表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

6話:わたしついに自分から勉強します

 

 目を覚ましてから五日が経った。


 五日間はちゃんと部屋で大人しく過ごしていた。偉いでしょ。え、当たり前? あ、はい……。

 サーラはずっとわたしの部屋にいた。さすがにトイレには付いてこなかったけどね。けれどそれ以外は常に一緒にいた。でもサーラがいたおかげで寂しくなかった。


 それよりなんで五日も部屋で大人しくできたかというと、前世の記憶を整理していたからだ。まず300年前の王国と今の王国。これは今の王国の状態が詳しく分からないから何とも言えないな。王族の人はどんな感じだろ。前世のような感じだったら嫌だな。まあ関わらないことが一番だよね。


 そして昔の聖女と今の聖女のことについてもだ。これが最大の問題だ。前世では聖女はたくさんいた。でも今はホントに数人しかいない。わたしが前世で死んでから戦争で多くの聖女が死んだ? これならしっくりくるね。まあ、わたしの力と他の聖女の力は圧倒的の差だったからね。それでも戦争は200年前で終わっていたはずだ。200年もあれば聖女の数は増えていくはずなのに、なんでだんだん減ってきているの?

  それが謎なんだよねー。


 それに魔法に関してもだよ。何あの恐ろしい魔法は! そんな魔法昔には普通にあったの? 300年前恐ろしいよ〜。


 結局、全てに関して今の王国より昔の王国の方が優れているっていうことが分かった。何があったのか詳しく知りたいな。やっぱ歴史についての本を読んだ方がいいのかな?


 するとそんな大人しく考えこんでいたわたしを見て、サーラはじとーと睨みながらわたしを訝しんでいる。


「何か企んでませんか?」


 ひどい! なんで大人しくしているだけで疑われるんだ! 日頃の行いのせいか!?


「何も企んでないよ! ちょっと歴史の本を読みたいなぁと思っていたの!」


「……え、歴史の本?……エシリア様が勉強を?……そ、そんな」


 なんでこの世の終わりみたいな顔をしているの!? 勉強をしたいって言っただけでそんな顔するなんて。わたしってばサーラにそんなふうに思われてたんだ。むぅ〜。


「と、とにかく歴史の本が読みたいんで書斎の部屋に行ってもいいですか?」


 ムッとした顔で言うと、サーラは慌てていつも通りの顔に戻す。


「は、はい! もちろんいいですが……」


 許可はもらったのでわたしはベッドから飛び出て部屋を出る。そんなわたしにサーラはぴったりとついてくる。も、もう慣れたから気にしないもーん。


 わたしは前回の反省をいかして廊下を走らずに歩いて書斎の部屋に向かう。書斎は二階の一番端にあるのでめんどくさい。わたしの足だとすごく疲れるのだ。サーラもわたしのスピードでついてきてくれている。早くサーラみたいに大きくなりたい! 胸はサーラと同じじゃなくていいので。


 わたしは書斎の部屋に入り中を見回す。本のにおいが部屋に漂っている。前は好きじゃなかったけど、今では何も感じない。これも前世の影響かな。

 そして自分から進んで入ることのなかった書斎。いつも嫌々連れて行かれて勉強させられていたな。自分から行くなんて普通のわたしだったらあり得ないことだね。……ん? わたしって普通じゃない? ま、まあそんな事は置いといて……。


 書斎に入りそんな風に思っているとサーラが話しかけてきた。


「エシリア様に歴史はまだ早いのではないですか? 学校へ入学する前に大事なことだけ覚えれば大丈夫ですし」


 確かに4歳の子にはまだ国の歴史とか早すぎるだろう。でもわたしは調べたいことがあるのだ。


「わたし、この国と聖女について調べたいことがあるんです!」


「……国の歴史を勉強するのではなく、国と聖女について調べたいことですか?」


 ギクッ! 勘づかれたかな? ど、どうしよう。 何かもう歴史は知ってる様な感じで答えてしまった。実際300年前のことは知ってるけど。

 わたしはサーラの質問にどう答えればいいのか分からず、おろおろしてしまう。


 でもサーラは何もなかったかのように微笑んできた。


「ではエシリア様、一緒に本を探しましょうか。高い所はエシリア様では手が届きませんので私に仰ってください。確か国の事について書かれた本は……」


 サーラはそう言うと本を探しに本棚に向かって行った。


 怪しくなかったのかな……。多分サーラは薄々気づいてそうだ。サーラには隠し事がすぐにバレちゃうからなぁ。いつか話さなきゃいけない時がくるのかな。怖いな……。


 わたしは不安になりながらもサーラについていき二人で本を探す。ちょうど読みやすそうな本をサーラが見つけてくれたので、その本を受け取り椅子に座ろうとするが、書斎の椅子が高くて届かない。よじ登って座ろうかなと考えていたらサーラがわたしを抱きかかえて、膝上に乗せてきた。


