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【完結:修正予定】緋色のグロニクル  作者: カジー・K
第13章 斜陽編 -在りし日の辛苦も追悼せよ緋色-
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第228話 ラスボスはレイドバトル



「モトシロ……ジンメイ……私ノ価値ガワカラナイ貴様ラハ、モハヤ我ガ民デハナイ……」


 金竜ドールの声は、先ほどとは違って決して大きくはない。だが、不思議と良く通る音で……耳の中にこびりつくように頭から離れないのは、そこに込められた怨嗟(えんさ)故か。


「……そもそも、僕が信じる神はあなたではない……です!」


 そんな守の否定の言葉は、恐らくドールにはもう聴こえていなかったのだろう。


「――消エ去レ! 消エ去レ! 消エ去レ! 消エ去レ! 消エ去レ! 消エ去レ! 消エ去レ! 消エ去レェェェェエエ――――」


 繰り返し響いてくる、聴いているだけでやるせない気分になってくる音に、少し吐き気を覚えた。


 何も知らない子供を、大勢で袋叩きにしているみたいで……。


「あれ、俺は呼ばれてない……」

「なんだったら、大生もアシュリーも呼ばれてないから大丈夫でしょ」


 疎外感を感じたらしい貫太と、それに声を掛けるピーアの声を慰めに、俺は無理やり口を上向きにひん曲げた。


「お前らッ、まずはその二人――――ッ」


 だが、発しかけた言葉が轟音にかき消される。



 ――黄金のドラゴンが大口を開けた瞬間、ルノードの姿が掻き消えていた。



 かと思えば、大きく仰け反るドールの巨体。その口の中で、光が爆ぜる。


 竜化した左腕で顎を殴りつけることで、ブレスを妨害したのか。



 だが、敵は金竜ドールだけじゃない。


 周囲にいる21体の金鎧兵も動き出している。そのうちの一体は群を抜いた巨体で、どうやって倒せばいいのか、正直思いつかないくらいだ。


 とてつもなく巨大な一体が、ルノードに殴られて仰け反ったドールを助けるように、ルノードの背中に突進していく。


 ――いや、いい! 今はそっちはいい! 金竜本体も、あのバカデカい金鎧兵も、俺達がどうこうできる相手じゃない。


 その他の20体は……自立起動って話だったよな。金竜ドールは戦闘に秀でておらず、だからこそ配下である金鎧兵はそいつらの意思で行動するんだと……俺が生み出した緋翼の生命体と、原理は同じなのか? 金鎧兵に感情があるようには見えないが。


 恐らく今は、手近な生命体を見境なく攻撃しようとしているんだ。ドールの心情をトレースするように。


 ――まずい、向こうには磔にされたアシュリーと大生がいる!


 あっちに駆け付けないと……!


「――アシュリーと大生を助けるぞッ!!」


 己の行動指針をはっきりさせると共に周囲の仲間に伝え、駆け出す。


 踏み出した一歩が、中央から湧き出している黄金の液体に触れそうになったところで、液体の方からサッと引いた。


 ――俺を避けている……? そうか、これも俺以外の面々には危険な物質である可能性が高い……。


 自分の方から俺を避けてくれるってことは、俺の緋翼の方が優先度が高いということだろう。


 なら、俺の方から緋翼を叩きつけてやれば、この液体を取り込むことも、消失させることも思いのまま……だろうか。


 試してみる価値はある。


 だが……まず初めに確認しておくべきことは、“炎竜ルノードを完全に味方として扱っていいのか”だろう。


 金竜ドールがこの場にいる全員を皆殺しにしようとしている以上、俺達は運命共同体と言っていい。


 少なくとも、この金竜ドールとの戦いが終わるまでは味方で居てもらわないと困る。


 そうでないと、満足に緋翼が使えなくなるためだ。


 当初の予定ではルノードと殺し合うはずだったため、ヴァギリの発案で大部分の緋翼を魔法剣であるヴァギリとレンディアナに注ぎ込んでいた。ルノードはその気になれば、周囲のアニマからは無条件に緋翼を奪い取ることができるからだ。


 それが無いと確信できるなら、今の俺はいくらでも戦える自信がある……!!


