第25話 事前準備
過去二番目くらいにきつかったなんやしかの感染症、大分よくなりました!
明治神宮を抜け進むことを提案すると、幼女は口をぽかりと開け、心外なる者を見るようなまなざしを向けて来る。ただでさえ幼女と一緒にいる仮面野郎なんだ。誰かに見られていたら、不審者扱い待ったなしだぞ止めてくれ。
「バカを言うな、確実に狙われるぞ!」
「俺が狙われてる間に、神宮でのクエストは終わらせられるか?」
「それは……だが、先に渋谷へ行ってからでも」
「急ぐ用事があるんだろ。ならさ、俺を利用しろよ。どうせ一人で向かってたら、こんなに早くは来れなかったんだ」
「そういう問題じゃない。所持品だって奪われるかもしれない」
「ふーん。パクリマのPVPはそういう仕様か。多少はPVPの経験はあるんだけど、そうか。奪われる所持品ねぇ」
なら先に、事前に準備しねーと。敏捷に55ポイント全部振るか。奪われる可能性があるもんはみんな使っちまおう。称号アイテムは召喚の方を使ってみるか。残りのノード黒霊鉱も全部食っちまうか。よーし……「リファレンス!」
※※※※
”徴召成し得る者”
Name:ダッシュ
Tribe:ヒューマン(霊体解放)
Level:20
Class:無
Unique Name:無
HP(体力):35ー10(TBー10)
MP(魔力):200+150(TB150)
ST:40+20(TB20)
STR(筋力):10
AGL(敏捷):100+30(TB30)
VIT(耐久力):20
LUC(幸運):15+???(???)
割り振り値:0
マジックコンソール
セット済み召喚
宝箱にありし骨の王、バシレウス・オストーlv1
スキル:格闘
ワンツー、キック、タックル、浮水蹴り、ローリングソバット、巴投げ
EXスキル:格闘
ジャストフロー、ジョルトカウンター、電影、シザーズヒール
ユニークスキル:格闘
電影シザーズ
マジックバーストスキル組込設定
無
装備
武器:シンプルナックル
頭:奇妙な仮面(U)※未鑑定※
胴:サイバースーツ(黒)
腰:無
足:無
装飾品:無
※※※※
おっし、敏捷性130!? TBってのはタイトルボーナス(称号ボーナスのこと。セットされる称号によりボーナス値を得る)だよな。ボーナス補正値がでけぇ。さすがは召喚のタイトルってとこか。
「ちょっとだけ待ってくれ。ああ、マジックバーストスキル組込設定ってのはなんだ?」
『ダッシュ様。お答えします。魔力を帯びた攻撃方法を取得した場合に設定できるスキルの魔法強化方法のことです。現在ロック解除済みは一つの項目のみ。こちらに一つスキルを設定し効果を増幅できます』
……そうすっと使ったことがある電影にしといた方がいいな。目的はPVPでタイマン張るってわけじゃない。時間稼ぎだ。
「称号獲得用アイテム、使ってしまってよかったのか? 貴重な道具だぞ」
「構わねーよ。売るつもりは無いし、売ったら相棒の骨に怒られそうだ。ついでにもう一つ。スキル改変アイテム。これも使ってみたいんだが、ユニークスキルにも使えるよな?」
「スキル改変アイテム! そ、それ欲しいぃ……」
「やるか! てか、渡せねーだろ。売れるのかもしれないけど、今はカネより強さが欲しい。ええい、ままよ!」
『電影シザースをスキル改変します。電影シザースは以後習得不可能になりますがよろしいですか?』
「……よろしいです」
当然リスクあるよな。さぁどうなる! どっちみち獲得すんのはユニークだろ。変なスキルじゃねーはずだ!
『ユニークスキル、多連ねこだましーニャを獲得しました』
「はい?」
『電影シザーズは消滅しました』
待て待て待て! そりゃ違う意味でユニークだろぉ?
なにか? ねこだましを連続でやる、宴会芸て有用なあれか?
くそ、俺の引きが弱いことくらい理解してたわ!
まぁいい。まぁ……「やっぱりよくねぇわ! んじゃこのスキルはぁーー!」
「おい落ち着け。何を獲得したのか知らないが、ユニークであれば使い道がないなんてことは無いはず。ぼちぼちユニークスキルを覚え始めたやつらが多く情報が上がってき始めたが、ユニークの性能はどれも強力だ」
「格闘はどうだ?」
「誰かが格闘最弱情報を流してから使うやつが全然おらず報告も上がっていない」
……なんで格闘が最弱なんだよ! ちょいとばかり接近してリスクを負いながら戦わないといけないのとほとんどが打撃攻撃ってこと以外超強ええだろうが!
ったく。新たな目標が芽吹いちまいそうだ。
格闘最強伝説。俺が作ってやろうじゃねーか。
この、多連ねこだましーニャで!
この、多連ねこだましーニャで!
「……やっぱ武器変えるべきか」
「何を言っている。不遇と呼ばれる武器を選んでるからこそ貴様を誘ったのだ」
「へ? そうなの?」
「私は嫌いではない。むしろ他人の情報に容易く踊らされる方が嫌いだ」
「そうだよな。実装二日目。んな早く分かってたまるか。あ、プレイヤーキルされたら特殊アイテムもロストする?」
「イベントに関係するアイテムはまずしないだろう。進行不能のになるからな。だが、装備品は奪われカーネも半分取られる。逆に襲ってきたプレイヤーを返り討ちにすると、相手のカーネ全額と装備品を複数奪えるらしい」
「それはいいことを聞いた。そうかそうか」
ベルローゼにもらった種は死守できそうだ。
そして俺の所持金は残りたったの830カーネ。
最低レベルの回復薬83本分程度しかない。
装備は初期装備と外れない変な仮面。
失って痛そうなのは使用していない裏チュートリアルの称号獲得アイテムくらいだ。
「おし。準備は整った。行くぞ幼女」
「幼女じゃない、ヨーコだ! 本当にいいんだな?」
「ああ。作戦は考えてある。なるべく気付かれないように目的を果たせよ……ん?」
『ダッシュ様。フレンド申請が届いています』
「んだよ。縁起でもねー」
「うるさいな。さっさと受理しろ」
「はいはい。あれ? もう一件届いてる……ああ。なんでこいつから!」
見なかったことにしよう。
今登録を済ませたらやばい気がする。
いや、だが。先に幼女を登録したら後で何を言われるか分かったもんじゃない。
だ、大丈夫だよな。フレンド確定させて相手に通知は飛ばないよな? そんなお余計な親切心無いよな? な?
『フレンド申請を二件受理しました』
「俺は何も見ていない」
「よし……くれぐれも無茶はするなよ。合流地点はフレンドメッセージで後ほど伝える」
「ああ。こっからは別行動だ」
ようやくだ。戦闘に集中できる。
熱いPVPの始まりだぜ。
熱も下がったのでここ五話分ほどゆるりと見直しいたします。
結局コロナでもインフルでもなくなんだったのでしょう。
医者はコロナインフルしか調べてくれない!(しかも診察は外)




