35.変なところで鋭いね 【黒秋秀】
【黒秋秀】
日中、昇っていた二つの太陽。
夜空に浮かぶ二つの月。
どうもそれらのうちの一つが奈々に悪影響を及ぼしていたらしい。
イメージ的には、狼人間と満月の関係が分かりやすいかもしれない。
太陽や月に関連する能力を持つ者に対して著しく効果が表れ、それ以外の者へは全く影響がない。
「…はあ」
「二回目だぞこら」
ため息をついた後、奈々は観念したように言った。
「…そんなに分かりやすかった?」
「そうでもない。けど、カレンとかは気付いてたと思うぞ?」
何となくは、気付いていた。
奈々が持つ特有の体質、とでも言えばいいだろうか。
もしくは、種族特性。
「…正直に言うよ。日中、やけに体が重かった。今までの比じゃないぐらいに。でも、今は調子が良い。…むしろ、良すぎるぐらい」
そう言って奈々は忌々しそうに赤い月を睨んだ。
日中も、となれば二つずつある太陽と月、それぞれうちの一つが確実に原因だろう。
「吸血鬼としては、やりづらいだろうな」
「…私は先祖返りだし、かなり血は薄い。前の世界でここまで影響出たことなんて無いのに」
「仕方ない。明日からは問題ねえから安心しとけ」
「…は?何でそんな事分かるの?」
「ああ、こっちの世界の解析終わったから。ついでに言うと、今日みたいに影響でかい日が一ヶ月に一回ぐらいの頻度で起こるっぽい。ま、月一だしそんなに気にしな……」
そこで、ふと気付いた。
この話四人に共有していなかったような気がする。
「……」
案の定、言っていなかったようだ。
至近距離で見つめている奈々のおかげでよく分かった。
「…あの、奈々さん?顔近いぞ?」
「何か言う事は?」
「もっと早く伝えればよかったわ、すまん」
目の前で溜め息を吐かれたが今回は自覚がある為文句を我慢する。
それはそうだよな。
調子悪い原因が分かってるのにそれを教えない奴が悪い。
…あと、やり方次第では俺が防げたかも、と思うがそれは言わない。
「…方法あったのなら言えよ」
「口調壊れてるぞ。あと、蓮にも言ったがナチュラルに心読むな。俺の思考筒抜けじゃねえか」
「…分かりやすいから。ちなみに幼馴染だから分かる、とかメタいことを言っておくね」
「どうもありがとうございます?」
話は本題から逸れてしまった。
何故いつもこうなるのだろう。




