ドーナツ
ドーナツ
君が消えてから、何度目の冬だろう。
降り積もる雪をよく君と見た。
君は冬が好きだった。
雪の降る空に喜ぶ君を見て
僕も冬が好きになった。
君は夜が好きだった。
まだまだ夜はこれからだよ、
そう言って笑う君と過ごした夜が好きだった。
君は僕が好きだった。
僕は君が好きだった。
雪が降る度、夜が来る度死にたくなんだよ。
僕の好きな時間も、好きな物も、何もかもが
全部君で出来てたんだ。
触れられない、君が残した、
残酷で非情なドーナツホール。
30分ミニ小説チャレンジで書いた作品です。