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3話:レティーア

 

 私はレティーア。


 特別な存在であると言われている聖女です。しかし聖女はたくさんいるからやることがあまりなくて困っています。それでも少しだけでいいですから皆の役に立ちたいです。


 騎士や魔術師さんたちはいつも私たちを守ってくれてとても安心します。そして会話するときもいつもしっかり聞いてくれて、私たちのお願い事もできるだけ聞いてくれます。

 私は少しでも皆の役に立ちたくてポーション作りを繰り返して魔力の操作を練習し、回復魔法を多く使えるように頑張っています。あと、回復魔法を使っても疲れたりしないように毎日自分に疲れを癒やす魔法を使って魔力を高めます。


 回復魔法に限らず全ての魔法は使いすぎると魔力がなくなり、疲れて頭がフラフラしてきます。そうならないためにも、日々魔法を使い続けて魔力を増やすことが大切なのです。

 それは最近気づいたことなのです。元々魔力が少なく魔法があまり使えなかった私は少しでも役に立ちたくて、辛い中ずっと練習してました。そしたらいつの間にか魔法を使える回数が増えていることに気づいたのです。


 でも、魔法を使い続けると魔力を増やすことができると知っている人は誰もいませんでした。しかも魔力がなくなる状態が増えると吐き気や目眩がしてとても辛くてしんどい状態になります。私はみんな、魔法を使い続けて魔力を増やすことは大切なことだと知っていると思っていました。

 けれど、みんなは魔法をあまり使いません。そのとき私はみんなが魔法を使いすぎて、気持ち悪くなり吐き気や目眩がするのが嫌であまり使わないようにしているのだと思いました。

 

 でも、私はみんながその事を知らないことに気づかずに、私はもっと回復魔法が長時間使えて多く魔法を使えるように、毎日毎日気持ち悪くなるのを我慢して、魔法を使い続けて魔力を増やしていきました。



 全ては私たちを守って助けてくれる人たちのためです。




* * * * *




 10年の月日が経ちました。


 その頃には、私はレイヴンフォルン王国で一番の聖女になり、そして一番の魔術師になっていました。


 どの魔法も使い続けてみても、疲れたり気持ち悪くならず魔力に関しても魔術師の団長と比べ物にならないほど、ずば抜けていました。

 気付いた時には私は騎士や魔術師たち、平民たちに女神のような存在として拝められていました。数えきれないほどの人を救ってきたからでしょうか。


 しかしそれをよく思っていない人たちがいたのです。それは他の聖女や王族の人たちでした。

 聖女たちは自分たちも同じ聖女なのに私だけが他の聖女と違い特別な存在で扱われているのが気にくわなかったのでしょう。そして、王族の人たちも私が女神のように拝められ、王国で一番の存在として国王の上に立とうとしていると思ったのでしょう。そんな王族の人たちは自分たちの立場が悪くなると思い、そこで聖女もよく思っていないということを知り、手を組んだのです。





 私が生まれてきてからずっと、どの国も戦争状態でした。戦争には騎士、魔術師、冒険者、聖女が戦います。そしてごく稀に王族の人たちも戦うときがあります。

 王族の人は元々魔力が高いです。それは王族には聖女の血が流れているからです。王族の人は聖女の力を色濃く持つ女性を妻とし、聖女との子供を産み続けることで王族の力を保ってきました。


 だから私はあのとき気づくべきだったのです。あのとき私の周りには他の聖女と王族の人たちしかいなかったのです。

 私は仲間の回復や守りに集中して気づかなかったのです。

 そしてその場で敵が死んで私たちしかいなくなった時に起こりました。私は敵を倒しきったことで油断していたのです。


 無事に敵を倒すことができて安堵したその瞬間、私のお腹に激痛が走りました。何が起こったのか全く分からず、自分のお腹に目をやると剣が自分のお腹に突き刺さってました。


「うっ……、な、なに……こ……れ」


 痛くて苦しい、泣きたい……。

 私は何が何だか分からなくて混乱します。そこで他の聖女や王族たちは何をしてるのか気になり、私は周りを見回します。すると他の聖女たちがそんな私を見て笑っていました。


 あ……そういうことか。

 そこまで聖女たちの心が腐っていたなんて……。

 しかも私を刺したの王族の人たちですか……。


 とにかく回復をしなければ死んでしまいます。すると回復魔法を唱えようとしたら口が動きませんでした。身体もうまく動かないことに気づきました。


 麻痺!?

 剣には特殊効果が付いていたのでしょう。しっかり計画しての行いだったのですね……。

 私死ぬのかな? なんで今は戦争状態なのに私を殺すのかな? もう意味が分かんないよ。私が守ってきた者たちに殺されるなんて。


 それから王族はなんども私を殴ったり、刺したりします。聖女たちは痺れだの毒だの呪いだの苦しくなる魔法を私に撃ってきます。最終的には、腕や足が切り落とされて醜い状態になり、聖女と王族が私に言います。


「お前の聖女の力が強すぎるからこうなるんだ! ざまあみろ!」


「お前が王国で一番になろうと思ったりするからそうなるんだよっ!」


「騎士や魔術師、平民たちを騙して最低ね、あなた。」


「今の状態を見れば全然女神じゃねぇな!家畜のようだ!」


「……もうずっと見てると気持ち悪くなるし、存在自体がうざいからさっさと殺そうか。」


「そうだな!」「そうね!」


 なんでこんなことになったんだろう。私は騙したりなんかしてない。多くの人を助けたら皆が勝手に女神様だとか言ったんじゃない! 私は少しでも皆の役に立ちたくて、皆を守りたくて、辛いのを我慢して我慢してずっと頑張ってきたのに。


 私が聖女だから?

 私の力が強すぎるから?

 女神のような存在になったから?


 わからない。なんでこんなことになるの。

 ……もういいや。もうここで死ぬんだし。


「じゃあな、家畜!」「さよなら、ぶたさん」


「「「 死ね。」」」



 最後に私の首に向けられて降ろされた剣を見て思う。



 聖女なんかにならなければよかった、と。




前世ではみんなが知らない中、一人でどんどん魔力を増やしてました。

前世は一番の聖女となり女神として拝められたら他の聖女と王族に殺されました。

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