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8.倫理観って知ってる? 【白川蓮】

【白川蓮】



 カレン達の元に到着して、見たものについて伝えた。

 クレーターができていた事、そして動物が居ない事。


「動物がいない?…ちょっと面倒かも」


「どっか一ヶ所に森中の動物が集まってんなら知らんが、まあ確実にこの辺りにはいなかった」


「…あっちの常識とこっちの常識比較しないと判断出来ないけど、移動するのは賛成。方向を定めましょう」


 五人で話し合い…実際に話したのは俺とカレンの二人で、優奈は秀に構ってたし奈々は黙っていたけれど。


「とりあえず、見通しのいい川に沿って行きましょう。そのクレーターとやらが何が原因かは分からないけれど、避けて通るに越した事はないはず。川からは離れた位置にあったのよね?」


「そこそこ距離自体は離れてたな。俺が登った木もそれなりの高さがあったはずだし」


「なら、方向は決定。川を下っていって人がいる場所…街か、村か。探してこっちの世界のことを知る必要がある」


 俺たちはこちらの世界のことを何も知らない。

 どんな世界なのか、どうやって生活しているのか。

 クラス全員が纏めてこちらの世界に飛ばされた理由も可能であれば知る必要がある。


「つっても、移動するとなるとあいつらと会わないか心配だな」


「…あいつら?」


「クラスメイト達。正直会うだけでも面倒ごとになりそうだからな」


 元々、俺たち5人とクラスメイト達の相性は良くなかった。

 こっちの世界に来た当初、俺とカレンは秀の事は一旦優奈と奈々に任せて帰る方法について考えた。

 こっちの世界に来れたのだ。

 あちらに帰れないはずがない。


 だが、クラスメイト達は違った。

 

 異世界である事を受け入れ、そして帰りたいと言う奴がいなかった。

 現実の見えていない奴らしか居なかった。

 自分達は異世界に呼ばれたという特別感が思考を麻痺させていたのかは分からないが、冷静なやつがいなかった。

 そんな奴らと再会すればどうなるか。


「…なあ。希望的観測言ってもいいか?」


「?別に構わないけど」


「もしかして、森の動物…生物っつった方がいいか。アイツらの方に集まってる可能性ない?」


 結構喧しかったし、人数も多かったし。

 何よりここが異世界なら人間を狙う危険生物の一匹や二匹いてもおかしくないだろう。


「…もし本当だったら、役に立ったわね」


「そうだな。俺らが安全に移動できる」


「よし、それじゃあ移動しましょう。ほら、三人とも行くわよ」


 三人を立たせて移動準備をする。

 ただ、秀が何とも言えない表情をしていた。


「秀、どうした?」


「…倫理観って知ってる?」


「知ってるけど」


「…そうか。悪かった」


「?」


 それから数分ほど、秀の言葉の意味に悩む事になった。

 結局何が言いたかったのだろうか。


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