 わたしは驚いてサーラを見るが、サーラはニコッと笑って頭を撫でてくる。

 な、なんかサーラ変わった? 抱っことか普通にしてくるようになったんだけど。しかも笑ってる時が多くなってるよ。まあ、その方がわたしは嬉しいからいんだけどね。


 わたしは少し動揺してしまったが、この状態が気に入ったので、そのまま本を読むことにした。何か落ち着く……。


 わたしの頭ぐらいある大きな本を開きページをめくって読んでいく。なになに、300年前は多くの聖女がいた? そんなことは知ってるよ! わたし以上にそのことを知ってる人はいないよ! それより何で聖女が少なくなり、力が失われてきたのかが知りたいのよ!


 わたしは心の中で怒りながら、さらにページをめくって読んでいく。


 ちょうど200年ぐらい前から他の国と休戦状態に入った……。最初は険悪な雰囲気が続いていたけれど今は良い関係を築いていると。本当なのかなー。あの頃はどの国も殺伐な感じだったし。実際どうなのか分からないね。


 その後、結構なページを読み込んでいたが、詳しいことはこの本には書いていなかった。

 聖女がなんで少なくなり、なんで聖女の力がだんだん失われてきたのか知りたかったのに。


 さらにいくつかの歴史の本を読むが内容はほとんど同じだった。

 うーん。どこの本も一緒なのかな。学校の図書館だったらこの国で王城の次に大きいし、本の蔵書数も最大だから置いてあるかもしれない。


 でも学校の図書館は生徒か教員か王族関係の人達にしか入れないんだよね。学校に入学するまで待つしかないかぁ。一応、学校に入学したら先生にも聞いてみよう。


 ここにある歴史の本はもういいや。わたし魔法についても調べてみたかったんだよね!

 わたしが本を閉じたのを見たサーラは声をかけてくる。


「もういいんですか?」


「うん。次は魔法の本を読んでもいい?」


「かしこまりました。初めての魔法の勉強ですね。では早速、魔法の本を探しに行きましょうか」


 そう言うとサーラがわたしを椅子から降ろしてくれた。わたしは椅子から降りたので魔法の本を探しに行く。


 魔法の本はどこかなぁ。……あれかな? とても分厚くていろんな色の本がある。あそこにある本をサーラに取ってもらうため声をかける。


「サーラ! あそこにある本を取ってください!」


 わたしは指をさして取って欲しい本をサーラに伝える。


「魔法の本ですね。えーエシリア様は光属性魔法が適性ですから、この本ですか?」


「全部です!」


 わたしがそう言うとサーラは驚いた顔をした。


「ぜ、全部ですか? 他の本は読めないのでは……」


 読めない? どういうことだろう。


「じゃあ聖属性魔法について書かれた本はありますか?」


 サーラはさらに驚いた顔をする。

 何かまずいこと言ったかな? わたしはサーラの驚く理由がわからなくて首をかしげる。


「エシリア様、聖属性魔法の本は聖女にしか読むことを許されていません。しかも聖女の力がある人にしか読めないんです。エシリア様が読んでも意味はないですよ」


 え? 聖女じゃないと読めない? 300年前は聖女じゃなくても貴族なら読むことを許されてたよ? 聖女が少なくなって希少な存在になったから、聖属性魔法の本も読めないようになったのかな? しかも昔は聖女の力がなくても本は読めた。平民は魔法の本じたい持ってないから読めなかったけど。今は聖女の力がないと読めないようになってんの? どうなってんのよ。


 昔の本と今の本でどのくらい差があるのか確認したかったのに。どうにかして読むことができないかな。まあ無理なんだろうけど。


「そ、そうなんだ……。じゃあ他の本を取ってください」


「他のと仰られましても自分に適した属性の本しか読めませんよ」


「じ、自分に適した属性しか読めない? どういうこと?」


 どういうこと? 前世は自分の属性に適してなくても読むことはできたはずだ。まあ適してない属性の魔法を使えるようにするのはとても大変だったけど。

 なら皆一つの属性魔法しか使えないの? だからお母様とかお父様は一つの魔法しか使っていなかったのか! 何でこんなことになってるのよ。わたしなら読めるのかな?


