47.「手加減は?」「無しで」「「ッしゃあ!!」」
【白川蓮】
「ふんっ!!」
魔物の腕による叩きつけを避け、顎を狙って拳を打ち上げる。
命中。
ただし、力加減を少々誤った。
「あっ」
「グオ………ッ!?」
空を舞う魔物。
その顎から盛大に血液を吹き出していた。
「飛ぶわけにはいかんしな……どうし」
「よお、蓮」
「おわっ!?」
反射的に振ってしまった裏拳が秀の顔面に突き刺さった。
秀だと分かった瞬間、咄嗟に方向をずらそうとしたのだが。
「んぐッ!?!?」
「あっ………悪い、勢い余った」
顔面には当たってない。
……いや、嘘をついた。
秀の額に命中した挙句、蹲ってしまった。
いつものじゃれあいとは違う、本気の拳。
流石の秀も痛がっていた。……蹲ってるのに何故か両手を上に挙げて頭を地面につけて悶えていた。
「ぃたぃ…………」
「というか気配消して後ろにいる方が悪いだろ」
「ごもっとも………」
「で、何しにきた?」
「おてつだい………」
「……?」
見ろ、と言うように秀の両手が目の前に出される。
右手には風の塊。
左手には、輝く光の玉。
「何これ?」
「風の爆弾と……シンプルにエネルギーの塊……」
「ええ……何でそんな危険物の組み合わせ持ってんの……」
「思いつき……」
「……やっぱお前が一番危ねえわ」
あ、風の爆弾の方が消えた。
何で思いつきで危険物二種のセット持ってくるかな、コイツは。
誰も頼まねえよ。
同時、魔物が地面と激突した。
「お前が……何か……全力出しそうな気配あったから……」
秀が言う間に、ゆっくりと魔物は体を起こした。
怒りのこもった視線の先は……。
あ、これ俺だな。
「馬鹿なん?」
「おまいう!?」
拳が、俺の体にぶつかった。
はっきり言おう、俺には何のダメージもない。
威力が足から抜けて地面が凹んで土が飛び散る。
その飛び散る土に、秀は空いている方の手を翳した。
「【穿て】」
四方八方に飛び散っていた土が、その言葉によって魔物の体を文字通り穿った。
「グアア!?」
土塊は貫通はしているがサイズが小さい。
せいぜいが数センチ程度の傷しか出来ていない。
両手を付き合わせ、構えた。
「秀、決めるぞ」
「はいはい。【援護】」
体が軽くなった気がする。
【言霊】の力だろう。
踏み込み、右の拳を構えた。
「ぶっ飛べ!!」
力を調節して大きく引いた右腕を上に向けて振り上げた。
二度目。
魔物の腹の部分を殴り、その威力で大きく吹き飛ばす。
あとは、秀に任せる。
「【撃て】」
秀の左手にあったエネルギーの塊。
撃ち出されたそれは、空まで届く光線となって魔物の体を飲み込み、音もなく消し去った。
「……何か、あれだな」
「何だよ」
「秀と戦うとかクソゲーな感じがする」
「よっしゃ顔面凹ませてやるよかかってこい」
おっ、もう一発殴った方がいいかな?