「――ルノードッ!! 俺の邪魔をすんじゃねェぞッ!!」


 ――そして俺が取った手段と言えば……声高らかにお願いするっていうね。


 ……いや、お願いって口調じゃないか。


 左手のヴァギリと右手のレンディアナに蓄えていた緋翼を半分ずつ戻し、即座に全身から放出する。


 足元を伝って広がる漆黒の緋翼が、黄金の泉から湧き出す液体を抑えにかかる。高位のアニマ達が使っていた技の真似だ。


 この黒いフィールドが、俺達にとっての安全地帯となる。


 地面より上に放出した緋翼を向かわせる先は……レイスだ。


「――レイスッ! これでアシュリーと大生を……ッ!!」


 俺が走るよりも、そっちにいるお前がやった方が早い!


「――っ! わかったっ!」


 纏わりついた緋翼から即座に温度を受け取り、そして分解することで“創造する力(クラフトアークス)”を補充できたんだろう、化け物染みた回復速度を見せ、レイスは飛び起きた。


 そして振り返り、両腕を前へと伸ばす。そこから飛び出した白い奔流が、アシュリーと大生ごと、二人に迫っていた金鎧兵を飲み込んだ。


 ……それ、アシュリーと大生は息できてんだよな……!?


 いや、今更レイスの力を疑っていても始まらねェけどさ!


「まずは安全地帯を確保しましょう! 皆さん、レイス君の周りに!」


 背後から響く、アドラスの叫び。そうだ、“創造する力”の弱い連中、もしくは持たない連中には、恐らくは床に広がる黄金の液体が害となる。まずはそれに攻撃されることのない安全地帯を……。


 了解を伝える返事が戦場にいくつも舞い、俺の横を仲間たちが走り抜けていく。


「レンドウ……っ?」「いいッ、先に行け!」


 立ち止まって振り返った俺に手を伸ばすカーリーを促し、俺は両腕を広げる。


「出やがれ……ッ」


 緋翼の残量を大きく消費し、前方に生命体を創造する。


 それが形作るは……その性質まで模倣することが可能なのかは分からないが……不死鳥をイメージした。


「皆を護ってくれッ!!」


 体長5メートルはありそうな漆黒の巨鳥が高らかに吠え、両翼を広げて威嚇した。そこに突っ込んで来る金鎧兵。


 その衝撃に巨鳥は大きく後退してきて、俺が両腕で抱くように、その背中を抑えることになった。


 ――ダメか……!


