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幼馴染は雪女で同級生は吸血鬼 ~先祖返りと青春の世界~  作者: Yuhきりしま
二章:凍てつく雪女はあったかい!
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27話 僕が少し大人になる

「おい、春来まじかよ。お前良くそれ言えたな」


「だって、分かんないじゃん」


 僕は友人と二人で話す、おいおいどうしたんだよと友人が僕に尋ねてきたので、何を言ったのか洗いざらい打ち明けた。


「それひでえな。突然、幽霊に呪われてるの? って聞くか?」


「本当に呪われてたらどうにかならないかな? って思って……」


 僕としては、少し仲間から外れているせつなさんが周りと仲良くやって貰えれば良かった。その原因が本当に幽霊に呪われているんだったら……それが無くなると全て上手く行くはずだろ?


「でもよ、それを言われて泣いたって事は、冬凍さんは本当に呪われてるのかな?」


「そうなのかなぁ……」


 謎は解ける事が無い、本人しか知りえない情報。


 保健室から帰ってきたせつなさんとは更に仲が悪くなり、今まで以上に気まずくなった。


 まず、目を合わせてくれない。それだけで辛いです……。初めて女子を泣かせてしまったので僕の技量ではどうしようもない。


 女の子と仲良くなる方法なんて知らない。ましてや後ろめたさがある相手に対しての接し方なんて分からない。


 多分、これ以上は僕が関わる事で不都合が起きるに違いない。僕が離れる事で落ち着くならそれが一番だ。


 ただでさえ口数が少ない僕達は、とうとう一言も会話を交わす事なく過ぎる日々が続いた。ある日、僕の席とせつなさんの席に距離があった。僕は当然の様に距離を縮めたが、せつなさんの一言が僕の胸に突き刺さる。


「あっちいって」


 返す言葉も無い、どうしようもないと諦めるしかない。次の席替えで、僕達は離れ離れになった。


 クラスの皆も幼いなりに察していたのか、僕とせつなさんを近づけさせないようにしているのか真相は分からないが前と同じように席を交換する事も無く。普通に席替えが行われていた。


「春来やっと離れられたな。絶対に気まずいよな?」


「うん。とても居ずらかったよ」


「ま、次は俺の近くだし楽しんでいこうぜ」


 友人が居るので特に困る事は無い、僕達の学園生活に支障はない。それから、三ヶ月程経った。


 せつなさんとのやり取りはいつも通り無い。特に無くて困らないので、それが日常と化していた。僕の過ごす世界にはせつなさんと関りはゼロで上手く行っている。


 これくらい時が経つと、僕も関りを持とうと思う気が無く。泣かして気まずいので、なるべく避けようと心に決めていた。


「春来、休み時間だぜ。体育館でバスケしようぜ」


「おう、いいよ」


 僕達は昼食後の一時間に満たない休み時間で体育館に移動し、バスケットボールで遊んでいた。


 最初はドリブルも上手く行かなかったけど、最近は普通に遊べるレベルに成長した! 僕は帰ってからもゲームだけじゃなくて友達と遊びに出掛ける事が増えた。


 とても健全で素晴らしい事だと思う。やっていて分かってきたけど、僕は運動が苦手では無いらしい。周りの子より、自分で言うのもなんだけど上手く出来ていると思う。


 体育館の天井には何故か、バレーボールが引っかかっている。十メートル近いのに、どうやって引っかかってるんだろう。僕の中での不思議である。


 それよりも、今はバスケ! 体育館は学生がそこそこ集まるので、チームを作って遊べる。この経験は、体育の授業でバスケがある場合は、活躍できるのでとても楽しい。


 何も考えずに、バスケで遊ぶだけで許される体育って授業は素晴らしくない?


