40.力の使い方、絶対に間違ってる 【白川蓮】
【白川蓮】
突然の話であるが。
俺はかなり力が強い。
それこそ子供の頃は持った物を思わず握り潰してしまった事もあった。
だが一つ言わせて欲しい。
「扱いが人じゃねえぞ!?」
「まあ、大まかには蜥蜴だったはずよね」
「種類はな!?分類は違うんだよなぁー!!」
「……ごめん、どういうこと?」
「俺が知るか。蜥蜴とかほざいてるカレンか蓮本人に聞け」
「は〜い、トワは聞いちゃダメだからね。よしよし」
「あの……何も聞こえないです……」
イメージ的には屋根のない馬車の箱部分。
その上に乗った秀達を、俺が走って運んでいる。
可笑しくない?
「これが人間の扱いか!?答えろ発案者!!」
「いや風評被害にも程があるだろ……俺が提案したのはツーマンセルで交代交代で能力使うって話だ。ノリノリで俺が運ぶとか言い出したのはお前だ」
「言い逃れをする気か!?」
「【遮れ】――大体なあ、声がでけえんだよ脳筋ゴリラ!!怒鳴るな!!トワの負担になるだろうが黙って働け!!」
「くっ、秀のくせに正論吐きやがって……!!」
「今のは蓮の自爆じゃない……?」
奈々の指摘に涙が出そうになった。
こんな事があってたまるか。
「どっちにしろ、そろそろ疲れが溜まってきた!!誰か交代を……」
「【癒せ】」
投げやりな秀の声と共に、体の疲労感が消え去る。
何だかんだ言いつつも、交代してくれる優しさがきっとあるのだろう。
「秀、ありが…」
「ほら、続けて走れ」
優しさなんて無かった。
交代してくれる流れじゃねえの?普通。
「秀の力って本当に便利ね」
「ブルジョワ!!この人でなしどもめ!!」
「正論言うけど俺ら貴族じゃねえし、半分以上は人かどうか怪しいぞ?」
「確かに」
「急に落ち着くなびっくりするだろ」
疲労感の無くなった体で再び走り続けること、数分後。
「……蓮」
「どうした、秀」
「人助けする?しない?」
突然の問いかけだった。
しかし、そんな事は選ぶまでもない。
「するに決まってるだろ」
嘆息の音。
トントン、と箱を指先で叩く音と共に秀は言った。
「右斜め前、2時11……12分ぐらいの方向か?」
「細えな、把握した」
「真っ直ぐ進め。加速する、全員構えろ。優奈はトワをしっかり抱き抱えて」
「「「「了解」」」」
「行くぞ――【速を遅に。遅を速に。鮮やかなる流動に。流動は鮮やかならず】」
グン、と体が後ろに引っ張られるような感覚とともに、景色が高速で後ろに流れていく。
あ、ちょ、速、ぶつ、速い。




