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レアガチャってノーマルでるっけ?

思いつきで書いてしまった。

後悔はない……

またいつものようにスマホの画面をつけパスワード「0000」を打つ親指。

もう一種の特殊能力のように早い連打は、現代に生まれた〝ゆとり世代〟だからだろうか。

画面に夢中になり前を見ないのは当たり前。学校内だからと言っても、濁流のように人波は流れる。


「おっ、わり」


同学年の名前も知らない人の肩にぶつかり謝ると、


「…………」


無言で返される。

入学初日なのにも関わらずに午前に終わる説明会を終えて下駄箱に一直線に歩くその姿は、まさに陰キャのそれであり、


「んだよ、あいつ」


肩がぶつかった相手には確実なレッテルを張られる瞬間だった。




ゲームにはレアリティが存在する。

そのレアリティはどのゲームでも大体が統一されていて、ノーマルからウルトラレアまで。もちろんのことウルトラレアには価値がありその中でも当たりと外れがある。


「……またこいつか」


スマホの画面に映るレアガチャから出て来た見覚えのあるキャラクターに落胆する。

画面には「上限解放がこれ以上行えません」の一文。


「何体も何体も出るんだよな、こいつ。排出率とかどうなってんだよ」


確率のど見るまでもない。

多少のゲーマーなら分かるだろう、持っていないキャラクターがピックアップされている時にゲームに課金はするものだ。


「五十連でこれ……うん、これは完全な爆死だ。こんなのネットに挙げても同情を釣るだけで意味ないし、売っても特に利益はないし、ボックス番させるのも邪魔だしな……これならコイツ当たる方がよかったわ」


下へ下へとスクロールをしレアリティはノーマルの欄まで来ると、そこにはダンジョン限定でしかドロップしない特別なキャラクターが一体だけ存在した。

能力も、レベルも、進化も、全部が全部限定のダンジョンでしか行うことの出来ないノーマルレアの割には面倒なキャラクター。


「コイツを完全体にすればゲームで一番強いんだっけか?」


ようやくこのごろクリアした超高難易度のダンジョン。

もはやこのゲームをやっている者たちからすれば〝試練〟といっても過言ではないほどには鬼畜使用。


「はぁ……マジか。もういいや」


画面に映るカレンダーを覗き、今日がバイトではないことを確認すると新品のブレザーの裏ポケットからBluetoothのイヤホンを取り出しスマホと繋ぐ。

流す音楽は地に落ちた気分を最高潮にしてくれる歌詞の分からないテンションだけを上げてくれる洋楽のどれか。


「あぁ……サイコー」





高層ビルの一角。

その家の扉の鍵が開けられる。


「ただいまー」


返事は帰ってこない。

ただ綺麗に並べられた靴が何足か存在するだけ。

リビングの方では楽しそうな会話が聞こえてくるが、そちらには干渉することはなく玄関を入ってからすぐの部屋に入り整頓されたベットに腰掛ける。


「せっかくの新品だが、今日は俺に付き合ってもらうぜ。背広くん」


イヤホンを耳につけたまま。

他の音は遮断して、自分の呼吸だけが聞こえる状態になる。

ゲームで傷ついた心を癒すにはまずは寝ること。明日になったらきっと忘れてる、そう思い込みながら高校入学と同時に相棒になった制服にシワをつけて瞳を瞑った――――が




「うおッ!」




突然の体の落下に驚き、目を見開いた。


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