〜レタスとmelt〜
太陽が家の真上に昇っている時間帯で、ふつうに暑い。梅雨が少し待ち遠しくなるこの頃、舗装された道が一本通る山中にポツンとある家の台所で、僕はレタスを手に取り、少し分ける。横にある、普通の家庭のシャワー室にあるような洗面器に分けたレタスを入れた。
ごはんの時間かつ、僕が準備している様子をみて、スライムがぽよんぽよん跳ねてきた。
今日はこのようにスライムにレタスをあげてみるという挑戦をする。
今まで、何か与える度にこのスライムは変な反応を起こす。水は体が薄くなるし、ソーダは炭酸スライムになり、米は体に引っ付けて僕に突っ込んできた、ということを思い返す。良いことが起きたということは無い。
それに米スライムのときから、今まで、落ち着くため、朝と昼はソーダ、夜には水というメニューを繰り返してきた。どうして夜だけ水であるかというと、炭酸スライムの炭酸は数時間で切れる。しかし、夜ごはんにソーダを与えると、寝るときもシュワシュワしていて、スライムが横にいるときうるさくて寝られない。
さぁレタスはどうだろうか
ぼくは大きめの不安と少しの期待を胸にスライムのそばにレタスが入った洗面器を置く。
と言っても、レタスを与えようと思ったのは、ただの当たって砕けろ思考ではない。言わずもがな、野菜は水分がとても多い。水分が多い食べ物であればお米のときとは違い、何かまた別の反応があるのではないかと思ったからだ。また、少し前はソーダをあげた後、スライムは少しずつソーダ色に染まっていっていたが、最近になってソーダをあげても全く染まらなくなったから違うのあげてみよう、という理由も一応ある。
スライムは洗面器の中がいつもと違うことを察したのだろうか、洗面器に近づき、不思議そうな目で中を覗いている。
スライムが洗面器の中に入った。
まだもぞもぞしている。
最悪、スライムの身に何か変な反応が起きても大丈夫なように今日はもう予定がない。
ぽよん、とスライムが洗面器から出た。
変な反応が起きた!
、、、、、、レタスの方に。
僕が洗面器の中を覗くと、そこにあったのは潰れていてかつ、少し枯れているような、レタスとはとても呼べないもの、であったのだ。
僕はそのレタスでもないもの、を一欠片手に取って口に入れてみる。するとどうだろう、
まっず、、、にっが、、、
まず最初に思ったのは、食感はシャキシャキしておらず、ふにゃっとしている、さらに野菜のみずみずしさは消え、その代わりに謎の苦味が現れている。
食えたもんじゃない
まぁ、整理するとこのような感じだろうか、レタスはスライムの体で潰れて、さらに水分のみを吸われた。
ちなみに、そのスライムは今も元気に跳ねている。しかし、スライムに異常がなかったので良しとする。
痛い、痛い、、、
1時間後、僕は腹痛に苛まれていた。
心当たりがあるとすれば、あのレタスだが、、、などと、僕はトイレにこもりながら原因を考えていた。
30分ほどこもっていただろうか、僕はやっと腹痛から解放され、トイレを出た。
スライムが腹痛なんてないよな、、、
僕のほんの少しの不安を消すため、僕はスライムのいる部屋のドアを開けた。
僕が見たその部屋の光景に、僕は驚愕した。
目の前には、丸い水たまりみたいなゲル状の何か、が広がっていた。
スライムが と け て る ! ?
僕は届きそうもない天井まで飛び上がる。その後、5秒ほど固まった。
ハッ
僕は、恐る恐るそのスライムらしきものに近づく。
ぬっと動いた、僕はびくっとして腰を抜かしそうになる。
ところが、そのスライムらしきものは、ぼよぼよしながら、スライムの形まで変形し、戻ってしまった。
僕は、今自分が見た一部始終を消化できずにいた。