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パクリマスオンライン 六つの企業が協力して完成された、最先端のTRMMORPG  作者: 紫電のチュウニー
第5

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第23話 ファントムライン

さぁどんどん進んで参りましょう。

■サクラストリート■


 国立駅付近のサクラストリートから真っすぐ道なりに進むと、そこは谷保という駅付近へと出る。

 道中は美しい桜の木が立ち並び、見ごたえを持たせている……だけなわけがねえ! 

 どうやらここがクエスト受注場所ってだけあって、人気スポットになりつつあるようでプレイヤーが多い。

 ようやく通常フィールドでの戦闘を行うわけだが、遭遇方法はいろいろだ。

 大きいハチみたいなものが飛んでいるなーと思っていたら襲って来られたり、きょろきょろしている小さなおっさんがいると思ったらゴブリンだったりもする。

 最悪なのは……ヘビ型のモンスターがにゅるっと桜の木の枝から降って来るのを見たこと。

 そして、幼女が「あれだ」と言ったことだ。

 さて、そのヘビをどうすれば幼女の言うPL(パワーレベリング。外部から協力を得て一気にレベルを上げる方法で毛嫌いする者もいる。方法はゲームにより大きく異なる)になるか。まず俺が敵を引き付ける。幼女がまとめて倒す。俺にも経験値が入り、レベルが上がる……という簡単なもの。そんなわけで……「八匹きたぁーー!」

「いけ、エリザベスちゃん。これぞ傀儡の魔法、舌炎!」


 人形、エリザベスの口から舌が燃えながら伸びてきた!? 

 俺の背後からも舌を出してる蛇が大量においかけてきている。

 前門の燃舌、後門の蛇舌だ。

 どっちも巻かれたくねえ! 

 このまま絡まれただけで何もしないのはしゃくだな。

 やってみっか。


「ただ逃げるだけだと思うなよ!」


 雪影。影を踏んだやつを転がす技だ。使い勝手もいい。

 転倒効果時間は短いし、どのモンスターにも効くってわけじゃないだろうが、パーティー組みで隙をまとめて作れるのはでかい。だが、連発はできない。

「行くぜ雪……影?」

【バチッ】

 そんな音と共に影がまるで電気を帯びているようだった。


『EXスキル、雪影がEXスキル電影へ進化、獲得しました。雪影の名称は全て電影に置き換えられます』

「進化したぁー? うわ、ヘビが全部しびれてら」

「いいスキルだ。まとめて焼却完了!」


 しびれるヘビ共は炎の舌に巻かれ、奴らは文字通りローストスネークミートになった。

 

「ほれ、休まず動け。次だ、次!」

「ちっとは休ませて確認させろ、この鬼畜幼女がっ!」

「鬼だの畜だのレディーに対して無礼だろう! 次はさっきの倍釣ってくるまで走れ! それに私は幼女ではない、ヨーコだ!」


 んなこと聞いてるんじゃねー。このヘビ、色が桜の木と同じで気付き辛いんだよ。他のプレイヤーは木になんて目もくれず路地裏やらのゴブ共と戦ってるってのに。

 くっそーー! 