 この不死鳥はちゃんと強い。だけど、思ったよりもずっと、金鎧兵の攻撃が重すぎる……。


 巨鳥の腹部が大きく削り取られたのが分かる。すぐさま俺の緋翼の残量が消費され、それが修復されていくが……これじゃ勝てない。


 こういう形の不死はダメだ。結局は俺の力が消費されてるんじゃジリ貧だ。


「悪ィ、戻ってくれ……!」


 言うと、すぐさま巨鳥の身体が解け、レンディアナの中に吸い込まれるようにして消えた。


 正面には、次の一手として俺に向けて拳を振り上げた金鎧兵が残る。


「チッ――!?」


「がぁぁっ!!」


 その一撃がどれほどのものか、試しに受け止めてみるのもやむを得ない……と肘を曲げ、両の剣を下向きに構えて受けようとしたところに。


 横合いから飛び掛かったダクトが、その拳の衝撃を受け止めてくれた。


 いや、受け止めきれてはいない。


 吹き飛ばされ、俺の隣を越えて後方へと叩きつけられようとしていた。


「ばッ……」


 咄嗟に緋翼を操作して、ネットのようにダクトの身体を受け止める。大きく弛んだは、ダクトの身体を優しく受け止めてくれたはずだ。


「――無理すんな! いくら人間の頑丈さの秘密が明かされたからって、即死したら終わりなんだぞ!?」


「誰かが確かめてみねぇことには、敵の強さがわかんねぇだろ!」


 唾を飛ばしながら激昂すると、同じく唾を飛ばし返された。


 確かにそうだ……。それに、終わったことは仕方ない。もういい、次の攻撃が来る前に、今得られた情報を上手く使わないと……。


 だけど、俺はそんなに頭が良くねェ。緋翼で創った生命体でも勝てそうになく、壁とするにも俺が力を消耗しすぎる。


 戦闘の天才であるダクトでも受けきれない質量とくると……。


 金鎧兵が、再び拳を振り上げる。


 慌ててダクトを包んでいた緋翼を解除し、腰に右腕を回して引っ掴んで、後ろへ跳ぶ。


 衝撃、砂埃。――すぐに次が来る。敵はこいつだけじゃない。他にも、今に19体が襲い掛かってくるんだろ……!?


「――安全地帯は確保できました! ここで陣形を編成します! 皆さん集まってください!」


 そこに、後ろからアドラスの声。もう2回後ろへ大きく跳ぶと、背後で仲間達の気配が濃くなった。


 一瞬だけ首を傾けて後ろを見やると、解放されたらしいアシュリーと大生が猿轡を外され、口元を抑えていた。


「――レンドウ君、君の双剣をそれぞれ、ダクト君と守君に渡してください! 彼らの技術に攻撃力が加われば、金鎧兵をも倒せます!」


 かつてない早口で伝えられるアドラスの声。その内容を吟味することなく、俺はすぐさま従った。


 ダクトにレンディアナを。守にはヴァギリを。


 どっちにどっちを渡すのかも、考えてのことじゃない。今まで右腕で抱えていたダクトに近かったから、右手に持っていたレンディアナを渡しただけだ。


 だけど、それじゃ俺は何を使えば……と思いかけた時には、既にダクトが俺に向けて黒銀のナイフを(ほう)っていた。


 なんて判断の早いやつだ。


「ほふッ……!」


 慌てて、噛みつくように口でナイフの柄をホールドする。


「レンドウ君、先ほどのように足元から緋翼の沼を広げてください! レイス君は、レンドウ君が広げた沼を白い力で上書きし、維持してください! それが最上の護りとなるはずです!」


「……あァッ!」


「――は、はいっ!」


 ――凄ェ!!


 アドラスの指示に従って動いていくだけで、みるみる内に難題が解決していく!


 眼前で、ダクトと守の両腕が閃き、こちらに伸ばされていた金鎧兵の腕が斬り裂かれ、落ちる。


 それはレイスが俺から引き継ぐことで白く染まった沼に飲み込まれ、沈んでいく……。


「恐らくですが、金鎧兵をただ倒すだけでは無意味です! “創造する力”がドールに戻る形で倒しても、再び出現します! それをさせないためには、より高位の“創造する力”……今であれば、レイス君に飲み込ませれば解決するはずです!」


 なるほどな……!


 ダクトが、片腕を落とされた金鎧兵の身体を蹴って登り、その頭頂部にレンディアナを突き立てた。だが、効いている様子はない。


 通常の生命体と異なり、明確な弱点は存在しないのかもしれない。細切れにして、高位の“創造する力”に飲み込ませるしか倒す方法は無いのか。


「――レイス、お前もっとこれを広げることはできねェのか!?」


 足元の沼を指して叫ぶが、「やってみてる! けど、まだ力の操作に慣れなくて……っ」とやるせない叫びが返ってきた。


「――ダクト君と守君に、ナージア君、レイネさん、クラウディオさん、サイバさんは連携して金鎧兵を解体してください! レンドウ君はここに残ってレイス君に力を与えたり、沼を拡大する方法を模索してください! 負傷者が出た場合、その治療も!」