 汗を掻きながら遊んでいたら休み時間の終わりが近づく。遅刻するとめんどくさいので僕達は教室に戻る。その時に、図書館を通るんだけど僕の視界に彼女が映りこんだ。


 おでこから左耳に髪の毛を掻き分けながら、手元の本に集中する子は一人で過ごしている。周りの子が片付けを始めたのに気付いたらしく、本を閉じて席を立ち始めた。


 せつなさんは、よく一人で過ごしている。アレ以降、話しかける事が無かったのでどうでもいいって思った。僕達が先に、教室に戻っていたので遅れてせつなさんは教室に入る。


 折角読んでいた本が途中で中断されたからなのか、不満そうな……とてもつまらなそうな顔に僕は見えた。


「今日の授業は先祖返りについて、皆さんに詳しく教えようと思います」


 先生が説明してくれる。先祖返り……詳しくは知らないけど偶にニュースになるやつだ。


「皆さんはどれくらい先祖返りを知っていますか?」


 優しい口調で先生が尋ねる。教室の中では、静かにする授業では無いと察した子供達はお互いに話し合う。


「なぁ、知ってる?」


「あれじゃない? なんか、ご先祖様がどうとか……」


 少しの間、ざわざわと教室が騒いだ後に先生が口を開いた。


「先祖返りって言うのは、むかーしのご先祖様の特徴が表れる事ですよ。殆どの人に何かしら表れるのでびっくりしないでくださいね」


 特徴が表れる。テレビとかで空を飛べる人とか見たことある。つまり、あれはそういう事なのか……。


「でも、殆どの人はもう少し大きくなってから体に変化があると思います。早い人は少しずつ既に変化が起きているはずですよ」


 体に起こる変化……僕の脳裏をよぎる。せつなさんは皆より早く先祖返りの特徴が出ているんじゃないか?


「特徴も個人差があり、大きく表れる人もいれば殆ど変わらない人もいます。なので、変かな? って思っても驚かないでくださいね」


 皆は理解したのか、理解していないのかよく分からない反応だった。しかし、何かしらあるんだなぁとふわふわした理解で十分だと先生も思っている。


「ちなみに、先生のご先祖様は人魚です」


「先生人魚なの?」


 クラスの男子から先生に声があがった。


「そうですよー。でも、泳ぎは苦手です」


「あはは、それって人魚なのに溺れるってこと?」


「違いますよー。先生は一時間以上、水の中に潜っていても平気なんですよー」


「先生すげー!」


 子供の感想は単純だ。自分じゃ、数十秒も難しいのに先生は一時間以上潜っていられる。プールの授業で水とは関りがあるので、クラスの皆がイメージしやすかった。


「私は泳ぐの好きだから、人魚さん来てくれないかな?」


「もしそうだと良いわねー」


 一部の女子から憧れの目線が先生に向けられる。泳ぐのが好きなら本当に素晴らしいと思う。


「俺もカッコいい奴が出ないかな? ドラゴンとか!」


「ドラゴンが先祖なの? ありえるー?」


「無理かなー」


 そんな事を友達と言い合う人達もいる。何かが起きるというのは理想があり、欲しい特徴が表れたら嬉しいだろうな。


 じゃぁ、もし、逆に嫌な特徴が出てきたらどうだろう……綺麗な肌が好きなのに、爬虫類の様な鱗が出てきたら本人は嫌だと思うかもしれない。


 その可能性を考えるにはもう少し大きくなってから。今は、何も変化のない学生が多い。


 ちなみに、これは保健の授業です。この後は子供の作りかたを習った。女子は乳房が膨らみ始め、男子はより男っぽい体つきに。共通して大切な所を守るように毛が生えますよと。


 この時、クラスに漂う雰囲気は恥ずかしいと思う感情や、へぇーそうなんだと思う人もいたと思う。僕はどうでも良かった。


 何より、せつなさんにはいち早く先祖返りの特徴が出ているんじゃないかと頭に浮かんでいたからだ。


 胸の大きさを気にしている女子が隣にいたのだが、僕が気付く事は無かった。

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