30.間の役目は大体面倒臭い 【黒秋秀】
【黒秋秀】
説明が下手。
自覚はある。目の前で微妙な顔をしている蓮を見ていれば嫌でも分かる。
「…自分で説明してもいいか?」
「「どうぞどうぞ」」
実にありがたい提案が男の口から出てきた。
説明など当事者が一番上手いに決まっている。
ただ、一つだけ仕込んでおく。
(【開は閉に。閉は開に。通過せし原則。原則は通過せず】)
早速男から見えないように左手の上に空間の穴を作り出した。見た目は黒い渦にしか見えないそれを隠すように背中側に運び、男の話に耳を傾ける。
「…俺は本来、お嬢の護衛になるはずだった。実際、三日前まではそうだったからな」
「…」
「だがそうはならなかった。俺が護衛につくと決定してすぐ、お嬢が行方不明になったとされた。そして、俺の隊にあの男が無理矢理組み込まれていた」
つまりは、そういうことだ。
規律上、男に従わなければならないが暗黙の了解のようにあちらで気絶している男に従うよう圧力がかかっていたということ。
「唯々諾々とあの男に従ってお嬢を痛めつけて追い回し、そして今このザマだ。…話は終わったがどうする?俺を殺すか?」
「わざわざ話聞いてまで殺すわけねえんだわ。つか、まず最初にやる事が違うだろ」
「他に何がある」
「謝罪。…あ、ごめん先言っとく。今の話全部筒抜けなんだわ」
左手を見えるようにして空間にある渦のような小さな穴を示す。
この穴、見ることは出来ないが音は伝わる。
「お前、まさか…!!」
「いやあ、ミスったミスった。あの子に全部聞かれちまったなあぃだあ!?」
顔面に二度目の衝撃。
蓮の裏拳が顔面に打ち込まれた。
「いっ…づ…あぁ…ガチで痛え…」
「今度はしっかり効いてるみたいで何よりだ。…お前、相手の気持ちを少しは考えろ」
「知るか…【繋げろ】」
離れた位置に空間を無理矢理繋げて四人を呼び出す。
「ちょっと。いきなり呼ばないでよ」
「悪かった。つーわけで、おっさん」
「…お前」
「きちんと二人で話してくれ。俺らは聞こえない位置まで離れてるから。もちろん、盗み聞きもしねえから安心してくれ」