「エシリア様も知っていると思いますが、人は生まれたと同時に魔力の色を調べます。属性は七つあり、魔力の色が白く輝いたら聖属性魔法が適性であり聖女ということになります。それ以外は火属性は赤、水属性は青、風属性は緑、地属性は茶、光属性は黄、闇属性は紫となっています。エシリア様は生まれたとき魔力の色が黄色く輝いていましたので、光属性の魔法が適性ということになります。だからエシリア様は光属性の本しか読めませんよ」


 そんなはずは……。どの魔法の本でも誰もが読めるはずだ。わたしだって前世で必死に他の魔法も覚えたんだもん。


「一応他の魔法の本も見てみたいです」


 とにかく本当なのか確かめたい。


「かしこまりました。六つの本を取りますね」


 サーラがそれぞれの属性の本を取ってくる。聖属性の本はない。わたしは赤い本を受け取りその場でページを開く。


 な、なにこれ。本当に読めないんだけど……。待ってよ何で読めないの? 前世は読めたんだよ。

 わたしは驚きを隠せないまま考え込んでしまう。


「読めましたか?」


 サーラがわたしを見て言う。


「……読めなかった。他の本見せてください」


 わたしは青、緑、茶、紫の本を読んでいくが、どれも読めなかった。本当にどういうことなの? わたし光属性が適性なのに聖属性魔法は使えたよ? 聖属性魔法の本は読めるのかな? それとも本は読めないけど、魔法は普通に使えるとか? だって他の属性の詠唱とか効果は前世の影響でしっかり覚えてるんだもん。これは他の属性の魔法も試してみるべきだね。


「全部読めなかったんで、光属性の魔法の本を見せてください」


 わたしはサーラに渡された残った黄色の本を読んでいく。この本は普通に読むことができた。やっぱり適性のあるものしか読めないのか。


 わたしは何で他の本は読めないのか疑問に思いながらもページをめくっていく。ふーん、なるほど。ふむふむ。長い時間読み続けてわかったことがある。この本はどうやら全部知っているようだ。


 やっぱりわたしってすごいんだね! 初めて見た本なのに全部知っているとか。でも内容は前世で練習すれば誰でも使えるような魔法ばっかだったけど。




「もうそろそろ終わりにしましょう。結構な時間読み込んでいましたよ。エシリア様が大好きな果汁ジュースを淹れたのでゆっくり休んでください」


 サーラに声をかけられて窓の外を見てみる。空が暗くなりかけている。どうやらこの部屋に入ってから大分時間が経ったようだ。

 わたしはサーラに淹れてもらった大好きな果汁ジュースを一口飲んで喉を潤す。


「どうでしたか? エシリア様には少し難しかったのではないですか?」


 や、やばいどうしよう。もう本の内容知ってました! なんて絶対に言えない。


「ま、まあそこそこの難しさだった……かな」


「ふふっ、ついにエシリア様が魔法を使うんですね」


 ふぅ〜、何とかごまかせたようだ。そういえばサーラって魔法使えるのかな? ふと疑問に思ったので聞いてみることにする。


「サーラは魔法を使えるんですか?」


 そんなわたしの質問にサーラは首を振る。


「わたしは貴族ではありませんので魔法の勉強はしたことないですから使えません」


 そうだった魔法の勉強ができるのは貴族だけだった。

 うーん、わたしが教えるってのはどうかな? 流石にわたしが教えるってのは怪しいよね。でもサーラならわたしが教えても黙っていてくれそう。サーラはわたしが生まれてからずっと一緒だしもう姉みたいな存在になってるからなぁ。


 ところでサーラの属性は何だろう。わたしはサーラに聞いてみる。


「サーラは何属性が適性なんですか?」


「わたしは魔力の色が緑色だったそうなので風属性ですかね」


 風属性か。風属性は最初が大変だからなー。使いこなせたら便利で強いんだけど。


「風属性かー。サーラは魔法が使えるなら使ってみたい?」


 何故かサーラはわたしのことをじーっと見つめてくる。どうしたんだろう?


「そうですね……。使えるなら使ってみたいですけど、私は今のままでも問題ありません」


 使ってみたいのか。ふーん、覚えておこう。


「そうなんだ。魔法って便利だもんね。使えたら使いたくなっちゃうよね」


 わたしは残ってた果汁ジュースをグビッと一気に飲み干す。まあ、まずわたしが他の魔法を使えるのかが問題だけどね。


 するとサーラはわたしが果汁ジュースを飲み終わったのを見て言う。


「もうすぐ夕食の準備が終わる頃です。ダイニングルームに向かいましょう」


「はーい」


 わたしはダイニングルームに向かうため部屋を出た。


エシリアがついに自分から勉強をしました。

適性ではない魔法の本が読めなくなっています。

エシリアは聖属性魔法以外の魔法を使うことができるのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