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パクリマスオンライン 六つの企業が協力して完成された、最先端のTRMMORPG  作者: 紫電のチュウニー
第5

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第27話 煉獄眼炎

よーやっと完全復活!(咳を除く)

一回目からちゃんと抗生剤出して欲しかったなぁと思うチュウニーであります。

最近のクリニックは問診も触診も何もしないのですね……。


 俺の目的は襲ってきたPK共を倒すことじゃない。

 なのに敵中へ突撃していくレウスさん。

 味方の意表を突いてどーする! 

 レウスさんのいで立ちははっきりいって怖い。

 上位のスケルトン……だよな。ステータスには骨の王なんて書いてあった。

 スケルトンキングってやつなのか。


「俺だー。レウスさんだぞ! だっはっはっはっは」

「……こんなのスキルで手に入るのか?」

「たかが浮いてるスケルトン一匹いっぴきじゃねーか。さっさと片付けるぞ、トルネードスピアード!」


 想定外の行動だったが、槍のスキルか? 巻き上げるような突き。いいリーチと速度。逃げながら見ていて確認し辛いが、プレイヤーの動きも悪くない。

 ただ、そりゃ逆効果だろ。


「おい。お前は友達にそんなことするのか?」


 ……あの槍の攻撃は悪くなかった……が、レウスさんは骨の指二本で軽く止めやがった。

 当たったとしても槍の突きなんてスカスカな骨に効くわけねー。骨相手なら打撃か聖属性と相場は決まってるだろ。

 まぁ噂の影響でか、格闘使ってるやつなんて誰もいないし、開始二日目で聖属性なんて使えるやついんのか? 

 

「う、うわあーーー! 五月雨撃ち!」


 今度は弓矢使い。あいつはそもそもビビり過ぎだろ。

 だが、矢なら足止めくらいにはなるか? ……いや、無理だ。レウスさんは楽しんでるだけだ。

 

「俺の目からはびっくり炎が出るんだなー」


 目から噴射型の炎が扇状おうぎじょうに飛び出て、飛ばされた矢が全て燃え尽きた。

 レウスさんをガン無視して俺へ突っ込んで来たのはマギナってあの女もどきだけ。

 

「おーいレウスさん。そろそろ戻ってこーい!」

「だっはっはっは! 相棒がそういうなら仕方無い。いきなり攻撃してくる無礼な奴らだったからお前ら友達じゃないわー。じゃあなー!」


 あっという間に俺を追いかけていたマギナの横を通り抜けて戻って来るレウスさん。

 いよいよ宝物殿に近づいてきた。

 俺が向かってる先を見て、マギナは勝ちを確信しているのだろう。

 口角を吊り上げて不出来な笑みを浮かべながらゆっくりと追い込むように距離を少しずつ詰めてきている。

 こっちもスタミナが切れるといけないから速度を落としている。

 スタミナの消耗は移動よりスキル使用の方が圧倒的に多い。

 やつもこっちのスタミナが尽きるとは思っていないだろう。

 追いかけていれば逃げ道は無くなる。その自信があり、俺を仕留められると確信している。

 そして、案の定他プレイヤーが進行方向に確認できた。


「いた。西に七、南に三。こいつら総合計で十五人のPKか。多いね」

「相棒。ここどこだ?」

「レウスさん、勝手に動くと危ないぜ。なぁ、頼みがあるんだけど」

「なんだ? 楽しいことか?」

「ああ楽しいことだ。レウスさんが召喚であることを広めて欲しいんだよ。あっちの集団にさ」

「まかせろ! あっちの友達でいいんだな?」

「あ、ああ。友達? あいつらが?」

「だっはっはっは! 生あるものは全て友達だ! それがバシレウス・オストーの良いところ」


 ふわふわと飛んでいくレウスさん。

 西、南にいたPK共はレウスさんを見て驚愕きょうがくしている。

 ここまでは想定どおり。だがレウスさんを召喚していると、魔力がガリガリ削られていく。

 かなり多くの魔力を手に入れたと思ったが、精々五分で全て使い切っちまうだろう。

 

「おいかけっこはここまでだよ。まんまとこんな奥まで来て。もう逃げられないから」


 後ろから追って来てたマギナが、持っていた双剣のうち片方を投げつけてきた。

 なんつー悪い顔だ。

 だが回避は楽っつーより、俺へ向けて投げたんじゃないのか? 

 どこに……ってなんだ、これ? 足元に円陣? トラップか! 


