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パクリマスオンライン 六つの企業が協力して完成された、最先端のTRMMORPG  作者: 紫電のチュウニー
第5

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第39話 見えざる幻手


■????????■


 ……なにが起こったのかは理解できていた。

 仮面の形が変わり、俺を飲み込んだんだ。

 闇に包まれ、なにも動かせなくなった。

 気持ち悪くなりログアウトしようとしたが、それもできなかった。

 オメガさんにエラーが出ていたこともあるだろうけど、パクリマのバグじゃないのか。

 異世界を目の前にして俺は初死亡したのだろう。

 ヨナの声が聞こえた気がして、それから……そう。体を半分にされた。

 半分ってのは真横に斬られたんじゃない。縦半分だ。

 なのに、リスボーンしていない。

 何も見えず、ログアウトもできずにそのままどのくらい時間が経っただろう。

 家族が心配しているかもしれない。

 強制的に体を動かせない。オメガさんも、もういない。

 俺のテンプルヴァイスは特別だった。

 だからなのか、最初からおかしかったんだ。

 そんな特別感が心地よくて、考えるのを止めていた。

 オメガさんにはバグがあり、俺自身が操作不能になるかもしれないことを無視していた。


「それで? 君はバグってやつのせいで体が動かないと思ってるんだね」


 ……なんだ? だってそうだろ。体が真っ二つになってもリスボーンしないんだ。

 ログアウトもできやしない。最悪だよ。


「最悪なのかな。僕にはそうは思えないけど」


 何言ってるんだ? 俺が俺自身の意識への問いかけをしてるのか? 

 俺の人格なら俺の意見を否定すんじゃねーよ。


「よく分からないけど、君は勘違いをしているね」


 勘違い? この状況のなにが勘違いだよ。俺はこのまま病院にでも緊急搬送されるのか。

 テンプルヴァイスは神経と接続する。肉体に危険な状態があれば強制的にシャットアウトされるはずだ。だが、それが機能していない。


「ふーん。あの状況じゃ神経とやらはズタズタだよね。肉体が危険な状態でもそれを自動で守る仕組みがあるの? なかなかいい防御能力だね」


 ……なんだ、これ。俺の意思じゃないよな。お前、誰だ? さっきのジャッジメントってやつなのか? 


「ジャッジメントって? 君の体をこんな風にしたやつ?」


 違う。それはもうひとり、そばにいたペイジとかいうやつだ。

 俺が身に着けていた仮面から生まれた……いや、仮面に封印されていたやつか。

 そいつがジャッジメントと名乗っていた。

 アルカランだのアルアンダーだの、わけがわからねー。


「……古代の遺物かな。間違いない、それはアーティファクトだね」


 アーティファクト? 違う。確かにアイテム欄にはユニークとあった。


「ふうん。偽装タイプのアーティファクトかな。だとするなら神話級かもしれない。相当に貴重なものを見つけたんだ。君って運がいいんだね」


 おちょくるなよ。お前、いったい誰だ。こんな状況の俺のどこが、運がいいって? 大体リリや幼女が俺をあしげにしなけりゃこんなことには……いや、いつかは起こってたか。人のせいにするのはよくないって親父にもよく言われたな。


「君、面白いね。人間はさ。強欲で自分のことばかり考えるでしょ? でもさ。たまにだけど君みたいなやつがいるの、僕は知ってるんだ。勇気と思いやりがあってね。誰かのためにいつも戦って、自分が傷付いて損ばかりするのに笑っててさ。見返りなんか求めない。心が温かいんだ」


 ……ああ。化石レベルに少ないが、まだあの星にもいるよ。


「そうなんだ。いつかその場所に行ってみたいな。君、案内してくれない?」


 こんな状況じゃできるなんて言えるわけないだろ。俺、平気なのかな。このままテンプルヴァイスの中で身動きできずにいたら、数日で死ぬよな。


「君は、死なせないよ。だからね。今はもう少し休んで。きっと眠くなるから。安心して。約束するよ。僕が君を助けるから」


 ……ああ。言われたとおり眠くなってきた。

 なんでだろう。名前すら知らないやつなのに。

 お前の声が聞けて、不安が薄れた。

 これも、テンプルヴァイスの機能なのかな。


「ひどいなぁ。僕は機能なんてものじゃないよ。ただのとおりすがりで気まぐれな……妖魔さ」

 

さて、いよいよ物語は異世界へ。

この先どうなっていくのでしょうか。


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