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22.血闘

こんばんは、作者です。

大変お待たせいたしました!

この一週間、思いっきり充電して参りました!

読者の皆様の暖かいお言葉は本当に嬉しく、思わず涙が出て来ました。

ここの所仕事のストレスも溜まっていたので、先週末の草津行きの後、思い切って有給を使い水曜から今日まで車中泊しながら東北地方をブラブラして来ました。

夜間、キーンと静まる山の中のパーキングで寝ていると、様々なモノの声が聞こえて来た様にも思え、恐ろしくも感動しました。

また、草津での友人カップルの話で良いネタを仕入れましたので、短編を一つ書こうかと思います。

ま、それはさておき。

お待たせしていました「フェルダムト!EP.00 G.O.M 2 逢魔刻の少年」、再開させて頂きます。

これからも皆様に楽しんで頂ける作品創りを頑張っていきますので、よろしくご愛読下さいませ!


羽沢 将吾

「来るな、セラ!!」

フラフラと部屋に入ろうとした私にベアの叫びがぶつかる。

「え!?」

はっと我に返った私の目の前にぶん、と何かが飛んできた!

「危ない!」

叫び様、ロナウドが飛んできたものをライフルの銃爬で叩き落す。

ドッ!

鈍い音を立てて私の足音に落ちたのは、人間の生首だった。


「!」

「うお!」

声を上げずに息を呑む私と、小さく叫ぶロナウド。

「くそっ!!」

ドカッ!バキ!

室内から、ベアと何者かが争う音が聞こえる。

「金森!!」

ロナウドが生首を見て叫び声を上げる。

金森、って、ロナウドの部下のガードマン!

この生首は……!!


「マリー、貴女は人を呼んできて!逃げちゃダメよ!!」

「わ、解ったわ!」

私がマリーに叫ぶと、一瞬戸惑った後にダッと走り出す。

「お前達は援護をしてくれ!但し、良いと言うまで撃つなよ!」

部下二人に指示をしながらライフルの安全装置を解除するロナウド。

「ベア!!」

私とロナウドは視線で頷き合うと、開きかかったドアを一気に開け放ち部屋に踊りこんだ。

「バカ野郎!来るなって言ったろ!!」

ベアの叱責が飛ぶが、そんな事を気にしている場合じゃない!

私はデリンジャーを引き抜き、ロナウドはライフルを構える……

「な、何なの、アレは…」

私達の視線の先には、凄惨な光景が展開していた。


室内は真っ赤に染まり、まさに血の海だ。

独特の生臭い血臭がつん、と鼻をつく。

血の海の真ん中には、神崎家ガードの制服を被った塊が二つ、ゴロンと転がっている。

その廻りには幾つかの肉塊が散乱し、辛うじて元は二つの人体だった事を主張する。

壁際には二人、いえ、二頭の獣が真っ赤に染まった歯を剥き出してこちらを睨めつけている……

「……ベア、なんだ、あれは……」

ロナウドが呆然と呟き、ベアが答える。

「あれは、中標津で襲ってきた奴等の成れの果てだ。

 南米や南ア系のゲリラが良く使う麻薬に、似たような効果を持つ物が有る。

 痛覚も、理性もぶっ飛んで、ただひたすら殺戮をするケダモノになっちまう麻薬さ。

 しかし、あんなに化け物じみた見掛けにまでなるヤツは初めて見るが……」

「ゴルゥ!!」

ベアの言葉を遮るように男だった方が吼え、凄まじい跳躍力で飛び掛って来た!

「ちいっ!!」

ベアの体がブン、とブレた様な動きを見せつつ左回転し、化け物の胸に廻し蹴りが炸裂する。

「ギャッ!!」

悲鳴を上げながら吹き飛び、壁に激突して崩れ落ちる。が、

直ぐに起き上がり再びこちらを血走った目でギロ、と睨む。

「喰らえ!」

ダン!ダン!!

