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ホームルーム

ガララッ


「お前ら、早く席につけー!遅刻扱いにするぞーーー」


担任の山田先生がいつものように入ってきて、いつものように生徒は席についたのだが、俺の左隣のBだけはいつもとは違う行動を取っていた!




何故か、Bは座らずに仁王立ちしている!



「おい、B!早く座れ。本当に遅刻扱いにするぞ?」


「先生、俺は座りませんよ!」


「なんで、座らないんだ?」


「先生、この俺が意味もなく、立ち続けるとでも?」




いや、クラスメイトのほとんどは『あり得るだろ!』と顔に出ているが、Bは気づかない。




「じゃあ、なんで立ってるんだ?理由を教えてくれ」



「わかりました。話しますよ。












 



                20秒後に」

















「よし、Bは遅刻だな!他にいない奴はいないかーー?うん、いないな!」







山田先生はBをスルーしたことに何の罪悪感を感じていない。そして、B以外のクラスメイトも納得の判断である。


スルーされているのに、Bは仁王立ちをやめない。







そして、山田先生から今日の連絡等を聞き、朝のホームルームは淡々と進んでいき、終わろうとした時に奴は帰ってきた。。。



「先生、もうそろそろいいですか?」



未だに仁王立ちを続けていたBがしゃべりだした。


「よし、今日の連絡は以上だ!よし、日直号令を頼m……」


「先生ぇぇぇえええぇぇえーーーーーー、僕の声がぁぁ聞こえないんですかぁぁぁぁああーーー

このぐらいの声でぇぇぇぇえええええええぇぇえ、聞こえますかぁぁぁぁぁあぁぁぁあああーーーーーー」


「うるせーーよ!」



左で突然叫び出したBを黙らせることに、俺は成功した。



「わかった。どうしたんだ、B?」


「先生、今このクラスでは重大な問題が起こってるいることがわかっていますか?」


「あぁ、一人の生徒が着席しない上に、突然叫び出したことだろ?」


「違いますよ、もっと深く辛く恐ろしい問題………いや、これはもう事件ですよ!

















 


そして、その犯人はこの教室にいるっ!!!!」






教室の時間が止まった。。。。





………は???お前、大丈夫???


もうね、皆がキョトンとしちゃってるよ?お前の謎過ぎる発言で。




そして。静寂を切り裂いたのは山田先生だった。


「よし、日直号令を。」


「先生、いいんですか!この事件を解明しなくても!迷宮入りになってしまいますよ!」


皆が思った。。。

お前の脳内を解明してーよ   と。


「B、時間は有限なんだ。無駄にすることは出来ないんだ。」


「先生、話を聞いてください!」


「放課後聞いてやるから、職員室に来いよ。ほら、1限遅れるぞ!」


「先生!」


「せ、先生、B君の話を、き、聞いてみませんか?」


ここで、Cが助け船を出した。


「しょうがないな、B話してみろ?」


やっと、事の全貌がわかりそうだ。まあ、Bがいかれてるだけかもしれないが。皆がBに耳を傾けている中、Bの口がそっと動いた。


「先生、実は、無いんですよ。俺の


























椅子の座る部分の木が!」




いや、え、椅子の木???


皆が愕然としている中、俺は急いでBの椅子を確認した!

確かに無い!あるべきものがない!なんで座る部分の木だけがなくて、他の部分はあるんだよ!普通は椅子が無いとか、汚されてるとかだろ!



「いつからなかったんだ?」


「朝来たらもうありませんでした」


「なんで、この教室に犯人がいると思ったんだ?」


「先生、考えてみてくださいよ?

犯人はピンポイントで俺の椅子の座る部分の木だけを剥がしたんですよ!つまり、俺と面識のあるこのクラスメイトに限られるんですよ!」




は?????




「び、B君、ちょっと推理が、強引じゃない?」


Cがもっともなことを言っているのだが、、、


「何を言ってるんだ、C!皆を見てみろ、この完璧な推理に反論が出来ずに、犯人が名乗り出るのを待ってるじゃないか!」


いや、名乗り出るのを待ってるんじゃなくて、お前の推理が浅はか過ぎて思考停止してんだよ!てか、なんで、座る部分の木だけ剥がしたんだよ?Bの引きのばした理由も分からないし。


先生も意味の分からない推理に呆れて、死んだ目をしてる。


「おい、B」


「先生、犯人がわかりましたか!?」


「いや、ほら、な、1限が始まるし、犯人は先生が探しとくから、ホームルームを終わりにしていいか?椅子は、この後予備のを一緒に取りに行こうな」


「いえ、先生、俺は自分の手で犯人を見つけたいンです!」


「おい、B、もう諦めろよ?もう授業始まるぜ?」


これ以上は付き合いたくないから、俺が自分のた…………皆のためにBにそう言うと、Bは引き下がってくれた。


「よし、ホームルームが長くなってしまったが、これで朝のホームルームを終わる。日直、号令」



その後、座る部分の木が無い椅子を抱えたBと先生が教室を出て行くのを、無言で見ていた。皆で。

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