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不死の王  3

やり始めて二週間くらい。

システム、キャラクター、やるべきこと、その他も含めてほとんど理解してません。

それに知り合いには単発では当たらないと言われた上に、福袋を買えとそそのかされたゲーム……

えふじーおー


たった一つの種族だけでここまで和気藹々に楽しめる場所は早々にないだろう。

日常では王城まで美食の香りが広がり、武具を眺めながら冒険者たちが互いを諭し合い、子供たちが楽しそうに闊歩する。

他種族よりも少ない人口で他種族と血で血を洗うような戦いを繰り広げている人族の街で笑顔が多いのことは、それほどまでに街の中が平和だということなのだろう。

だが、その中で一際目立つ者がいた。

鎧の心臓部に描かれた燃え盛る剣――フランベルジュの紋章。


「どけてくれ!」


男の声が街に響き、人々はその慌てふためく騎士を見て道を開ける。

王城まで真っすぐと伸びる道を全速力で走り抜けていく騎士を市民は不安な思いで見つめた。

息を切らしながら道を駆け抜けていく騎士を見ているのは市民だけではなかった、いつも通りの場所で昼食をとるリョウ達からも視線を集めていた。


「なんかあったのか?」


ステーキを丁寧に切り分けようとしている途中のリョウが走る騎士を見ながら誰に言うでもなく呟くやくと、レイが緑茶を啜りながら苦笑いをした。


「ダンジョンに向かった後に良からぬことがあるのは嫌ですね」


レベリングとダンジョン内に眠る財宝の確保。

〈天魔の番楼〉のマッピングや、行く先々に存在する獣人族との争いで疲労はそれなりに溜まっていた四人。その中でも一番疲労を感じているのは間違いなくシュウであった。


「……大丈夫?」


ここ二年で多くなる戦い。

争いごとが多くなるということは他者を殺める数が増えていくということ、ましてや人型である獣人族を三人も殺めたシュウの心の疲労は半端なものでなかった。


「あ、うん……心配してくれてありがとう。メイカ」


「早く慣れなさいよアンタも。この世界で戦うってことはそういうことなんだから割着なさいよ。私たちが平和に生きるために仕方ないことなんだから」


「そうだぞシュウ。日本でも豚肉とか魚とか食べてただろ?それと同じような気持になればいいんだよ」


「はは……んだな」


二人の言葉に対して返す言葉が見つからずに取り合えず笑って返答するシュウの手を握ったレイ。


「私たちもいますから、ね?」


目と目をしっかりと合わせて話すタイプのレイには常に気を配られていることを申し訳ないと思う。

三年半という長いようで短い時間で〝殺す〟ことに馴れた三人を見ていると、殺すことに疲労している自分が異常なことだと思えてくる……この追い込むような心理現象。


「(いつになったら……)」


「おっ……騎士団の緊急招集だってよ」


「さっきの騎士でしょうね、焦ってたもの」


「なら早く食べてしまいましょうね。二人ともまた残っていますよ」


レイが向かい側に座るリョウとメイカに笑って答えながら、食べ残しがないように確認した皿を厨房の方へと流していく。


「……シュウは――――」


「ん?」


ステーキを三枚重ねて齧るリョウが突然、名を呼んだ。


「本当に食べなくていいのか?」


「俺も馴れたら(・・・・)な……」


「そっか」


「ほら、ちゃんと呑み込んでから喋れよ。レイに怒られるぞ」


「うーん。頼み過ぎたな」


テーブルに広がる大量の皿は大体がリョウの胃袋に消えていく物、アビリティの影響なのか〈アディベート〉に来てから大食らいになったリョウはいつも食べるのに時間がかかる。


