1話:プロローグ
よろしくお願いします(;'∀')
ついに書いてしまった…。
「ふぅ~、やっと終わった!これで外で遊べるよ!」
「ああっ、待ってくださいエシリア様!」
エシリアはガタッと椅子から立ち上がり、メイドの声などまったく聞こえずバタンと扉を開く音をたてて部屋から出て行った。
メイドはそんなエシリアを見て、またですかと言いたそうな顔でため息を吐いた。
でもエシリア様のあの笑顔を見たら、つい私も頬が緩んでしまう。
だが、そんなメイドはこれから壮大な事が起こるなどまったく知らずに。
「今日は何しようかな~、近くの川にでも行って遊ぼうかな!」
うふふんと笑顔で廊下を走って移動する。 そして1階に下りるために階段を下り始めていると後ろから声がかけられた。
「エシリアどこに行くの?」
この声はお母様の声だ! わたしの大好きなお母様に声をかけられて笑顔で振り向く。
「お母様!…あっ」
わたしはそこで階段を下りながら振り向いてしまったため、足を踏み外してしまった。
あっ、これはやばい、落ちるやつだ。嫌だ嫌だ、やばい、こわい、怖いよ…。
落ちる瞬間はとても長く感じられた。わたしここで死ぬの? まだ他にやりたいことあったのに。まだたくさん遊びたかったのに。学校行ったら友達作っていろんなこと一緒にしたかったのに。かっこいい男の人と結婚するって決めたのに。
「っ!エシリア!だめ!」
お母様が焦っているような顔で手を伸ばしているのが見えた。わたしも手を伸ばすが遠くて全然届かない。
お母様、ごめんなさい。
わたしは転がり一番下まで落ちる。体のいろんな所がすごく痛かった。もうわたしが今どんな状態になってるか想像する余裕すらなかった。
そして最後に頭を打ってわたしは意識を失った。
* * * * *
わたしは目を覚ました。
「ううぅ…、ここはどこ? わたしは誰? …痛っ」
記憶が曖昧で頭が全然回らない。頭がズキズキする。身体のいろんなとこが痛い。顔を横に向けることさえ痛くてできない。いったん落ち着くために深呼吸をする。
「すぅ~ はぁ~ すぅ~ はぁ~」
長い時間深呼吸してたら大分落ち着いた。
とにかく確認しなきゃいけないことがある。まずここはどこなのかだ。
わたしは目で部屋を見まわし、天井や壁、机や窓などを見る。いつも見慣れている壁や天井、そして机の上にはそれはそれはとても可愛いぬいぐるみがいっぱい置いてある。しかも窓から見える見慣れた景色にここはわたしの家でわたしの部屋だということが分かり安堵のため息をもらす。よかった……。
次に自分は誰なのかである。わたしはエシリア、エシリア・ドレスフォード4歳。ドレスフォード子爵家の長女だ。
しかし、一つ違和感がある。なぜかレティーアという人の記憶がわたしの中にある。ていうか本当はわたしはエシリアではなくレティーアなんじゃないだろうか、そう思うぐらいレティーアという人の記憶がわたしの中に鮮明に残っている。
なにこれ……。
わたしの昔のころ? ……違うこんな経験してない。でもこんな鮮明に覚えているってことは、わたしの前世の記憶ってことなんだろうか。
しかもレティーアってとってもすごい人じゃない!今ではとても珍しくどの国も数人しかいない聖女だったの!? そして何この力!? や、やばすぎでしょ…。恐ろしい。
レティーアという前世の記憶が壮大すぎて頭の回転が追いつかない。
そこで唯一思ったことは、今の聖女ってダメダメなんだね……。
今の聖女は数人しかいない。力も前世と比べて弱くなってる。前世では聖女がたくさんいることは当たり前だったのに。どうして今は数人しかいないのかな。前世で死んでから何があったんだろう。
あとで調べてみよう。
ふとわたしは思った。……わたしは聖女の力を使えるんだろうか。聖女の記憶があるだけかもしれない。
こんなに凄い力があるなら一度は使ってみたくなっちゃうよね。
そういえば今、身体を動かすといろんな所が痛すぎて目を動かすことしかできない状態だったんだ。この力だと簡単に治せるのかな?
