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よくある記憶喪失から始まる都合の良い走馬灯

作者:立花
いや、さすがに。
人の記憶なんてそう都合よくタイミングよく失われるものじゃない。
それでも、彼が向ける眼差しに、私は信じるしかなかった。

「あなたが…僕の奥さん?」
「…いえ、あの、彼女です、まだ」

知らない番号から着信があった。スマホを操作していてうっかり「通話」に触れてしまった彼女は、彼の身内を名乗る人から彼が事故に遭ったことを知らされた。

高度治療室からようやく病室に移った彼に会うため病院へ急ぎ、一か月ぶりに再会した彼は、事故前の記憶を失っていた。

彼にとって二度目の初対面を迎えた彼女は、毎日病院へ来ることを決めた。二人は仲睦まじい恋人同士どころか、クソみたいな始まり方でスタートした、およそ恋人とも呼べない関係だった。にもかかわらず、彼は彼女を「嫁」と登録し、それゆえに未婚ながら彼女に事故の連絡が入った。

彼にまた「二度と連絡してくるな」と言われるまでは恋人として過ごすことを決めた彼女と、記憶を失ってやや性格がリフレッシュされた彼氏と、その家族の話です。
クソみたいな馴れ初め
2023/03/11 00:34
一番幸せな一週間
2023/03/11 00:38
文明の利器
2023/03/11 00:39
退院日からの彼
2023/03/11 00:40
退院日からの彼女
2023/03/11 00:55
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