ロナウドの声と共にライフルが火を噴き、女の化け物に命中した!

「ギエエエエ!!」

しかし、女は叫びつつ大きく跳躍しロナウドに襲い掛かる!

「グエエエ!!」

タイミングを計ったかの様に、男の方も再びベア目掛けて跳躍してくる!

「コイツらには普通の打撃じゃ利かねぇ!!」

ベアが叫びながらカウンターを合わせる様に右足の蹴りを放つ。

「おりゃあ!!」

突っ込んできた女の化け物の腕を取り、一本背負いしながら壁に叩きつけるロナウド。

ドッ!!

ガスッ!!

男が三度壁際に吹き飛び激突する。

女は私達の後ろの壁に叩きつけられる。

「まだまだぁ!!」

壁に張り付いた女が滑り落ちるよりも早く、投げ飛ばした勢いのままに

ロナウドが女の喉に右膝を叩き込んだ!

「ギュヒュ!!」

壁と膝に喉を挟まれ、女の口から苦鳴と共に血塊が吐き出される。

白目を剥き、頭から落下し床に伸びる。

「はあっ!!」

同時に、ベアの裂帛の気合いが響き、ベアの愛用している大振りなナイフが煌いて

立ち上がりかけていた男の首が宙を飛んだ。

噴水の様に血を噴き出しながらもベアに向けてダッシュしてくる首無しの男!

「せやぁっ!!」

再びベアの気合が響き、首無しの胴体から右足が切れ飛び、床にゴロン、と転がる。

頭部と右足を失った肉体は少しの間バタバタと手足を痙攣させ、やがて動かなくなった。


「ベア、どこに居るの……?」

その時、廊下の方からアイシャ様の心細げな声が響く。

「!セラ、アイシャ様をここに来させるな!」

手も足も血塗れになっているベアが狼狽しながら叫ぶ。

「ラジャ!」

ロナウドもベアほどでは無いが、結構血を浴びてしまっている。

何より、この部屋には、血の海に浸るガードマン二人の肉塊と化け物の死体が二つ……

こんな惨状を見たら、今度こそトラウマになり兼ねないわ。

ただでさえ、昨日のペンションで衝撃的な経験をしているのだから…

私がアイシャ様を止める為に急いで廊下に走り出ようとした時。


「セラ!避けろ!!」

ベアの声が響き、反射的に床に伏せた私の上を何者かが飛び越えた!

着地したそいつを見ると、ロナウドが仕留めた筈の女!

「ちいいいっ!!」

ベアの舌打ちと叫びが聞こえ、ダッと駆け出す気配がした。

「うおっ!!」

ベアの叫びに振り向くと、ダッシュをしかけたベアの足首を男の死体の手が握り締めている!

「そいつを止めろぉっ!!」

ロナウドの叫びに、廊下から見守っていたガードマン二人が急いで入室し、ドアの前に立ち塞がる、が!

「ぎゃあ!」「ぎええ!!」

女の指が戸惑っていた二人の目に容赦なく突き入れられ、絶叫を放ちながら倒れ伏す!


「ベア!どうしたの……きゃああっ!!」

くっ!アイシャ様がっ!!


倒れ伏したガードマンの向こうに、紅い瞳をカッと見開き、

両手を口に当てて悲鳴を上げるアイシャ様の姿が見えた!

「グルル!!」

落ちていたガラス片を拾い上げ、喉を鳴らしながらアイシャ様に襲い掛かる女!


「うおおおおおおお!!!」

ベアが自分を掴んでいた男の死体を抱え上げ、女に向かって投げ飛ばす!

だが、もう間に合わない!!

「いやああ!」

頭を抱えてしゃがみこむアイシャ様に、ガラス片を持った女の手が振り下ろされる!!


「アイシャ様!!」

私は惨劇を正視出来ず、目を瞑りながら敬愛する女神の名を叫んだ……



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