「了解!」「はい!」「わかった!」「OK!」「承知した」「分かったよ」


 知り合ったばかりの者も含めた皆が、即座にアドラスの言葉を受け入れている。


 これがヴァリアー副局長、アドラスの真の力……。


「――あァ分かったッ!!」


 こんな戦場の真っただ中だってのに、俺は高揚感を覚えて、返事が少し遅れちまった。


「オレは戦力外通告かよッ!?」


「ジェット君も含め、私たちでは決定打に欠けます! 戦況の分析と、負傷者をここに連れ帰ることを徹底してください! 何か役割が出来れば、すぐに指示しますので!」


「チッ……わかったよ!」


 一度は熱くなりかけたジェットだが、周囲の仲間たちがアドラスに素直に従っている流れを見て、それに異を唱えることの愚かさを察したらしかった。偉いじゃねェか。


 アドラスが司令塔で、レイスが守りの(かなめ)で、俺が衛生兵。


 ジェット、カーリー、ピーア、アシュリー、大生、貫太が攻撃力に乏しいので補欠。それがアドラスが考える、最適な采配と……。


 いや、待て。貫太には……。


「貫太! ……アドラス、お前は知らねェのかもしれねェけど……」


「はいっ! 副局長、今の俺には超強力な遠距離攻撃の手段があるんスよ!」


 呼ぶと、すぐに貫太は名乗りを上げた。その表情には、覚悟が刻まれている。


「概要だけなら存じています。エクリプスの兵器であるザツギシュが宿っていると。しかし、それには大きな代償が伴うのでは……」


「――大丈夫っスよ! 現にさっきも左腕と左足が吹っ飛びましたけど、それはレンドウさんに直してもらえるんで!」


 ……そうなんだよ、こいつ覚悟決まっちゃってる系男子なんだよ。長年神明守っていう天才児に対して劣等感を覚えてたのか何なのか知らねェけど、自分にも戦える力が手に入ってからは、嬉々として自分を犠牲にしちゃうんだよな。


 だけど、気持ちは分かる。俺だって、他人だけに戦わせちまってるような今の状況は本当は好きじゃない。


 でも、仲間の傷を瞬時に癒すのは、俺にしかできないことだから。


 これがレンドウという男の、一番いい使い方なんだろう。


 誰一人として死なせないために、俺は俺の最善を尽くす。


 ――俺と貫太の視線を受けて、アドラスは。


「命の危険が無いのであれば、無理のない範囲で……許可します」とため息交じりに言った。


「はいっ!」


 元気よく返事してから右腕を伸ばし、左手で肘の辺りを抑えた貫太。


 ――いや、バリバリ()()()()()()()()()()んだよな。


 俺がすぐさま治療しないと、ショック死の危険があるレベルで。


 だって、ザツギシュの力を行使しすぎると、前触れなく手足が吹っ飛ぶんだぜ? それも、跡形もなく、グチャグチャに。


 俺の能力は……治療とか回復とか言ってはいるが、実際は全く新しい器官を生成して渡しているに近い。


 人間の傷口には、元の形に戻りたいっていう……自然治癒? のはたらきの流れみたいなもんがあって、でも当然それはどうしようもない怪我は治せるはずもなくて。


 人体の構造なんかまったく熟知しちゃいないけど、そのはたらきに乗っかる形で力を流し込むことで、今の俺は死にかけた人間すらも元通りにできている……んだと思う。


 頭部や心臓に損傷を受けた場合に助けられる気はしないので、あんまり無理はしないで欲しいんだが……今のところザツギシュの酷使によって失われる部位は両腕と両足に限定されているように感じるので、そこだけは救いだ。