「なら先に言って説明しとくよ」


我先に立ち上がるシュウを静止させるようにメイカが皿に残る寿司を一気に口に含めた。


「わふぁひほ……ん、……っ、行くわ」


立ち上がる時に一瞬空を見たからだろう。

空を飛ぶときは毎回メイカを抱えることになる。


「……一人で行かせてくれ。気分転換したいんだ」


「は?なにそれ。いつもやってくれんじゃん」


魔導士と呼ばれ空間移動の魔法すら容易く唱えてしまうメイカでも、空を飛ぶ魔法を使うことが出来ないメイカは、いつもシュウにねだる。

しかもこれに限ってはメイカだけではない。


「「…………」」


「(そ、そんな目で俺を見ないでくれ……二人とも)」


「いいじゃん!いいじゃん!緊急招集なんでしょ!?早く行かなきゃダメじゃん!」


「おい体を揺らすなって……そもそも、メイカがいないと転移で王城にこれないだろ?だからこそ行動力がある俺が先に王様に言っておくから」


「む……確かに」


「今回は、そう今回は俺だけで言ってくるから。な?」


「わかった」


とても分かってくれたようには思えないほど不機嫌さを表すメイカだったが、納得してくれたことにはシュウとしても助かった。


「「…………」」


シュウがメイカを断ったからなのか、心なしか二人からの視線がとても優しいものに変わった気がした。


「よし!んじゃ、行ってくるよ」


掛け声と同時にメイカが魔法壁を張り、そしてシュウは風の翼を広げて空高く飛び上がった――――

三人は青い空に溶け込んでいったシュウを見上げながら少しだけ笑った……。




「それは真かッ!?」


選ばれた者のみが入ることを許される王の間。

人族において最も神聖な場所で響き渡ったのは国王の驚愕の叫び声だった。


「はい……先程」


王の間に集まる炎剣騎士団の各の隊長たちは完全武装の姿で王の前に立っていた。

その中で最も強いURの隊長は出席しておらず、代わりに王へ報告したのは副隊長であるテラーという女だった。


「確認致しました魔力反応を見るに六王幻魔の可能性が少なからず御座います。高速で向かってくる魔力反応のうち……三つほど、強力な反応を示したそうです」


「六王幻魔か……四英雄が倒したのは――――」


「〝火炎〟〝水氷〟〝堕天〟〝聖天〟の四つ……魔力反応の強度を見るに、奴らは既に代わりの存在を選んだ様子。英霊隊の死霊術にて魔族を尋問致しますか?」


「いや、そんな時間はない。戦闘準備に入れ、魔族からこちらに向かって来ているとなると四英雄の一人〝無音の魔女〟の転移魔法で奇襲をかけることは容易いだろう。前後からの挟み撃ちだ」


「そう伝えておきます」


「奇襲は海域を跨ぐ前だ……出来れば〈インドラ〉の方で魔族共を止めろ。アーレア()隊は民間人の避難及び誘導を頼む。スーレア(SR)隊、ウルレア(UR)隊は直ちに戦闘準備。〝炎剣の加護〟は任せておけ」


「「「はッ!!」」」


「〈アグニ〉の王が命じる――――魔族()を払え、炎剣騎士団よ」


総勢隊員二万。隊長格六名。四英雄。

人国〈アグニ〉の王が魔力を込めるだけで〈アグニ〉という大きな大陸から、力を授けられる。

数少ない人族が他種族に対して対抗できるのは国王がいるからだ。

国王のアビリティによって――――我が身に悪を焼尽し魔を尽滅する聖なる炎を宿すことが出来る。


「うおっ!?急にかよ」


「……どこのどいつが攻めて来たのよ」


「この本気ようは――――魔族ですよね」


いつも賑わうレストランは市民の動揺が移ったのか、急ぎ足で避難場所へ向かう衝撃で地面が振動する。

それは四英雄の三人の胸に刻まれた紋章が陽炎を見せたからだ。


「まぁ、腹ごしらえはしたし」


「シュウが急いで向かったのは無駄だったっぽいわね」


「えぇ……でも、いい気分転換にはなったでしょうから」


三人は席を立ち上がり、ゆっくりとした足取りで〈アグニ〉の出入り口である門まで向かう。

あまりにもゆっくりと歩く姿に民間人が茫然と見つめてしまい、道を開けることすら忘れて棒立ちになってしまっている。


「ほらほら!アーレア隊が来ると思うから落ち着いて」


〝英勇〟の男が諭せば、慌てふためく民はいつの間にか静寂と化す。


「何を慌ててんのよ――――そもそも私たちが〈アグニ〉まで進攻を許すわけないでしょ」


〝無音の魔女〟が(なら)せば讃え始める。


「この状態になったということは戦闘が近いということですからね……気を抜かずに参りましょうか」


〝大和妃〟が髪を結えば全てが締まる。


「この魔力反応……魔族か――――招集に行く必要はなかったかな」


蒼穹と広がる空の海に身を浮かべたまま、炎剣騎士団が転移させられたのであろう門を眺める。

シュウの瞳に映る微かなオーロラのような魔力反応。

決して汚い色ではないグラデーションに身が締まった。


「……先に行くよ」


迫りくる圧力を少しでも軽減するために誰よりも早く。

その速度は音を超える…………

〝天醒〟が照らせば輝くが増える。


「ん……今回もシュウが先陣を切るのか」


ふと、リョウが空を見上げてそう言った。


「騎士団を引き連れて後から来いってことでしょ、いつものことね」


真っすぐと飛行機雲のように伸びる魔素が向かう先には、肌が泡立つほどの魔力反応が三つほど感じ取れた。


「先についていることでシュウさんの本領が発揮しますからね」


今となっては希望の星、天の川、などと讃えられるその光景。

異世界から来た四人だからこその表し方だったが、〈アグニ〉では既にその表現が広まっており、市民が空を見て喜びを共感しあう声がチラホラと耳に届く。


「さぁ……俺らも行きますかね」





興味がないゲームほどレアキャラが当たりますよね。

バニ上?

二コラ・ステラ

ジャック・ザ・リッパー


その知り合いにデータを見せたら血眼で「今すぐ消してやるからな?」と言われました。

あの表情……、未だにどっちに「消してやる」と言ったのか。

きっとスマホを渡していなかったら俺が消されていたのかもしれません……

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