「移動阻害、節地陣ふしちじん。マギナ様が見つけたユニークスキルだよ、坊や。その範囲にいる間は強制スロウ。おまけに円陣にいる間は回避不可付きのデバフが一発いっぱつ分入るからねぇ」

「動きが遅くなりやがった! くそ、抜け出さねーと」

「無駄よ。このまま串刺してあげる」


 残った短剣で加速して俺へ突っ込んでくる。

 西、南に待機してたPK共はこっちには気付いてるが、レウスさんに夢中。

 西か南に逃げ……間に合わねぇだろ、これ。

 あのマギナってやつの攻撃、食らったら即死するか? 

 このユニークスキルは想定外だった。

 ダメだ、どうにかしねーと! 

 ここで死んだら幼女に合わせる顔がねえ! 

 

「ほらほら、死んじゃいナァーー!」

「くそ、影の向きも逆、剣を防ぐ盾も無い。俺の拳じゃ届かね……レウスさん!」


 レウスさんがこっちを見た。だが、距離が遠い! 


「相棒に何をするつもりだ、お前!」

『召喚共鳴を受理しました。召喚貸与スキル、煉獄の眼炎を獲得しました』


 それは突然だった。視界が螺旋の渦に包まれ見えなくなった。


「仮面から火が!? 何だその仮面はぁーーー!」

「聞きてえのは俺の方だわ! んだよ、このスキル!」


 俺へと突進してきたマギナを真っすぐに焼き切る炎が二つ。

 それは螺旋を描きながら、俺の仮面にある両目の穴から細く飛び出しマギナを貫いた。

 レウスさんがさっき使ってたやつの圧縮版か!? 

 完全に意表を突かれたマギナの心臓付近をぶち抜き、さらに勢いが衰えることはなく、マギナを後方から追いかけてきた奴らのうち三人も貫通し焼き切った! 

 なんつー威力だよ。今までのどの攻撃よりも火力をたたき出したに違いない。

 全部で四人を焼き貫く炎。

 だが、これで目的が果たせる! 


「レウスさん、戻って来い!」

「お? もうおしまいか?」


 さっきの技はレウスさんので技で間違いない。

 命拾いしたが、魔力をごっそり持っていかれた。

 さっきまでレウスさんを見ていた奴らも俺の攻撃を見て凍り付いてる。

 予定とは少々違ったが、これは十分仮面が目立ったはず。

 後は声を張り上げて叫ぶだけだ。


「どうだてめーーら! これが唯一無二ゆいいつむにのユニーク装備……えっと、大魔王ソウーゲスの仮面の力だ! 奇跡的に発見したこの超絶レア装備があればお前らなんざ何人束になっても勝てるはずねえ! 全員焼き殺してやるぜ!」

「おい、あいつレア持ってやがるぞ! 全員集めて囲め!」

「マギナのやつ、やられやがった。せっかくPK状態からの戻し実験をしたりしてたのによ。あいつに仲間の装備品やら預けてあったの分かってやがんのか!」

「絶対逃がすな、あいつをぶち殺して奪い返せ!」


 おーおー皆さん殺気だっちまって。

 このまま反転する前に、少々抵抗させてもらうぜ。

 この技はネタがばれると警戒されて使い勝手が悪くなるからPK向きじゃない。

 前衛と思われる突進してくる奴は六人。さぞや見えにくいだろうよ。

 影もいい方向だ。

 後衛組みにゃ当てられないが……この六人、全員俺より遅い。

 しかもきれいに横一列。

 脳筋だな。

 んじゃ、少しそっちへ行きますかね。


「こいつ、突っ込んでくるぞ! 正面には立つなよ! ネタが分かってりゃいいカモだぜ。後衛は魔法の準備もしておけ!」

「遅いんだよおめえら」

「こ、こいつユニークスキル……しまっ」

「電影、マジックバーストだ!」


 きれいに六人感電させられた。

 マジックバースト組込設定に電影を組み込んだところでネタが割れちまえば一発芸いっぱつげい

 だが、それに見合うだけの十分な範囲感電。さらにはスリップダメージまで与えられる。

 事前準備で試してみたが、扇状に百五十度ほど放出される。

 マジックバースト組込設定のおかげでかなり範囲が広がったみてーだ。


「くそ、お前ら邪魔だ! 魔法が撃てねーだろ!」

「状態異常なんて治せねーぞ!? つか、まだ発見された状態異常なんて毒だけだろ。なんだあのスキルは。あれも仮面のせいなのか?」


 突っ込んで来た前衛が盾になるから後衛は攻撃できない。

 

