猫耳少女と朝
一話目から既に性的な描写がありますので、苦手な方は注意を。
おはようございます。
こちら、佐見鳥和馬でございます。寝起きで頭が働きませんが、突然ですみません。
「起きてくださーい、かずまさーん。おーい、おーい」
今、俺の頬をぺちぺちしている猫耳少女をどうにかしてください。……え、無理? むしろ代われと? 勝手にどうぞ。こんなやつといるなんてごめんです。
「へへ、起きないと悪戯しちゃいますよー。起きないんですか? 起きないですよね?」
「……起きてるよ」
何をされるか分かったものではないのでひとまずそう声をかける。
が、なぜか俺の腕を拘束し始めた。おい、どこからその縄持ってきた。
「うん。やっぱり起きてませんね。では、悪戯しちゃいましょう!」
「だから、おきてr、ふごっ」
抗議をしようとしたら口に何かを詰め込まれた。何を俺の口に入れやがったこの猫。そう言いたかったが声を出せない。抗議しようにも腕は拘束され、足は猫耳女が乗ってるせいで動かせない。だから必死に目で訴えようとするがそれも興味深そうにのぞき込むだけだ。
「ふふ♪」
はいはい、可愛い可愛い。だからささっとどけ!
「にゃんにゃんしましょうね」
ちょ!? どこ舐めッ――
※にゃんにゃんされました
「う゛う゛」
ひどい辱めにあった。何があったか詳細は省くがそれはもう酷かった。何度死にたいと思ったことが。天井のシミさえも数えられなかった。
「ふふ、かずまさん可愛い」
「撫でるな、触るな、どこか行け」
抗議しているというのに一向に撫でるのをやめる気配がない。色々と疲れて抵抗する気も起きないので好きにさせておくことにした。たまに耳かぷされたら肘うちするけど。というか耳かぷされ過ぎて癖になったらいけない。先ほどどれほどされたことか。思い出しただけでゾクゾクする。無論、興奮故ではない。そこのところは間違いないように。
「ったく、お前のせいで学校さぼっちゃったみたいになっちゃったじゃないか」
「何言ってるんですか。馬鹿なんですか?」
俺のそんな言葉に呆れたような目でそんな風に言ってくる。こいつ仮にも宿主様に向かってなんて言い草だ。今度から猫缶やらんぞ。……いや、そもそもこいつ猫缶食わねえや。
「かずまさんはひきこもっちゃってるんだから今更さぼってるだなんて思われませんて」
「ん? 俺はひきこもってるんじゃないぞ」
ただ学校に行ってないだけだ。断じて引きこもりではない。確かにまわりから見れば俺は引きこもりなのだろう。だが、少なくとも俺が引きこもりでないと思っているならそれは引きこもりとは呼ばん。
「絶対小学生の屁理屈みたいなこと考えてますね、今」
「屁理屈、詭弁。結構、結構」
屁理屈でも理屈は理屈だ。詭弁も弁は弁さ。それに理屈は屁理屈でしかないし、弁は詭弁でしかない。
バカみたいな極論に達したところで猫の耳を触った。すると、猫の体はびくっと動いた。
「ひゃむ」
どうやらこの猫、耳が弱いようで触れば触るほど中々面白い反応をくれる。先ほどの嫌がらせだ。ほれほれほれ。
「ちょっ、あの、あ、んん。ん~!」
猫の体がお湯みたいに火照っている。顔も赤くなり、その目はとろんと溶けていて。うむ、なんだかいけない気持ちになってくるな。そろそろやめるか。
そう思い、手を耳から離したのだが他でも猫の手によってそれが止められた。
「もっとお。もっとしてくだひゃい」
「おい、落ち着け。な? な?」
「やです。やです、もっとしてくれなきゃ泣いちゃいます」
どうしよう。いらん、スイッチを入れてしまった。猫の白い毛が目前にまで迫ってきて――、
※自業自得で二戦目突入
全てが終わった後、そこにはあられもない姿をさらした猫耳の少女と死んだような表情をして少年が共に横になって寝ていた。
「ふー、気持ちよかったです。またしましょうね」
「はは、はは、は」
少年は燃え尽き、ただただかすれたような笑い声を出した。
「ありゃ、壊れちゃいました。どうしましょうか。おっぱい揉みます?」
猫耳の少女はどこまでもマイペースに笑った。
何はともあれ今日も佐見鳥家は平和である。
はっちゃけますよ、ええ。