表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

運命の日

 俺はヒーローになりたかった。


 その日はなんてことないいつも通りの日常だと思っていた。


 「手を上げろ!」


 お金を降ろそうと銀行にやって来たら偶然にも、銀行強盗さんに出くわした。


 「お母さん!」


 銃を持った強盗さん、そんな強盗さんの近くに幼い女の子が母親の元に走って行く姿、その女の子を血走った目をして余裕のない強盗さんは銃口を向ける。


 「動くんじゃね〜!」


 あまり計画的に起こそうとしていなかっのか強盗さんは母親の元に向かおうとした女の子にすら驚き、その悪意を向ける。


 「危ない!」


 それが俺の最後の言葉になった。


 パッン!


 乾いた炸裂音がした。その音がしたと思ったら強盗さんに覆いかぶさるように一人の男が強盗さんを押し倒す。赤い液体を流しながら倒れる二人の男、そして今がチャンスだと警備の人達が強盗さんに飛びかかる。混乱の中だったが事件は収束していく、強盗さんの失敗と一人の男性の死亡をニュースとして届けながら。


 ☆


 「あれ? 俺は確かあの時強盗さんに撃たれたんじゃ?」


 そうですよ


 「へっ?」


 俺は不意に聞こえてくる声に驚く、いや聞こえてくると言うより頭に響くと言う方が正しいかも知れない。


 驚かないで下さい、今私は貴方の頭に直接話しかけています。今姿を見せますね。


 そう聞こえて来た瞬間に、目の前が光に包まれる。


 「うわ!」


 俺は不意の光に目を瞑る、そしてしばらくした頃に目を開けるとそこに見たこともないほどの美しい女性が立っていた。


 こんにちは、私は貴方達が神と呼ぶ存在です。


 「へっ? 神様?」


 俺はその言葉に驚き、そこでようやく辺りを見回した。そして自分が今普通の場所にいない事を自覚する。


 「あれ、ここは」


 混乱の中で俺が見たのは幻想的な空間だった。自分が立っているのは水の上、それもまるで底が見えないのに信じられないほどに澄んだ水、そこから生える木々の美しさ雄大さは御伽噺の世界だった。


 ここは世界の果てとも世界の始まりとも呼べる場所、そして全ての世界へと導く中継地でもあります。


 「中継地?」


 目の前の神様なんだろか? その神様が何を言ってるのかよく分からない。


 ええ、全ての魂が輪廻の中で必ず通るのがこの場所になります。そして貴方もその魂となります。


 「俺が魂?」


 なんとなく納得した、そうか俺はあの時死んだんだ。女の子を助けようと強盗さんに飛びかかったときに銃で撃たれて。


 そうですね、貴方は子供を救うために悪に立ち向かいその生涯を終えました。

 ですがその勇敢な魂をただ輪廻の輪に流すのは私としても忍びない、そこで私から提案があります。


 「提案?」


 なんか話の早い神様だな、と言うより結論ありきの様な気もするけど


 貴方の夢はヒーローになること、そうですね?


 「えっ? なんでそれを」


 俺は驚いた。おれはよくある正義の味方に憧れていた。その為に子供の頃から格闘技をしたり、特撮物を何度も見たりした、でも時が経つたびに現実がやって来てヒーローなんてなれないと、そう諦めて普通の大人になりかけていた。


 その夢を叶えましょう、次なる世界で貴方はヒーローになるのです。これを


 「えっ、えっ」


 おれの目の前にスマホの様なものが


 これは正義の味方変身する為の道具です。それでは時間です。次の人生をより良きものにして下さい。


 「えっ、ちょっともう少し説明を!」


 そこでおれの意識がなくなる。どうやら生まれ変わるようだ。次はヒーローとして生きるのか? 突然だけどワクワクするな。


 ☆


 ルミナス様、本当に良かったのですか?


 メイルですか、仕方ありません。不甲斐ない話ですが既に私の力ではどうにもならなくなってしまいましたから。


 しかし、彼には平穏な人生を望まれたのでは?


 ええ、だから比較的平和な地球で、ですが既に手段を選べる状況ではないのです。彼が一度救った世界、その世界に新たなる脅威が迫ってる、前回よりも大きくなって


 


 これはヒーローとして使命を受けた男の物語。

 これは悪と戦う男の物語

 これは運命を神に翻弄された男の、それでも自らを貫いた男の物語である

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