上限でぶん回すおっさんと大差ないじゃねーか。
「気を付けます……」
「分かればよろしい。少し休憩にしましょうか。今のうちにお城の不足品を取りまとめたものを報告していただいても?」
「それなら紙に書いてきたよ。お節介かもしれないけど城の配置なんかをこうしたらいいかなって案も記入しておいた」
「どれどれ……」
真剣な目でそれらを読みだす……って穴が開くほど見なくても。
さっと目をとおしてくれるだけでいいのに。
「これ、ジャッジさんが書いたんですか?」
「そうだけど」
「……また報告が増えてしまいました。よくできています。こちらの依頼料は魔王様に掛け合っておきましょう。食糧を買いにいって来ますからそのままお待ちください」
「そんなら紙とペン、貸してくんない?」
「受付にあるものをご自身で勝手に使ってください」
……ミーコなら取って来てくれるんだけどなぁ。
いやいや、俺の食事を買いに行ってくれてるんだ。
文句言わずに自分で探そう。分からないことをまとめるってのは大事だ。
クエストのことを上から順番に項目形式で書いてみるか。
職業名、不明。
クエスト名、廻る天輪。
関連アイテム、皆伝書、修練の書、イブリースの鍵、謎の道具が詰まった入れ物、クエストの依頼書、極秘職業への道、Z版資料3枚。
主目的、繰り返される与奪の儚さを知る証を持ち帰ること?
クエスト開始場所、不明。
必要な条件、不明
報酬、不明。
……やっぱ紙に書いてまとめると分かりやすいな。
教員の呪文、オマエラ、ノート、トレ! のお陰だわ。唱えられるたびに俺らのMPが吸い取られる凶悪魔法だが。いや、唱えられなくても吸われてんな。
しっかし、どうクエストを始めたらいいかが問題だ。
どこかに向かうならカネが必要だが……このダンジョン、イブリースの鍵ってのはどこで使ったらいいんだろう。
イブリースって建物を探して使えってこと? ……資料やクエスト受注書に、目的地が書いてないなんてことあるか?
もういちど両方見直してみよう。
この文面を推察するに……待てよ。そうか! 分かったかもしれない。
他に不安があるとすれば俺の装備だが、これもミンニャ便りになるか。
ここ数日、他人に借りを作りっぱなしだわ。どう返したもんかな……。
【廻る天輪】という言葉自体は目にすることがある人もいるかもしれません。
モチーフにした歌などもあったりします。そしてこれはある伝承にまつわるものです。
ザッハークという言葉も知ってる! って人はいらっしゃるかもしれませんね。確かFATEのゲームキャラかなんかで出てたような気がしますので。
さて、この一連のクエストが開始されるまでもう少しです。
ぜひお楽しみに! &良かったらブックマ評価で応援してくだしあ!




