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パクリマスオンライン 六つの企業が協力して完成された、最先端のTRMMORPG  作者: 紫電のチュウニー
第5

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第37話 【力を使え】

急激に寒くなって参りました。週末は雪なるか!?

■宇宙、ゲンドール領域付近、リリとヨーコサイド■


「ダッシュのやつ、追って来ないな。少しやり過ぎたんじゃないか?」

「あれくらいの落下には慣れておいて欲しいのよね。ダッシュ君には期待してるんだもん」

「ほう。投資無敗の先を見とおす悪魔から思わぬ言葉が聞けたな」

「誰が悪魔よ。ねぇヨーコ。ちゃんと霊線の速度調節方法は教えたのよね?」

「……見ろ。ついにゲンドールが近づいて来たぞ!」

「うわぁ……もしかして超低速で進んでるんじゃないの。きっとしばらくは合流できないわねぇ。まぁいいわ、ゲンドールに到着したらメッセージだけ送っておいて、レベル上げでもしておきましょ」



■宇宙、地球側ジオスペース付近、ダッシュサイド■


 ゲンドール。それはかつて、おおいなる神々により創造されし管理者たちにより、地上と地底に分かれていた地だったという。

 ある日、その絶対的な神々と管理者が失われてしまった。

 地底世界は崩壊してしまい、小さな力しか持たない神とその尖兵、神をもしのぐ魔神や悪しき人々により、ゲンドールの世界は激しい戦火に見舞われた。

 いくつもの土地が破壊され、ゲンドールは混乱が続き、亜人や獣人、人族も魔族も疲弊ひへいしていた。

 その窮地きゅうちを救ったのは、たった一人ひとりの少女だった。

 少女の瞳には、管理者から託されたという賢者の石が宿っていたのだ。その少女は、生まれながらにして古来種の血と、特殊な魔族の血を引いていた。

 少女は【研究者】と呼ばれる者たちと力を合わせ、全ての管理者を復活させたという。

 しかし管理者が復活したことは、朗報だけではなかった。

 かつて管理者が数専念かけて封じていた悪神や魔神、悪意ある者、外来種、死せる王まで復活してしまい、ゲンドールは再び混沌の道を歩み出す。

【研究者】たちは管理者と協力して、再び地底を呼び戻したという。

 再び地上と地底に分かれたゲンドールは、今まさに悪神たちとの戦風が巻き起ころうとしているのだ。


「……んごーー、んごーー……」

『ダッシュ様。以上がゲンドールの分かりやすい歴史です』

「……ンゴ?」

『もういちどお聞きになりますか?』

「ふああーー、途中から意識飛んでたわ。ログアウトされてなくてよかったぜ……って全然進んでねーじゃねーか! どうなってんだよ霊線移動。ログアウトしてたら勝手にたどり着いたりしてない?」

『ダッシュ様。宇宙の旅もよいものですよ』

「んなこと言われても同じ景色だからなー。宇宙ステーションで働く人ってすげーよ。本来ならここは放射線まみれで自由に動けない世界だよな。なんかこう……蛇の道を進む武道家の気分になってきたわ。俺も手のひらからエネルギーみたいなもんを放出できないもんかねぇ」

『可能であると推測されますが、パクリマスオンラインにおける戦い方は千差万別です』

「っていうと? 格闘なら殴る蹴るや投げ技以外にもあるってこと?」

『戦闘とは個別、集団、軍団、国家、地域、大陸、世界とその幅を広げるごとに必要となる能力が異なります』

「戦闘の……規模の話?」

『おっしゃるとおりです。ダッシュ様がこれまで行った戦闘は全て、オメガがデータとして管理しています。これまでの戦闘は、どれも単純な個別のものに過ぎません。パクリマスオンラインにおける戦闘とは、もっと上のものです』


 つまり俺が知っているパクリマでの楽しい戦闘は、小さなものってことか。

 だが、集団は少し経験したよな? 


「いちおうリリや幼女とパーティーを組んで戦闘したぞ?」

『もっと大きな規模が集団戦闘となります。ダッシュ様がまだ未経験な部類、レイドです』

「なに!? レイドボスいんの?」

『すでに地球圏では二度ほどレイドボスが登場していたようです。それでも最下級の魔人クラスです』

「レイドはやってみたいが、目立ちたくはないんだよな。ただでさえPKに狙われてるし」

『ダッシュ様なら最大限に目立った方がよろしいかと思います。そうすればプレイヤーキラーも手を出しづらくなると思いますよ』

「それってどういう意……味ってなんじゃあ!?」


 オメガさんと悠長な鎖上の旅をしていたら、突然鎖がグラングランとたゆみだした。

 そして鎖から小さな機械みたいなやつが飛び出してきた。

 モンスター!? まるでドローンみたいだぞ。


「この状況で戦闘もアリなのかよ。どうやって戦えってんだ?」

『ダッシュ様。ここでの戦闘は強制ターンバトルとなります』

「ターンバトル!? 確かに動き回れないこの状況ならそれが最善か。けど、どうすりゃいいんだ?」

『ご安心ください。ターンバトルメニュー進行は難しい操作ではありません』


【ユアエンカウント・リトルガイアイーター】


 突如始まったターン制バトル。

 アクション状態と大きく異なるのは、相手の体力ゲージなんかが目視できることだ。

 そして、俺もメニューが表示されてる。

 相手は二体の小型で浮遊してるドローンのような機体。

 これもゲンドールから来たんだよな。相当な文明を持つ地域があるのか。


『ダッシュ様。まずターン制バトルでは、なにも行動しないと相手に先制されます』

「それ、先に言ってくれよ! うわ、襲ってきた!」

『リトルガイアイーターAは様子を見ている。リトルガイアイーターBはエネルギーを放電した! ダッシュは軽傷を負い20のダメージ』

「おい、冗談じゃねえ。死ぬじゃねえか!」 

『ダッシュ様のターンです』

「どうしろってんだよ。向こうはノーダメでこっちは体力半分削られてんぞ!? まさかここで死ぬなんて……あれ? メニュー表示がボケて見え……ど、れか選ばねーと……なんだよ、ぶれてるぞ」

【力を使え】

『ダッシュ様! 強制的なイレギュラーが発生しています。オメガではサポートできません! 通信ネラー、否定、プログラムコンソールエラー……否定』

「よく、聞こえない。んだ、よ。どうなっ……」

【戦いを欲するその血は抗えぬ】

「はぁ……はぁ、ちっと、気持ち、悪い……ログアウ……」

【代わりに引いてやろう。引き金を】

「ああああああ! 顔が、熱い! 仮面が剥が……」

ついに来てしまいましたね……。

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