20.喋れない?喋らない? 【鈴森奈々】
【鈴森奈々】
少女の扱いに困っている間に少女のことを任されていた。
私たちの知らない間に。
流石に適当過ぎる気がする。
「…あいつ私らに押し付けたね?あとで頭に負荷かけまくってやる」
「秀もそれなりに考えてるのでしょう。多少は許してあげなさい」
「…本当にそう思ってる?あの子への対応に困っただけでしょ」
「…」
そう言うとカレンが黙ってしまった。
やっぱり思ってたね。
だって私も思ってたから。
「…ほら。狐?耳が戻ってからこんな状態になっちゃった」
少女は、耳と尻尾が戻った直後からまるで、他者との関わりを断つように言葉も発さずただ震えてうずくまっていた。
「奈々…カレン…どうしたらいいのぉ…?」
泣きそうな声が聞こえる。
優奈…だけではなく、秀も子供が苦手だったりする。
なんせ、どちらも結構面倒い性格をしているから。
「…落ち着きなさい、優奈。とりあえず、ね」
カレンは自然に少女に近づき、そして。
「よいしょ」
「…??」
うずくまっている少女をカレンは遠慮なく持ち上げた。
少女も突然体を持ち上げられて驚いたのか、抵抗する事なくカレンに運ばれていく。
「えぇ…?」
優奈が困惑したように声を出す。
それも当然だろう。
少女が対人関係で何かあった事は察しているはずなのに平気で距離を詰めるような行為をしているのだから。
「せっかく近くに川があるし、この子洗うわよ」
「…ちょいちょい、カレン」
「何よ」
「図太いね」
「褒めても何も出ないわよ」
「いや、褒めてないんだけど」
カレンが少女をそのまま川に運ぶのを見ながら制服のリボンを外し、袖を捲る。
靴と靴下も一緒に脱いで影の中に放り込む。
「…優奈も」
「分かったけど…ちょっと待って」
優奈も同様に影の中に一式放り込んだのを確認してカレンと少女のそばまで移動し。
「よいしょっ、と」
影に手を入れる。
「シャンプーとリンス、あとボディソープあれば充分かな?まだいるものある?」
適当に必要そうな物を影から引っ張り出して置いていく。
少女の反応は、というと目を点にして完全に固まっていた。
「…新鮮な反応で私、楽しくなってきた」
「楽しんでどうするのよ」
必要なものは出し切った。
少女も川のそばにいる。
よし。
「洗いましょう」
「「了解」」
綺麗に、しようか。