 とにかく、手足が吹っ飛ぶ際には途轍もない苦痛を伴うとか、それを本当に際限なく修復し続けられるのかは疑問な点もあるとか、諸々の問題を除きさえすれば。


 伝説の三大ザツギシュの一つだという、ヘルを使い放題となった貫太の強さは異常だ。


「“過剰起動(オーバードライブ)”……っ!!」


 白い光が煌々と輝き、次々と放たれる。


 リスクによる部位欠損を恐れることなく、ほら、また一体の金鎧兵の頭部を打ち抜いた。


「つっっっっっよ…………」


 ピーアが目を丸くして呟いたのが聴こえた。


 そうだよな。正直、威力に関しては文句なしに反則だよ。


 頭部だけを破壊しても、金鎧兵は止まらない。それが分かっているからこそ、貫太による射撃は終わりがない。


 腕を弾き飛ばし、胴体に穴を空け、脚を砕いた。バランスを崩しかけたその金鎧兵は、下半身を液体に戻すことで転倒を防ごうとする。


「レイスッ! あっちに沼を伸ばすぞ!」


「やってみる!」


 レイスに向けて左手をかざし、緋翼を放出する。それと同時に、貫太の左肩に右手を置いて、がっしりと掴む。そろそろ来る気がするんだ。


 ボロボロになった金鎧兵の足元まで白い沼が伸び、その巨体が沈み始めたところで……、


「――ぐっ、があああああああっ!!」


 貫太の右足が消失し、崩れ落ちる。慌てて右手から緋翼を噴出させ、患部を包み込むと共に貫太の身体を支える。


「一旦やめろ貫太、無理すんな! 足が治るまでは次の射撃は中止ッ!!」


 既に欠損した部位がある状態であまりにも力を酷使しすぎた場合、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 口にしたことはないが、そんな想像もできるだけに、貫太に無理だけはさせたくない。


 左手はレイスに向け、右手で貫太を支える。しばらくはこのスタイルを維持することになりそうだ。


 こちらへと迫りくる2体の金鎧兵を、それぞれ守とダクトが妨害している。


 薄く赤い緋翼を纏った短剣たちが、滑らかな切り口で金鎧兵の手足を落としていく光景は、圧巻だった。


 舞い踊るように攻撃を回避しつつ、着実にダメージを与えていくダクトの剣舞。


 敵の攻撃の勢いを削ぐ位置へと移動しつつ、一瞬だけ真正面から剣先を合わせる守。その手首が閃いたかと思えば、金鎧兵の拳はあらぬ方向へと曲がっている。


 ――どっちも俺より強すぎて笑えてくるぜ……。


「――3時の方向から敵が来てるっ!」


 カーリーの声に、すぐさまダクトが反応した。


「俺らだけじゃ足りねぇっ……クラウディオ、戻れっ!!」


 崩れ落ちる金鎧兵の処理を守に任せ、新たに接近してきた金鎧兵に飛び掛かりながらのダクトの叫び。


「承知した、俺が行く……!」


 絞り出すような低い声と共に、ダクトが足を斬りつけた金鎧兵の胸あたりに、大穴が空いた。


 クラウディオが身体ごと突撃して、体重を乗せた一撃を放ったんだ。


 一瞬焦った。また今までみたいに偃月刀(えんげつとう)をブン投げたのかと思ったぜ。威力が高いのは何よりだが、貫通なんかしてどっかまで偃月刀が飛んで行っちまったら、武器無しになっちまうもんな。


 ダクトがクラウディオを指名した理由は、すぐに分かった。怪我をしているんだ。足元に血が垂れていく。


 どこから怪我をしているのかを正しく判別する時間すら惜しい。背中から翼を生やす要領で緋翼を伸ばし、クラウディオへと向かわせる。


「助かる……」


 より金竜本体に近い向こうでは、複数の金鎧兵が四方から襲い来る地獄絵図が繰り広げられていた。


 速度に優れている訳ではないクラウディオでは、攻撃を受けながらの戦いになってしまっていたんだ。


 サイバの戦闘スタイルなら、無傷で立ち回れているのも分かるが……こればっかりは相性だな。


 だけど、そんなことを言ったら、ナージアとレイネだってスピードタイプじゃないだろ。


 接近戦チームの他の奴らは……大丈夫なのか。


 ……そして何より、炎竜ルノードは。


 そう簡単に、やられはしてねェだろうな……!?


 ――金鎧兵がひしめく奥地に目を凝らすと、水色の光が爆ぜるところだった。




という訳で、本作のラスボスは金竜ドールです。「予想通りだ!」という方は、恐らくかなり少ないのではないでしょうか。


……どう考えても炎竜ルノードがラスボスになると思うよね。だって最初は作者もそうするつもりで書いてたもの……。

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