「こいつ、やべーぞ!」

「クエスト場で待機させてた二人も呼んで来い!」


 まだお仲間がいたのね。これでどうやら策は成った。

 後は幼女に連絡して引き返すだけだ。 


「通信ヨーコ。西からばれないように向かえ。俺は東へ逃げる。しばらくの間は他のプレイヤーに目もくれず俺へ来る集団がいるが無視してていい。急げよ……と。池にいたやつで死ななかったのは弓使いだけか」


 さて、後衛で待機してた魔法を使えると思われる奴らは無視して……当てるつもりも無いような矢が後ろから飛んできた。

 こんなリアリティなゲームで弓を選択しても、慣れるまで何日かかるんだ? 最終的に銃でも使おうと考えてるんだろうが、遠距離攻撃なら一撃必中いちげきひっちゅう。身を伏せてスナイプ一択いったくだろ。

 さて、そんじゃ来た道を戻りながら……「く、来るな」

「って言ってもそっちが帰り道なんだよ。俺の用事もう終わったし。ああ、そーだ君。スキル試させてくれよ……こっちは本物のユニークだからさ。行くぜ、多連ねこだましーニャ!」


 弓使いの正面で、パァンと弾ける高音が連続して鳴り響く。ただでさえ震えていた弓使いはもれなく失神した。

 やっぱりこれ、宴会芸スキルじゃねーか! 

 そんな様子を見て、恐ろしく遅い速度で追いかけてきていた後衛共が、杖を構えてブツブツと唱え始めていた。

 移動しながら詠唱している奴もいるが、すでに移動速度が徒歩以下。

 魔法は恐らく射程が長くないし強い魔法は開始二日目で使えるはずもないから警戒はしていなかった。

 だが、魔法だ。見たい! 見たいが、お前らが魔法を撃つべき方向は俺の方じゃない。

 西の方角だ。

 うーむ。思ったより数が多く来ちまったか。


「裏チュートリアル突破のダッシュってやつ、いるだろ。そいつらは俺らPK狩り専門、魔神のハイドラがもらうぜ。邪魔すんならPKK(ピーケーケー)(プレイヤーキラーを専門にキルする人の総称)するぞ、お前ら!」

「ヘビースモークさん、あの仮面の奴がそうじゃないっすか」

「スピナー。あいつレベル20だぞ?」

「まじだ! てか、初期装備じゃないっすか」

「あー、やだやだ。俺ら情報に踊らされたんじゃねーの。ありゃどう見ても外れだろ」

「んじゃ、腹いせにPKKしてきますかねぇ。クエスト場でたむろしてるこいつら狩り尽くせば、多少カーネにゃなるでしょ」

「こいつら以外のPKも随分来たみたいだぜ。大剣アポカレプリカの試し斬りにゃもってこいだ……あの仮面野郎がダッシュか。あいつ度胸すわってんな。傭兵解放したら勧誘してみるか?」

「あんなのをっすか? 冗談でしょ。んじゃ、魔法キャラ意識してるやつらから血祭に上げてきますわ!」


 西門から入って来た集団のうち二人がぶつくさ言ってるのが聞こえる。

 ありゃ廃プレイヤーだな。

 俺が策を練ったのは俺狙いのPK集団をここに集めること。

 某大型掲示板で俺をキルすっかと言っていたやつがいたことを思い出し、俺は明治神宮にいると垂れこみをしておいた。

 この場に変な仮面をつけてる野郎は俺だけ。

 間違いなく狙ってくると思っていた。

 ……ぶっちゃけ、盛りすぎだろってくらいこの仮面にありもしなそうな情報を載せておいた。

 当然呪われてて外れないことなど書いていない。

 ただ、来るとは思っていたんだが、想定していたより人数が多い。

 五十人。いや、もっと増えてる気がする。

 もしかしたら東側にも回り込んでるかもしれねー。

 よ、よし。ここはあれだ。 

「全速力撤退!」

『待ちやがれ! その仮面寄越せやーー!』

「げっ!? 正面にもいる!? くっそ、南だ、南! ……こっちにも?」


 もはやここはPVPエリアではない。

 俺キルエリア(ダッシュ狩りエリア)だわ! 

レウスさんはやはり強い! ちなみに召喚の説明やらはもっと後になります。

色々説明が足りない? はい、これも仕様で実際のMMOが開始二日目で分かることはクローズ、オープンベータの延長までかなというのを想定してネタを出しております。

そんなところもよりトゥルーリアリティ。

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