「やってやろうじゃねえか!」


 と、大息を巻いたが先ほどの八匹は過酷なレベル上げの序曲に過ぎなかったんだ……。


■谷保ステーション■


「はぁ、はぁ。死ぬかと思った」

「何を言ってる。リアルで死ぬわけないだろう」

「そうでございますね……たはー、しっかしレベル、上がったわぁー」

「20までは楽に上がるよう設定されている。問題はそこからだぞ」


 まぁ、ゲームの入口はサクサクレベルあがらないとつまらなくなるからな。

 パクリマはスキルを自己取得する仕組みだが、レベルによる制限とかもあんのかな。

 スキルの進化はあったみたいだが、新しいユニークも覚えてはいない。もう他の奴らはユニークを覚え始めてるだろう。

 戦闘で言えば他にも気になる点がある。

 ターン制バトルについてだ。

 切り替え方法も分からないし、どう戦うのかも想像がついていない。


「なぁ幼女」

「幼女じゃない、ヨーコだ」

「パクリマの戦闘って二種類あるんだろ? リアルアクションで戦っている今みたいなものと、ターン制バトルの」

「うむ。ちょうどここから見えるパーティーがやっておるな」

「まじで!?」


 幼女が指を指す方向を見ると、確かに。

 足だけ微動だにせず構えている二人組の男がいた。

 名前は……放浪の戦士田中?、そしてキヨヒコ。

「なんつー名前を……」

「貴様と同じ、公式の説明などを見ずに始めたんじゃないのか。ふふふ、あれに肩書きがついたらどうなると思う?」


 放浪の戦士って肩書を手に入れると放浪の戦士放浪の戦士田中か。

 苗字はありだな。田中ならまず特定されないほど全国に田中さんがいる。

 だが、田中だけならマッハで取られるから別名をつけるのだろうが、なぜああなった。


「二連斬!」


 おお、動き出した。まず田中が前に進んで上段からの連続攻撃、二連斬とやらを放つ。的確にモンスターに命中して、さらにつづけざまにキヨヒコが槍で突く。

 ……地味だ! だが、これなら楽で誰にでもできる。

 相手が弱く、スキルも基本スキルと思われるから、序盤の戦闘としては戦いやすいのだろうな。


「どうだ、あれでやりたいか?」

「いや、今はいいかな。もっと難しくなったら体験しよう」

「それが賢明だろう。先を急ぐぞ」


■谷保天満宮前■


 谷保駅の反対側へ移動し進んでいくと、立派な神宮が姿を見せる。

 ここは学問の神様でおなじみ、菅原道真をたてまつる神宮だ。

 日本でも三大学問の神とあがめられて久しく、俺も高校受験の祈願に来た。


「ここで手に入れたのだ」

「何を?」

「エリザベスちゃんだ。それまでラールフット族での開始も大変だった。運営側は明らかに人族が厳しい開始条件に指定している」

「キャラ差ってバランスとるの大変なんだろ? 魔力も持たない人間がスタート大変なのはしょうがないんじゃないか?」

「ああ。それは分かる。だがヒューマンには救いが今のところ見当たらないのだ」

「でも、さっきスキル進化もしたし、なんか魔法っぽいの使えるようになったぞ?」

「それは体内に宿った霊が魔力を帯びて身体的スキルを爆発的に向上させる、いわゆるマジックポイント消費型への昇華だな。だが、元の方が使い勝手が良かったという意見もでている。メリットとしては考え辛い」


 確かに。傀儡……エリザベスちゃんがラールフット族固有の能力だとするなら、ヒューマンには何もないに等しい。

 駅で戦っていた二人も恐らくヒューマン。なんの変哲もない能力と言える。

 二日目になっても種族的特性が見当たらないとすると、何もない可能性もある。

 だが……俺は今のところゲームを楽しんでいるし、徐々にいろいろなことが分かる方がワクワクするんだけど。

 みんなそんなに早く情報だけ知りたいもんかねぇ。

 

「まぁ、ゆっくり調べていけばいいって」

「ふふふ。良い答えだな。それでこそ共に冒険をする価値があるというものだ」

「えっ? なんか言ったか?」

「なんでもない。もう直ぐで甲州街道だ」


 何をぶつぶつと言ってるんだこの幼女は。

 もうろくするには早いだろう。いや、中身はおっさんかもしれないと思っている。何せここに来る間に何人もの幼女キャラを見たからだ。

 いかにも釣りだろうというやばい名前のやつもいた。

 特に姫とつくやつは要注意臭がする。

 やたらと露出の多い装備をしているやつもいたが、あんな装備も実装されてるとなると、運営のこずるい考えがちらつくが……そこは商売で失敗しないための秘訣なのだろう。

 

■エリア、甲州街道■


 ここは関東では有名な甲州街道。

 江戸幕府により敷設、整備された五街道のひとつで、現在は国道20号という呼び名の方がしっくりくるが、パクリマでの標識は甲州街道として認識させているようだ。

 作りこまれた標識にはきっちりと【甲州街道】の標識がある。

 

「なぁ。こっからどうやって移動するんだ?」

「ふむ。この電柱でよかろう」

「電柱? 電柱って今は電気なんかとおってないんだろ?」

「電線が電気を生み出していると思ってはおらんだろうな。ダッシュよ。電信柱とは何か分かるか?」

「電信柱? 電気を送るためのものだろ?」

「それは電力柱、通称電柱だ」

「ええっ!? 電柱って電信柱のことじゃないのか?」

「ふむ。高校生だと聞いていたが?」

「興味持ってないこととか学校で教わってないことなんて知るわけないだろ」

「電機は大事だろう。日常使うものだぞ。電力会社が送電するため設置するのが電力柱、通信会社が光回線を配線する目的として設置するものが電信柱。そしてこの時代は全てまとめられている。まとめられた柱は共用柱と呼ぶ。ここは本来、すでに無電柱化が進んでいるが……」

「このあたり、電柱が多いな。それで、その電柱が多いとどうなるんだ?」

「我々は霊を取り込み魔力が使えるようになった。魔力は電力同様、電線を伝い移動することができる。つまり共用柱あるいは電力柱のみ伝わって進めば瞬時に渋谷付近まで移動できる。これが……【ファントムライン】だ」

「ファントムライン!?」


 つまり、ノード黒霊鉱を手に入れられると、地球側は電柱が張り巡らされてるから移動が飛躍的にしやすくなるってことか。

 こっち側の特典ってわけだな。よし、一気に渋谷まで行こうじゃねーか。



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