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29.間の役目は大体面倒臭い 【白川蓮】

【白川蓮】



「…ややこしい」


「…なあ、まさかお前理解出来てねえの?」


「全く」


「…分かった、簡単に要約して伝えるぞ」


 俺は難しい話が苦手だ。

 秀とおっさん?が話し合っている事も八割は理解出来てない。

 だから、秀が通訳してくれるのは助かる。


「…つまり、あの狐の子は獣人の国で特別な役割を担う『巫女』候補。でも権力争いに巻き込まれてあの子は殺されかけたから必死こいて逃亡してた」


「ああ、ごめん。いくつかツッコんでいいか?」


「いいぞ」


 …そんなにあっさり言われると拍子抜けしそうになるが。

 まあ、いいか。


「そもそもさ、あいつらの記憶見たんだよな?何でわざわざこのおっさんにもう一回確認する必要があったんだ?」


「…あ、そこから?そういやこんな使い方あんましてなかったっけ…。簡潔に言うと、俺はあくまでも記憶を覗くだけなんだよ」


「…ん?」


「つまり、俺はそいつの記憶として残っているものだけを第三者のように見る事が出来る。だが人間の記憶なんて大半は忘れて重要なことしか覚えられない。つか、そうしないと脳がキャパオーバーを起こす。だから完璧じゃあ無い。何人分か読み取ってもまだ知識として足りない。ここまではいいか?」


 なるほど。

 向こうの世界で記憶を読むなんて行為は必要なかったから俺もあまり理解出来ていなかった。


「分かった。じゃあ、次」


「何だ?」


「厄介ごとか?しかも俺ら片足突っ込みかけてないか?」


「かなりの厄介ごと。それと、俺らもう片足どころか両手両足突っ込んじまってるな」


 ヘラヘラと笑う秀の額に一発、容赦なく拳を叩き込んだ。

 手加減なし、全力の一撃。

 鼻ではなく額を殴ったのは俺の優しさである。

 殴られて悶えている秀を放置して頭を整理する。


「つまり、何だ…俺らが拾った子は、すんげえ重要な立場の子で、しかも身内で争ってる?」


「そう言う事だ。お前の顔面も後で凹ましてやるから覚悟しとけや」


「だったら何でおっさんが大人しく情報吐いたんだよ。あの子を襲う側にいたんだろ?訳分かんねえ」


「あれ」


 秀の指さす先に転がっている、リーダーの男。

 呆れたような視線を向けながら言った。


「偉い奴の息子。それもあの子を殺そうとしてる側の」


「…ああ、ごめん。もう混乱してわけ分からん」


「よくあるだろ。社長の息子が上司に偉そうな口聞くやつ」


「あ、ごめん。余計よく分からん」


 秀の説明とか例え話が下手すぎる。

 誰か説明してくれ。




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