わたしは聖女の力を思い出してみる。
聖女だけが使うことできる『聖属性魔法』。聖属性魔法の中でもたくさんの種類がある。その聖属性魔法の中の回復魔法を想像してみる。今回使うのは単体回復魔法のほとんどの傷は治せる【ハイヒール】を使ってみることにする。
聖属性魔法の詠唱は何だったっけ……? 確か…。
普段のわたしだったら全く知らなかったけど、今は前世の記憶があるから覚えている。
「聖なる力を司る 聖の女神 アメスフィーナよ 我の願いを聞き届け 傷を癒やす 聖なる力を与え給え」
身体に力が漲っていくような感じがする。
「使えるかなー、いっけぇ! 【ハイヒール】!」
魔法を唱えた途端わたしの身体が光りだし、周りに光の粒子が舞っているのが見える。
使えたよ!!やったやった!
わたしの身体は光でまぶしい状態になっている。でもすごく温かくて気持ちいい。心が落ち着くようだ。
「すごい……」
10秒ぐらい経っただろうか、だんだんと身体の光が弱くなってくる。光の粒子がわたしに吸収されるように入ってくる。
光が消えたので体を動かしてみる。横を向いたり、手を挙げてみる、そして寝ている状態なので起き上がってみる。
まったく痛くなく普通に動いた。
「やったぁ!回復魔法ってほんとうに凄いね!使うと気持ちよくてやめられなくなりそう。…あはは」
でも人前では使うのはやめよう。前世のときみたいにわたしだけ力が強すぎて恨まれたり、騙されて殺されてしまう。
今度は聖女の力は隠して自分の好きなように生きていこう!
だけど人がいなかったら使ってもいいよね?だって色々便利すぎて使わないと逆にもったいないもん!
そう決意してあることに気づく。そういえばなんでこんな状態になったんだっけ?
そう思った瞬間、廊下から足音が聞こえてきた。そして、その足音はわたしの部屋の前で止まり、部屋の扉が開く。入ってきたのはわたしの専属メイドだ。
メイドと目が合い5秒間ほど見つめ合う。するとメイドはだんだん震えだし涙目になってくる。
「…エ、エシリア……様?」
なになに!?どうしちゃったの?
そしたらメイドは走ってこちらに来て泣きながら抱き着いてきた。
「エシリア様あぁぁぁぁぁぁぁ!」
メイドがわたしに飛び込んで抱き着いてきて、わたしは目を丸くして驚いてしまう。
ど、どど、どうなってんの~~!?
普段はこういう抱き着いたりしない専属メイドなのに抱き着いてくるメイドにわたしの驚きランキングベスト1が更新された。
そのあとメイドの声に気づいてバタバタ、ドンドンと足音が近づいてくる。
普段はそういう足音がないので、急いでこちらに近づいてくる足音にビビってしまう。
そして扉が開いて入ってきたのは、お父様とお母様だった。その二人の顔は心配と嬉しさと安心が混ざったような顔だった。
なんて声をかけるべきか悩みながらお父様とお母様を呼んでみた。
「お父様、お母様……?」
「エシリアっ!」
するとまだわたしに抱き着いていたメイドは壁のほうに下がり、メイドと入れ替えるような形でお母様がわたしに抱き着いてくる。
お母様は泣いていた。わたしもお母様を抱き返す。お父様は抱き合う妻と娘の姿を見てとてもいい笑顔で微笑んでいた。
何がどうなってんだ~?
その後どうしたのか尋ねて教えてくれた話に30分も経たずにわたしの驚きランキングベスト1は更新してしまった。
ついに始まりました。
幼少期編は平仮名の「わたし」にします。
これからの後書きには、その話のまとめを書こうと思います。
すべてに関して素人なのでご了承ください。_(._.)_
誤字があれば教えてください。感想も待ってます!