5.異世界1日目 【鈴森奈々】
【鈴森奈々】
「…とりあえず、カレンに言われた通りに集めてきたよ」
手元に抱えていた複数種類の植物を置く。
大雑把に、雑草の類、食用と思われるたんぽぽやチコリーと思わしき葉っぱ、そして果実の類。
「ありがとう、奈々」
「…ん」
どーもー、こんにちは。
鈴森奈々(すずもりなな)です。
高校二年生。
無口系らしい女子高生です。
らしいっていうのは、そんな自覚が私には無いから。
おそらく、普段あまり喋らないせい?かも。
実は、声がコンプレックスなのもある。
なんというか、そう。
可愛らしい声、と言われてしまうのだ。
容姿に関しては黒髪ショート黒眼の日本人。
身長低くて、全体的に色々小さめなせいで小柄。
優奈とカレンが羨ましい。
四人家族です。
家族構成は両親と、姉、そして私。
姉は私と違って身長が高い。
どうしてだろう。
「…で、しっかり寝れた?」
「…まだ言う?悪かったって」
あまり言いすぎるのも良く無いとは思うが、若干八つ当たりの面もある。
「…とりあえず、漸く話し合いが出来るね」
今は五人が揃って話し合いができる状態になっている。
どこかの誰かが寝てたおかげで話し合いはまだしてなかった。
そのどこかの誰かは首を傾げているけれど。
「話し合い?」
「情報の共有とこれからやる事の方向性の確認。統一しておいた方がいいと思ってさ」
「なるほど。…俺必要?」
「…阿保」
無言で秀の頭を軽く叩く。
こいつの自己評価の低さはどうにかならないのか。
「…私らは五人で楽しくやるの。一人だけ話し合いから省いたら意味が無い」
「…ありがたいお言葉どうも」
「そうだよ、秀。私秀が居なくなったら何するか分かんないよ?」
「はいはい。分かった分かった。だから抱きつくのは勘弁してくれ」
後ろから抱きつく優奈と慣れた様子で対応する秀。
危なっかしい優奈と落ち着いた秀。
バランスの良い二人に見える。
「…なあ、奈々」
「…どうしたの、蓮」
「お前なんで自然に俺の上に座ってんの?」
「……癖?」
「…いや、俺に聞かれても」