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23.女神の騎士

「うおおおお!」

目を閉じた私の耳に、ロナウドの声が響いた!

「ロナウド!!」

続いて、ベアの悲痛な叫びが届く。

え!?

閉じていた目をばっと開いた私の目に飛び込んできたのは……!!


「ぐ……アイシャ様に、指一本触れさせるかぁっ!!」

頭を抱えてしゃがみ込んだアイシャ様に覆い被さるようにして抱きかかえたロナウドの背中だった。

そして、その背中には化け物女が持ったガラス片が深々と突き立っている!

「ギエッ!!」

女が叫びながらロナウドからガラスを抜き、再び振り下ろす!

「ぐはっ!!」

ロナウドが苦鳴を上げながらも立ち上がり、女の首に手を掛けて壁に向かって叩き付けた。

「ギュエエエ!!」

血泡を吹きながらムチャクチャにガラス片をロナウドに突き立てる女。

「ロナウド!!」

私は駆け出しながら叫ぶ!

「うおらあああっ!!」

同時に、ベアが叫びつつ駆け寄り、その勢いのまま電光石火で女の首と手を叩き切り落とした!

ビクン!と震えつつも足をカクカクと動かし続ける女。

だが、数秒の後に大きく痙攣し、動かなくなった。

そして、ロナウドは女の首に手を掛けたまま、どさ、と床に倒れこんだ……


「ロナウド!!」

呆然としていた私はベアの叫びで我に返る。

「おい、ロナウド!!しっかりしろ!!」

ベアが血塗れのロナウドを抱え、必死で呼び掛けている。

「セラ!医者を呼べ!早く!!」

「は、はい!!」

ダッと電話に駆け寄り、セキュリティセンターの番号を押す。

2コールで出たオペレーターに状況を簡潔に説明し、救助を頼む。

電話を切り、

「直ぐにレスキューが来るわ!」

と叫びながら振り返ると、ロナウドの横にアイシャ様が駆け寄って手を取るのが見えた。

「ロナウド!しっかりして!ロナウド!!」

紅い瞳から大粒の涙を流しながら必死で叫ぶアイシャ様。

「…アイ…シャ様…ご無事、ですか……」

薄っすらと瞳を開けたロナウドがアイシャ様に話し掛ける。

「ええ、私は無事です!ロナウドが、庇ってくれたから……!!」

ふっと嬉しそうに微笑み、

「そう…ですか…良かった……」

と呟く。

「ロナウド、直ぐにレスキューが来る。もう喋るな」

悲痛な顔をしたベアが優しく言う。

でも、あの出血じゃあ、もう……

「…ふっ…もう、俺は…ダメ、だろ?ベア……」

ぐう、とベアが唸り、

「ダメ!そんな事無いよ!!」

アイシャ様がロナウドに抱き付き、咽び泣く……

「アイシャ…様…俺は…貴女を護る為に…生きて来ました…

 だから…本望、です……」

「ロナウド!!」

アイシャ様が悲鳴の様に叫ぶ。

「アイシャ様……貴女は、本当に美しく…そして、誰…よりも…優しい…女神様だ……

 貴女の…為に…死ね…る…なら…」

ロナウドががふ、と咽せ、大量の血を吐く。

「いやああああっ!!ロナウドっ!!」

血塗れのロナウドの顔に頬ずりしながら泣き叫ぶアイシャ様。

「最後…に、お願い…が…頬に、キス…を…」

ロナウドの言葉が終らない内に、アイシャ様がロナウドの唇に自分の唇を重ねる。

ロナウドの瞳が驚いた様に見開かれ、そしてとても幸せそうな顔となり、ふっと瞳が閉じられた。

無限にも思える時間が過ぎ、アイシャ様がロナウドから唇を離す。


「ロナウド…?」

戸惑う様に声を掛けるアイシャ様。

「ロ…ナウ…ド…?」

しかし、女神を護る為に闘った騎士の瞳は、もう永遠に開かれる事は無かった……




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